センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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31話 ザコーの最終目標。

 31話 ザコーの最終目標。

「そんな顔するなよ、ちょっとした『なろうギャグ』さ。ここまでニッチになりすぎると、一般人出身のお前には、さすがに、一ミリたりとも伝わらねぇだろうが。ん? さらに意味がわからないって? だろうな。なんせ、伝える気がまったくないからな、あはは」

「……狂ってやがるな……なにもかも……」

 ボソっと、ただの本音をこぼすザコー。

 そんなザコーから視線を外し、ナイアは、
 ロコとヤマトを両肩にヒョイヒョイとかついで、
 10階へと至る階段に向かう。

「気絶しているロコ様はわかるけど、なんで、私までかつがれているのかなぁ?」

「ついで」

「なんだか、いろいろと、『ついで』で処理されている気がして、ちょっと不愉快だねぇ」

「なら、メインを張れるように頑張るんだな。努力が足りないカスを、俺は認めない」

「努力かぁ……苦手な分野だなぁ……」

 などと言いつつ、ナイアの肩でゴロゴロとくつろぐヤマト。

 ――と、そこで、無力感に打ちひしがれているザコーが、

「た、たのむ……つれていかないで……ください……」

 気力を振り絞って、

「俺から……ヤマトを奪わないでくれ……っっ」

 腹の底から声を出す。

「そいつは必要なんです……っ……おねがい……します……っ」

 真摯に、そう言葉を並べていくザコーに、
 ナイアは、視線を向けることなく、

「心配するなよ、ザコー。ヤマトがいなくても、お前は目的を達成することができる」

「……は?」

「ヤマトというダウジングマシンがなくとも、お前は『エイボンの書』を見つけられると言っている」

「……っ?!」

 ヤマトの豪運は常軌を逸している。
 この試験中でも『普通は発見するのに時間がかかる隠しスイッチや隠し扉』なども、ことごとく『なんか、あった』の一言で見つけてしまう、イカれた豪運。

 その豪運は、もはや、偶然や奇跡ではなく『イカれた必然』の領域に至っている。

 ――ゆえに、
  『手がかりが何もない探し物』を求めている者にとって、
   『彼女の存在』は、絶対に手放せない必須事項。
   失えば、プロジェクトが根本から破綻する。

「……ど、どうして……」

 ザコーは、ヤマトに『アイテム探しに利用するつもりであるということ』は伝えていない。
 というか、誰にも喋ったことはない。
 自分の胸の中だけにしまっていた秘密。
 それも、当然の話。

 ――俺の夢は、いつか『エイボンの書(究極アイテムの入手法が記されているという伝説の魔導書)』を見つけることです――

 などと、そんな妄言、誰にも言えるわけがない。

 第一アルファ基準で言えば、
 『シェンロンにお願いしたいことがあるので、ガチでドラゴンボールを探しています』
 などとのたまうようなもの。
 悪のカリスマが、そんなことを言えるわけがない。

「誰も知らないはず……俺は誰にも言っていない……まだ、準備を進めている段階で、実際に探し出してすらいない……なのに……どうして、俺が――」

 『エイボンの書を求めている、ということを知っているのか」
 ――と、そんな当然の疑問を口にするよりもはやく、
 ナイアが、

「お前の望みは間違いなく叶う。それはもう『決まっていること』なんだ」


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