センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
10話 諦めなければいいってワケじゃない。大事なことは、何をあきらめずに生きるか。
10話 諦めなければいいってワケじゃない。大事なことは、何をあきらめずに生きるか。
(下手に努力を積んだ者ほど、主に対する疑念をいだきがち。『命の王』など存在するわけがないと思いたくなってしまう人のサガ。『絶望の壁』を、当たり前のように越えていく存在などいるわけがない、という、もはや脊髄反射ともいうべきメンタル防御思考)
ハンパに『絶望を知る者』ほど、
センエースを忌避する傾向にある。
きわめて惨めで無様な『命』のあるある。
(……もはや『嘆くこと』にさえ飽き飽きしてきた『人の脆弱さ』……『人として当然の生理』と言って差し支えない無様な疑念)
主がいかに美しいか、それを言葉で並べたてることはさほど難しくない。
パメラノに本気で『主の偉業』を語らせたら、
一時も休まずに、延々としゃべり続けるだろう。
だが、だからこそ、
パメラノは、スールに対して多くの言葉を使わない。
主を理解できているからこそ、
同時に『言葉で主を伝えることはできない』と強く理解している。
(もう少し、主がまともであってくれたら、ここまで『こじれた若者』が出てくることもなかったんじゃろうが……いや、主がまともであったなら、世界は終わっていたから……これは意味のない仮定じゃな……)
パメラノは、しんどうにため息をつくと、
スっと、その目をスールと合わせて、
「ぬしの気持ちは十分に理解した」
理解したというより、あきらめたといった方が正しい。
スールと『対話を続ける理由』が、
もはやパメラノには一つもなかった。
ゼノリカに所属しているからと言って、
なんでもかんでも『あきらめずに立ち向かう』というわけではない。
上に立つ者にとっては、取捨選択も大事な仕事。
大事なものだけを守り、ゴミは捨てる。
『ゴミに時間をかけて、大事なものを疎(おろそ)かにする』など、
絶対にあってはならない。
「……熱き思いを胸に秘めた青年よ……もういいから、帰りなさい」
その発言を受けて、背後のバンプティが慌てて、
「猊下! さすがに、猊下のスピーチを邪魔したキ〇ガイを、このまま返すというのは――」
異論を唱えかけたが、
「もういい。意味がない」
バッサリとそう言い捨ててから、
無機質な目で、スールを見つめ、
「聞きたいことは全部聞かせてもらった、有意義な時間じゃったよ」
皮肉を口にするパメラノに、
スールは、少しだけムっとした顔で、
「……こっちは、まだまだ言い足りない……ですが、お忙しいパメラノ猊下の貴重な時間を奪う気はありません……『俺に聞きたいことはもう何もない』というのであれば、もちろん、これで帰らせていただきます」
そう言うと、イスから腰をあげて、
「最後に一つだけ」
パメラノに対し、強い視線を向けて、
「俺は今後も、ずっと、聖典に異を唱え続けます」
その言葉は『パメラノに対しての宣言』でもあるが、
同時に『自分に対しての宣言』でもあった。
良いか悪いかはさておき、その覚悟は本物だった。
最後の最後、扉を出る時に、
スールは、
「……俺は間違っていない」
ボソっと、そう言ってから部屋の外に出ていった。
(下手に努力を積んだ者ほど、主に対する疑念をいだきがち。『命の王』など存在するわけがないと思いたくなってしまう人のサガ。『絶望の壁』を、当たり前のように越えていく存在などいるわけがない、という、もはや脊髄反射ともいうべきメンタル防御思考)
ハンパに『絶望を知る者』ほど、
センエースを忌避する傾向にある。
きわめて惨めで無様な『命』のあるある。
(……もはや『嘆くこと』にさえ飽き飽きしてきた『人の脆弱さ』……『人として当然の生理』と言って差し支えない無様な疑念)
主がいかに美しいか、それを言葉で並べたてることはさほど難しくない。
パメラノに本気で『主の偉業』を語らせたら、
一時も休まずに、延々としゃべり続けるだろう。
だが、だからこそ、
パメラノは、スールに対して多くの言葉を使わない。
主を理解できているからこそ、
同時に『言葉で主を伝えることはできない』と強く理解している。
(もう少し、主がまともであってくれたら、ここまで『こじれた若者』が出てくることもなかったんじゃろうが……いや、主がまともであったなら、世界は終わっていたから……これは意味のない仮定じゃな……)
パメラノは、しんどうにため息をつくと、
スっと、その目をスールと合わせて、
「ぬしの気持ちは十分に理解した」
理解したというより、あきらめたといった方が正しい。
スールと『対話を続ける理由』が、
もはやパメラノには一つもなかった。
ゼノリカに所属しているからと言って、
なんでもかんでも『あきらめずに立ち向かう』というわけではない。
上に立つ者にとっては、取捨選択も大事な仕事。
大事なものだけを守り、ゴミは捨てる。
『ゴミに時間をかけて、大事なものを疎(おろそ)かにする』など、
絶対にあってはならない。
「……熱き思いを胸に秘めた青年よ……もういいから、帰りなさい」
その発言を受けて、背後のバンプティが慌てて、
「猊下! さすがに、猊下のスピーチを邪魔したキ〇ガイを、このまま返すというのは――」
異論を唱えかけたが、
「もういい。意味がない」
バッサリとそう言い捨ててから、
無機質な目で、スールを見つめ、
「聞きたいことは全部聞かせてもらった、有意義な時間じゃったよ」
皮肉を口にするパメラノに、
スールは、少しだけムっとした顔で、
「……こっちは、まだまだ言い足りない……ですが、お忙しいパメラノ猊下の貴重な時間を奪う気はありません……『俺に聞きたいことはもう何もない』というのであれば、もちろん、これで帰らせていただきます」
そう言うと、イスから腰をあげて、
「最後に一つだけ」
パメラノに対し、強い視線を向けて、
「俺は今後も、ずっと、聖典に異を唱え続けます」
その言葉は『パメラノに対しての宣言』でもあるが、
同時に『自分に対しての宣言』でもあった。
良いか悪いかはさておき、その覚悟は本物だった。
最後の最後、扉を出る時に、
スールは、
「……俺は間違っていない」
ボソっと、そう言ってから部屋の外に出ていった。
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