センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
36話 過去と未来を繋ぐ、たった一つの希望。
36話 過去と未来を繋ぐ、たった一つの希望。
「どこまでも光を求めてさまよう旅人。ここは幾億の夜を越えて辿り着いた場所。さあ、詠おう。詠おうじゃないか。喝采はいらない。賛美も不要。俺は、ただ、絶望を裂く一振りの剣であればいい」
「……なんのポエムだ?」
ザコーが、最大級に警戒しながら声をかけると、
ルースは、右手を天に掲げた。
その奇妙な動きをうけて、ザコーは、
「っ?!」
当然、腰を落として、いつでも動けるように関節を調律する。
そんなザコーの視線の先で、
ルースが、
「――ヒーロー見参――」
その言葉を口にすると、
ルースの手の中に、
とてつもなく深い光が収束していく。
そのまばゆい光は、おだやかに、静かに、優しく、結晶化していく。
ピンポン玉サイズの輝く玉になった光。
ルースは、それを、ザコーに差し出しながら、
「受けとれ、ザコー。『ヒント2』だ」
「ヒント2……ねぇ」
つぶやきつつ、舌打ちを挟んでから、
「お前、あの『ナイア』とかいう壊れたガキの知り合いか?」
「少し違う」
「……ああ、そう」
そう言いながら、
ザコーは、警戒心をMAXにしたまま、
しかし、ゆっくりと、ルースのもとに近づき、
「お前は誰だ?」
「想いの結晶。不完全な虚構。過去と未来を繋ぐ、たった一つの希望。最後の砦。英雄を愛した影」
「すさまじく抽象的だな。まさか、それで理解できるとは思っていないよな?」
そんなザコーの疑問を置き去りにして、
ルースは、光のピンポン球を、さらにズイっと差し出して、
「受け取れ、ザコー。『ヒント2』だ」
「そして、無限ループか。こわいねぇ」
戯言を口にするザコーに、
ルースは、感情の向こう側にある表情で、
どこか神妙に、
「俺にできるのはここまでなんだ。さっさと受け取ってくれ」
冗談のテンションではなかった。
重たいシリアスのまま、
まっすぐにザコーの目を見るルース。
当然、ザコーは、
「……一から十まで、意味が、さっぱりわからねぇ……」
あたりまえの疑問を口にする。
まっとうな疑問の中で、わずかに迷いながら、
しかし、ザコーは、
「わからねぇが……」
ルースの瞳から『強い想い』を感じ取ってしまったため、
「……まあ、いいか。迷ってばっかりじゃ、一歩も前にすすめねぇ。現状維持は、俺が望む場所から最も遠い怠惰」
そう言いながら、
ザコーは、
ルースから、光の球を受け取った。
すると、
「っっ?!! ぐぅう……っ!!!」
頭の中に、多くの『シーン』が映し出される。
不鮮明で、けれど『輪郭だけはハッキリしている奇妙な映像』が、
ザコーの脳裏を、縦横無尽に駆け抜ける。
「これは……記憶……? なんの……誰の……」
視点が不安定で、
ところどころ、モザイクのような霞がかかっていて、
「カドヒト……イッツガイ……」
ふいに、頭の中で、そんな名前が浮かんだ。
門(かど)
人(ひと)
壱(いつ)
番(つがい)
「……反……聖典……」
概念と想いが流れこんでくる。
「……バンプティ……」
また、誰かの名前が浮かぶ。
ゼノリカの天上九華十傑の第十席序列二位『バンプティ』。
理解はできない。
何もわからない。
ただ、妙に厚みのある輪郭だけが、
ザコーの脳内を埋め尽くす。
「これは、記憶ではなく……『今の投射』……いや、今の投射でありながら……記憶でもある記録……なんだ、これ……どういう……」
ザコーの疑問に、
ルースが答える。
「理解は必要ない。お前はただの座標」
「……わけ……わかんねぇ……どうしたいんだよ……なにをさせたい……」
「いつか、全部わかるよ。きっと」
「……ぁ……」
そこで、ザコーの意識は飛んだ。
無意識の中で、けれど、視覚情報だけは、つらつらと流れていく。
あまりにも奇妙な体験。
ゆっくりと、
ゆらゆらと、
前提が整っていく。
『いや、センエースって、お前らが言うようなヤツじゃないから。ただのクソボッチだから。イカれた欲望に溺れまくっているだけのド変態だから。過剰に崇めるの、マジでやめろ。気持ち悪い! みろ、この鳥肌を! これ以上、俺の交感神経に嫌がらせをするのはやめろ! 俺が、かわいそうだろう! このバカどもがぁ!』
頭の中をスルスルと流れていく言葉。
その言葉に対して感じる、奇妙なほどの暖かさ。
ザコーは、無意識の中で、
「……たった一つの希望……最後の砦……」
ボソっと、そうつぶやいた。
