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5話 『九華十傑の第二席』VS『クレーマー』

 5話 『九華十傑の第二席』VS『クレーマー』

「あんたらが主を信じないのは自由だ。不快だが、咎めることはできない。自由意志は、法で認められている権利だからな! しかし、忘れるな! それはこちらも同じだということを!」

「ふざけた嘘を広めようとしている愚行と、ふざけた嘘を正そうとしている行為を同列に考えるな。あんたらの思考停止が『現状の間違い』を生んだんだ。猛省しろ」

「……ほんと、もう……こういう『自分が正しい』と思い込んでいるやつが、一番やっかいなクレーマーだよ……」

「……誰がクレーマーだ。俺は正しいことを――」

 と、そこで、
 ガチャと扉が開いて、

 小柄な老女と、
 中肉中背の老人が入ってきた。

 ゼノリカの天上九華十傑の第二席『パメラノ・コット・N・ロッド』と、
 ゼノリカの天上九華十傑の第十席序列二位『バンプティ』。

 パメラノが部屋に入ってくると同時、
 警備員のパンサクは、即座にイスから立ち上がり、
 ピシっと姿勢をただし、深い礼をしてから、スっと、片膝をついた。

 そんなパンサクに、

「下がってよい。あとはワシが話す」

「はっ」

 返事をすると、
 パンサクはスっと立ち上がって、
 キビキビと部屋から出ていった。

 パンサクが扉を閉じるのと同じタイミングで、
 スっと、イスに腰を下ろすパメラノ。
 その後ろに回って直立不動の姿勢をとるバンプティ。

 ――スールは、グっと姿勢を正し、

「はじめまして、パメラノ猊下。……まあ、さっき、会いましたけど、ちゃんと挨拶するのは初めてなんで、『はじめまして』でいいですよね」

「どうでもいい」

「でしょうね。それで、どうして、こちらに?」

「反聖典のメンバーとは、一度、ちゃんと話をしたいと思っておった。できれば、リーダーのカドヒトが良かったんじゃが……まあ、これも何かの縁じゃしな。ぬしでもかまわん」

「話……ねぇ。それで、どんな話し合いをします? 税金についてとか? 俺は、今の税率で満足していますよ。さすが、ゼノリカ。あの世もこの世も含めて『すべての支配者層』が『見習うべき』と確信できる素晴らしい政治力」

「気色の悪い世事はいらん」

「お世辞ではなく本音を語っています。俺は、天上の方々を尊敬している。敬愛していると言ってもいいかもしれない」

「では、なぜ、ワシの挨拶を邪魔した? 聖誕祭は、この上なく尊き主の誕生を祝する、とても、とても、大事な場……その大事な場での――」

「あの場で、あなたは、こう言った。『今、我々が幸福に生きていられるのは、すべて主のおかげである』と」

「言ったのう、間違いなく。うたがいようのない完璧な事実を、ありのままに述べたのみ。主がおられなければ、この世はとっくの昔に終わっていた。……で、それの何が不満なんじゃ?」

「あなた自身に……ゼノリカに関して不満は一つもない。ゼノリカはすごい。ゼノリカが必死になって世界を整えてくれたから、俺たち一般人はこうして、輝く明日を求める毎日を、のうのうと生きていられる。感謝しかない」


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