センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

52話 バーチャル・アポカリプス。

 52話 バーチャル・アポカリプス。

「答えられる項目はたくさんある。試しに今の調子を尋ねてみろ」
「……お元気ですか?」
「あいむふぁいんせんきゅ」
「やかましわ」

 一連の流れを経て、
 カドヒトは、

(……おそらく、『絶対に答えなくてはいけなくて、かつ、バンスールが不利になる項目』もあるのだろう。そうでなければ、アリア・ギアスとして成立しない……それを探り当てるまで質問し続けてもいいんだが……)

 いろいろと考えた結果、

(まあいいや。別に、こいつの強化を防ぎたいわけじゃねぇし)

 心の中でそう決断すると、

「質問はもうない」

 カドヒトの決断を受けると、
 バンスールはニィと笑い、

「――とまれ」

 そう命じると、
 ナイトメアバンプティルーレットが停止する。

 12時の矢印が示したのは、


「仮想(バーチャル)・神羅萬象(アポカリプス)‐システム……発動」


 システムが発動すると、
 バンスールの手の中に、
 『名状しがたいスマホのようなもの』が出現し、

「俺の存在値を10000に変更する」

 ススっと、スマホを操作すると、
 その直後、
 バンスールの体が、深い黒に包まれた。

 グググっと、見て分かるほどに、
 バンスールの内圧が上がっていく。

 その様を見て、
 カドヒトは、



「……存在値10000……」


 ゴクっと息を呑んだ。

 その『魅力的な数字』に、
 カドヒトは目を輝かせる。


(マジか。いけるのか。『基礎存在値3000』の向こう側……)


 ワクワクした。
 ひさしぶりに。
 胸が熱くなる。

 基礎存在値のリミットは3000。
 覚醒技を使うことで、その値を膨らませていくことはできるが、
 基盤となる数字だけは、どうあがいても、
 3000以上にすることができない。

 それが、これまでの常識。
 絶対的な、世界のルールだった。

 目を輝かせているカドヒトに、
 バンスールが、

「みろ。センエース……これがオレだ」

 そう声をかけると、カドヒトは、

「俺はセンエースじゃねぇよ。カドヒト・イッツガイだ」

 ハッキリと、そう訂正する。
 もはや、あまりにも意味がないその訂正を受けて、
 しかし、バンスールはイラっとすることもなく、
 そのまま受け止めて、

「そうか、では聞け、カドヒト・イッツガイ。……これがオレの力。命の限界点。遥かなる高みに至った混沌。すべてを包み込む黒」

「いいねぇ、悪くない。マジでな」

 心からの言葉を受けて、
 バンスールは気をよくしたのか、

「くく……さあ、やろう。命を奪い合おう」

 深みのある笑みでもって、そう言い放った。

 そんなバンスールに対し、
 カドヒトは、己の魂魄に『冷静さ』を課しつつ、

「お前を悪くないと思っているのは事実だが、しかし、お前は、俺にとって大事な人間二人の融合体。だから、殺し合う気はない。『お前』は殺すが、その肉体は返してもらう。それが大前提」

「くくく……相変わらず、家族には甘いな。しかし、カドヒトよ。そもそもにして、なぜ、バンプティとスールを、みすみす、オレに奪わせた? 貴様であれば、防ぐことも可能であったはず。こちらは、貴様が動くであろうと仮定して色々と準備をしていたのに、すべてが無駄になった」

「ん? そんなもん言うまでもない。部下の覚悟をシカトするのは上司のすることじゃねぇ。そんだけ。――まあ、一番の理由は、お前の弱さだけどな。お前ごときからなら、なんだって、取り戻そうと思ったタイミングで取り戻せる」

「……もし、オレがお前の想像以上だったら? その責任はどうとるつもりだったんだ?」

「お前が、俺でもどうにも出来ないほどの存在だったなら、その時は、俺が、もう一段高いステージにのぼるしかない。となれば、さすがに、今の俺をしばっている限界も死んでくれるだろう。どっちにしろ、ハッピーエンドになる。俺がここにいる。だから、バッドエンドはもれなく全員死ぬ。それだけの話さ」

「……めちゃくちゃな皮算用だな」

「正確性皆無の皮算用に頼らざるを得ないほど、俺は次のステージに飢えている。それだけの話だよ」

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