「どこまでも光を求めてさまよう旅人。ここは幾億の夜を越えて辿り着いた場所。さあ、詠おう。詠おうじゃないか。喝采はいらない。賛美も不要。俺は、ただ、絶望を裂く一振りの剣であればいい」
「……なんのポエムだ?」
ザコーが、最大級に警戒しながら声をかけると、
ルースは、右手を天に掲げた。
その奇妙な動きをうけて、ザコーは、
「っ?!」
当然、腰を落として、いつでも動けるように関節を調律する。
そんなザコーの視線の先で、
ルースが、
「――ヒーロー見参――」
その言葉を口にすると、
ルースの手の中に、
とてつもなく深い光が収束していく。
そのまばゆい光は、おだやかに、静かに、優しく、結晶化していく。
ピンポン玉サイズの輝く玉になった光。
ルースは、それを、ザコーに差し出しながら、
「受けとれ、ザコー。『ヒント2』だ」
「ヒント2……ねぇ」
つぶやきつつ、舌打ちを挟んでから、
「お前、あの『ナイア』とかいう壊れたガキの知り合いか?」
「少し違う」
「……ああ、そう」
そう言いながら、
ザコーは、警戒心をMAXにしたまま、
しかし、ゆっくりと、ルースのもとに近づき、
「お前は誰だ?」
「想いの結晶。不完全な虚構。過去と未来を繋ぐ、たった一つの希望。最後の砦。英雄を愛した影」
「すさまじく抽象的だな。まさか、それで理解できるとは思っていないよな?」
そんなザコーの疑問を置き去りにして、
ルースは、光のピンポン球を、さらにズイっと差し出して、
「受け取れ、ザコー。『ヒント2』だ」
「そして、無限ループか。こわいねぇ」
戯言を口にするザコーに、
ルースは、感情の向こう側にある表情で、
どこか神妙に、
「俺にできるのはここまでなんだ。さっさと受け取ってくれ」
冗談のテンションではなかった。
重たいシリアスのまま、
まっすぐにザコーの目を見るルース。
当然、ザコーは、
「……一から十まで、意味が、さっぱりわからねぇ……」
あたりまえの疑問を口にする。
まっとうな疑問の中で、わずかに迷いながら、
しかし、ザコーは、
「わからねぇが……」
ルースの瞳から『強い想い』を感じ取ってしまったため、
「……まあ、いいか。迷ってばっかりじゃ、一歩も前にすすめねぇ。現状維持は、俺が望む場所から最も遠い怠惰」
そう言いながら、
ザコーは、
ルースから、光の球を受け取った。
すると、
「っっ?!! ぐぅう……っ!!!」
頭の中に、多くの『シーン』が映し出される。
不鮮明で、けれど『輪郭だけはハッキリしている奇妙な映像』が、
ザコーの脳裏を、縦横無尽に駆け抜ける。
「これは……記憶……? なんの……誰の……」
視点が不安定で、
ところどころ、モザイクのような霞がかかっていて、
「カドヒト……イッツガイ……」
ふいに、頭の中で、そんな名前が浮かんだ。
門(かど)
人(ひと)
壱(いつ)
番(つがい)
「……反……聖典……」
概念と想いが流れこんでくる。
「……バンプティ……」
また、誰かの名前が浮かぶ。
ゼノリカの天上九華十傑の第十席序列二位『バンプティ』。
理解はできない。
何もわからない。
ただ、妙に厚みのある輪郭だけが、
ザコーの脳内を埋め尽くす。
「これは、記憶ではなく……『今の投射』……いや、今の投射でありながら……記憶でもある記録……なんだ、これ……どういう……」
ザコーの疑問に、
ルースが答える。
「理解は必要ない。お前はただの座標」
「……わけ……わかんねぇ……どうしたいんだよ……なにをさせたい……」
「いつか、全部わかるよ。きっと」
「……ぁ……」
そこで、ザコーの意識は飛んだ。
無意識の中で、けれど、視覚情報だけは、つらつらと流れていく。
あまりにも奇妙な体験。
ゆっくりと、
ゆらゆらと、
前提が整っていく。
『いや、センエースって、お前らが言うようなヤツじゃないから。ただのクソボッチだから。イカれた欲望に溺れまくっているだけのド変態だから。過剰に崇めるの、マジでやめろ。気持ち悪い! みろ、この鳥肌を! これ以上、俺の交感神経に嫌がらせをするのはやめろ! 俺が、かわいそうだろう! このバカどもがぁ!』
頭の中をスルスルと流れていく言葉。
その言葉に対して感じる、奇妙なほどの暖かさ。
ザコーは、無意識の中で、
「……たった一つの希望……最後の砦……」
ボソっと、そうつぶやいた。
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
1980
-
-
57
-
-
353
-
-
314
-
-
550
-
-
63
-
-
361
-
-
381
-
-
93
コメント