センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

124話 ランク魔法のインフレが止まらない。

 124話 ランク魔法のインフレが止まらない。

「なんでも、やってみるもんだな……八割方壊してしまうだろうと思っていたんだが、完璧に成功した……すごいな、俺……いや、この場合、俺がすごいというより、そういう運命だったと考えた方が楽しいか?」

 などと言いながら、
 ヤマトのもとへと近寄っていく。

 目と鼻の先まで近づくと、

「さて……それじゃあ、そろそろ、まともな対話をはじめようか」

 そう言うと、ナイアは、ギュっと拳を握りしめて、

「さあ、もっと俺を『理解』してくれ」

 言いながら、ヤマトの腹部に、

「がはっ!!」

 ガンと拳を叩き込む。

 吐血するほどではない。
 『くの字』になる程度の拳。
 意識がマヒするほどではない拳。
 ある意味で、もっとも痛みを感じることができる明快なダメージを受けて、

「ぅぷ……ぅえ……ぉ、重たいねぇ……」

 ヤマトは、
 ゆがんだ表情で、
 しかし、夢見心地ではなく、
 ハッキリと、ナイアの目を見て、

「……き、聞いていいかなぁ」

「ああ、特別だぞ」

「私に……何をしたのかなぁ?」

「ちょっと壊れすぎていたから、少しだけ修理した。修正しすぎると楽しくないから、ほんの少しだけ、調節する程度に」

「……ははは……すごいこと言っているねぇ……」

 言いながら、ヤマトは姿勢をピンと伸ばして、

「回復魔法……って感じでもなかった……何か、とても暖かい……まるで、天上から降り注ぐ光のような……」

 ぶつぶつと、そう言葉を発しているヤマトに、
 ナイアは、

「ランクに換算すれば2000を超える神の魔法だからな。そこらの回復魔法とは次元が違う。つぅか、同列に考えてはいけない」

「……ランク2000の魔法? ……は、ははは」

 狂ったような笑いではなく、
 乾いた笑いだった。

 あきらかな嘲笑。
 小バカにしている――というわけでもないのだけれど、
 『その手の雰囲気』が漂って仕方がない笑み。

 その笑みを受けて、
 しかし、ナイアは、
 薄く口角を上げた。

「ふふ、ようやく、まともな会話ができそうだな」

 そうつぶやくと、
 右手を天に掲げ、



「創世(そうせい)・不浄聖域(ふじょうせいいき)ランク3500」



 狂ったランクの魔法を使う。

 すると、
 異空間が弾けて、
 まるで、宇宙のように、
 無数の光の粒に包まれた領域へと変貌した。



「ぁ……ぁあ……」



 ヤマトが、ただただ圧倒されていると、
 ナイアが、続けて、





「煉獄(れんごく)・不滅彗星(ふめつすいせい)ランク3700」





 またもや、凶悪なランクの魔法を使った。
 ほとばしる魔力量は、
 ヤマトの理解を超えている。
 大きいとか小さいとかではなかった。
 ――ただ、まぶしかった。

 ナイアの魔法は、まるで世界を終わらせる息吹。
 宇宙を切り取ったような亜空間のあちこちで、
 灼熱(しゃくねつ)を装飾したような盲愛(もうあい)の輝きが、
 群れをなす烈日(れつじつ)のごとく、
 無数に膨らんでは、盛大に弾けて飛んでいく。


 唐紅(からくれない)の荘厳なテイルを残しながら、
 黒檀(こくたん)を瑠璃(るり)に、
 瑠璃(るり)を紫銀(しぎん)にと鮮やかに、

 高貴な七色へと変化していく様(さま)は、
 まるで光沢の強いベルベットみたいで、

 寂しがり屋の無を強引に包み込み、
 すべての天(そら)を、
 神様の絵画にしていく。

「世界が……終わっていく……」


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