センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
34話 バンプティの可能性。
34話 バンプティの可能性。
「価値ある努力を重ねるようになり、人間の最上に至って以降も、あいつは『ただ強くなった』というだけで、別に『理想通りのヒーローだった』ってワケじゃない。あいつは、ずっとヒーローのふりをしていただけだ。当時はヒーローが必要だったから」
「……」
「時代は変わった。ゼノリカという『高潔な理念』が世界の器たりうる時代に、過去の偽物を崇(あが)め奉(たてまつ)る文化など無意味……というか、もはや、不健全きわまると言っても差し支えない由々しき事態。センエースなんていう『負の遺産』は記憶から抹消してしかるべきなんだ」
「……」
不毛な会話をしている間も、
バンプティは、必死になって、仮バグと戦っていた。
闘いの中で、バンプティは、仮バグを網羅していっていた。
対処法を見つけてはトライ&エラーを繰り返していく。
『強敵との闘い方』なら知っている。
ゼノリカは強者を知っている。
いつだって、
『自分』の『上』には『誰か』がいるから。
『自分こそが最強だ』などとうぬぼれているヒマは一秒たりともなかった。
だからこそ、圧倒的才能というジェットエンジンがついていながら、
しかし『休まないウサギ』で在り続けることができた。
――ゆえに、バンプティは、仮バグという強敵を前にしても、
さほど怯むことなく、冷静に対処することができる。
(すでに、この虫の底は見えた。ここまでくれば、あとは寄せていくだけ。問題なく処理できる)
と、バンプティが、心の中でフラグをたてた――その時だった。
バグがニィと笑って、
「ギギッ……儀式は十分だろう……」
そうつぶやくと、
グググっと、仮バグの体が圧縮されていく。
(小さくなった……なんだ? 何をするつもり……)
警戒していると、
仮バグは、
そのまま、
ギュゥウっと、小さくなり続けて、
ついには、視認できなくなった。
(……消えた……消滅した――というわけではないと思うのだが……しかし、気配すら……これは、どういう……)
何も感じなくなった。
――と、そう思ったと同時、
「うぐぅ!!」
バンプティの全身がしびれた。
足のつまさきから、脳みそまで、全身を突き抜けていく重たい痺れ。
「寄生型かっ……小癪なぁ!」
その痺れは、
バンプティの意識をゆがませていく。
頭の中を。グチャグチャにかきまわされているよう。
「ぬぅう……ぐぅうあああ!!」
頭を抱えてうめき声をあげるバンプティ。
だが、この程度の激痛に負けるほど、バンプティは弱くない。
「私の精神力をナメるなよぉおおっっ!!」
鋼の精神力で、仮バグの浸潤を殺そうとするバンプティ。
寄生虫の対処方法なら知っている。
この手のタイプは、心の弱い部分を狙ってくる。
だが、バンプティの精神力は強靭。
やすやすと奪われはしない。
「絶対に奪わせん! このまま、私の中で、ひねりつぶしてくれる!!」
そんなバンプティの心に、
仮バグはソっと触れて、
『抗うな。受け入れろ』
「ふざけるなっ……虫ケラごときに支配されるほど、私の心は弱くないっっ!!」
『黙れ。教えてやる。開いてやる。お前の底は、深く、広い』
「虫ケラのささやきごときで、私が懐柔されるとでも? ナメるのもたいがいに――」
『ナメてなどいない。お前を縛っているカラを砕いてやると言っているだけだ。ほら、聞こえないか? お前を縛っていた全てが砕けていく……その音が聞こえないか?』
「価値ある努力を重ねるようになり、人間の最上に至って以降も、あいつは『ただ強くなった』というだけで、別に『理想通りのヒーローだった』ってワケじゃない。あいつは、ずっとヒーローのふりをしていただけだ。当時はヒーローが必要だったから」
「……」
「時代は変わった。ゼノリカという『高潔な理念』が世界の器たりうる時代に、過去の偽物を崇(あが)め奉(たてまつ)る文化など無意味……というか、もはや、不健全きわまると言っても差し支えない由々しき事態。センエースなんていう『負の遺産』は記憶から抹消してしかるべきなんだ」
「……」
不毛な会話をしている間も、
バンプティは、必死になって、仮バグと戦っていた。
闘いの中で、バンプティは、仮バグを網羅していっていた。
対処法を見つけてはトライ&エラーを繰り返していく。
『強敵との闘い方』なら知っている。
ゼノリカは強者を知っている。
いつだって、
『自分』の『上』には『誰か』がいるから。
『自分こそが最強だ』などとうぬぼれているヒマは一秒たりともなかった。
だからこそ、圧倒的才能というジェットエンジンがついていながら、
しかし『休まないウサギ』で在り続けることができた。
――ゆえに、バンプティは、仮バグという強敵を前にしても、
さほど怯むことなく、冷静に対処することができる。
(すでに、この虫の底は見えた。ここまでくれば、あとは寄せていくだけ。問題なく処理できる)
と、バンプティが、心の中でフラグをたてた――その時だった。
バグがニィと笑って、
「ギギッ……儀式は十分だろう……」
そうつぶやくと、
グググっと、仮バグの体が圧縮されていく。
(小さくなった……なんだ? 何をするつもり……)
警戒していると、
仮バグは、
そのまま、
ギュゥウっと、小さくなり続けて、
ついには、視認できなくなった。
(……消えた……消滅した――というわけではないと思うのだが……しかし、気配すら……これは、どういう……)
何も感じなくなった。
――と、そう思ったと同時、
「うぐぅ!!」
バンプティの全身がしびれた。
足のつまさきから、脳みそまで、全身を突き抜けていく重たい痺れ。
「寄生型かっ……小癪なぁ!」
その痺れは、
バンプティの意識をゆがませていく。
頭の中を。グチャグチャにかきまわされているよう。
「ぬぅう……ぐぅうあああ!!」
頭を抱えてうめき声をあげるバンプティ。
だが、この程度の激痛に負けるほど、バンプティは弱くない。
「私の精神力をナメるなよぉおおっっ!!」
鋼の精神力で、仮バグの浸潤を殺そうとするバンプティ。
寄生虫の対処方法なら知っている。
この手のタイプは、心の弱い部分を狙ってくる。
だが、バンプティの精神力は強靭。
やすやすと奪われはしない。
「絶対に奪わせん! このまま、私の中で、ひねりつぶしてくれる!!」
そんなバンプティの心に、
仮バグはソっと触れて、
『抗うな。受け入れろ』
「ふざけるなっ……虫ケラごときに支配されるほど、私の心は弱くないっっ!!」
『黙れ。教えてやる。開いてやる。お前の底は、深く、広い』
「虫ケラのささやきごときで、私が懐柔されるとでも? ナメるのもたいがいに――」
『ナメてなどいない。お前を縛っているカラを砕いてやると言っているだけだ。ほら、聞こえないか? お前を縛っていた全てが砕けていく……その音が聞こえないか?』
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