センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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34話 ゴキの処分。

 34話 ゴキの処分。

「裏の方じゃ、噂はすでに流れている。ヤマトが抜け、ザコーもミスを犯した。ゴキのブランドは失墜。散々だ。……ロコの暗殺なんていう『クソみたいな仕事』を押し付けられさえしなければ……こんなことにはならなかった……」


 ザコーから、グツグツとした怒りを向けられて、
 アギトは鼻で笑い、

「なんだ、それ……まさか、貴様、ゴキのブランドが落ちた理由は、私にあると言いたいのか?」

「別に、そこまで直接的なことを言う気はないさ。ただ、原因の一端であることは間違いなく、そのことについて、俺がキレているのも事実ってことは覚えておいたほうがいい」

「……ふざけるな、ボケが。ブチ殺すぞ」

 血走った目でニラみ合う両者。
 たがいの熱気で空間がビリビリと震えている。

 数秒のニラみ合いの果てに、
 ザコーが、
 ふいに、フっと笑みを浮かべて、

「……ま、今回は素直に頭を下げておいてやるよ。もうしわけありませんでした」

「……なんだ、急に」

「言いたいことは全部言わせてもらったからな。『ヤマトを失った悲しみ』の『ハケ口』になってくれたこと、心底から感謝するよ」

 そう言うと、ザコーはソファーから腰を上げて、

「おい、話はまだ何一つ終わっていないぞ。こら、どこにいく!」

「最近、いろいろあって、心が疲れているんでね。ちょいと休暇をもらうつもりだ」

「……なに言ってんだ、貴様……いや、本当に……何を言って――」

「別にいいだろ。使えないお荷物組織ゴキに頼む仕事なんかないだろうしな」

「……」

「休暇はマジでもらう。ガチでいろいろと心を整理したい。つーわけで、じゃあな、アギト様、おげんきでー」

 そう言い捨てて、ザコーはアギトの邸宅から出ていった。
 躊躇も警戒心もない、軽快な足取り。
 その事実が、よけいに、アギトをイラ立たせた。

 ――残されたアギトのナナメ後方に、
 アギト直属の特殊部隊隊長『ダギー』が近づいてきて、

「ゴキの処分……いかがしますか、アギト様」

「……」

 アギトは、数秒考えてから、

「……放っておく」

「よろしいのですか?」

「ゴキと敵対しても益はなにもない……まさかゴキが失敗すると思っていなかったから、つい憤慨したが……あいつらをどうにかしようとは思っていない……信用しすぎた私のミスだ」

 深呼吸をはさみ、
 天を仰ぎ、

「まいったな……学園に忍ばれたら、もはや、打つ手がない……」

 そう言いながら、頭を抱え、

「900億か……」

 うめくように、損害を数えるアギトに、
 ダギーが深々と頭を下げて、

「もうしわけありません」

 真摯に謝罪してきたダギーに、アギトは無表情で、

「……謝る必要はない。あてつけたわけじゃない」

 そう言いながら、ゲンの顔を思い出し、

「アレ(ゲン)は折れない。何をしようと、決して……いや、もはや、そういう問題ですらない」

 ミクロで見れば、そこが問題なのだが、
 マクロで見れば、問題はもっと立体的。

「アレとロコはヤバい……どちらもまだガキだから、現状では、ギリギリ脅威たりえていないが、あのまま成長すれば、確実に世界の脅威となる」

 どちらも頭がおかしく、
 そして、非常に資質が高い。

「力をつける前に、どうにかして殺しておかなければいけなかった……なのに……ぐっ」


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