センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

123話 さすがに修正。

 123話 さすがに修正。

「呪いをもとに戻してくれないかなぁ? 私は『男の自分』をすごく気に入っていてねぇ。まあ『男であることが好き』っていうより『女であることが面倒くさい』って感じだけど、まあ、どっちでもいいよねぇ」

 などと言っているヤマトの言葉に、

「聞けない願いだ」

 いっさい耳を傾けず、
 ナイアは、

「……ふぅううううううう……」

 深く息を吐いて、
 そして、

「……真・究極超虹神気……」

 果て無き虹気を発動させる。
 膨れ上がっていく力。
 その力を目の当たりにして、
 ヤマトは、

「わぁ……大きいねぇ……てか、なんなのかな『しん・きゅうきょくちょうこうしんき』って。虹気の最終進化系みたいな? ははは……ほんと、もう、一ミリも理解できないくらい大きいねぇ……なんなんだろう……君って、たぶん、人間じゃないよねぇ?」

「いや、人間だ。少なくとも、この器は人間だ」

「へぇ……人間ってすごく大きくなれるんだねぇ。驚きだよぉ」

 などと言っているヤマトの目は完全に飛んでいて、
 幻覚を見ている人間のようになっていた。

 ハッキリ言って、
 ヤマトの『中』でも、
 すでに、現実と夢の区別がついていない状態にある。

 ゲンが黒い混沌に包まれた時ぐらいから、
 頭がついてきていない。
 今の彼女は、ただの、狂気的なプライドに操られている空虚なマリオネットでしかない。

「これは……たぶん、夢だと思うんだけど……夢の感じがしないなぁ……困ったなぁ……」

 などと、ぶっ飛んだ目でラリっているヤマト。

 そんなヤマトに対し、
 ナイアは、

「……『クールに壊れている』というのがヤマトの持ち味……修正してしまえば、魅力半減で、楽しさが少し薄れてしまうんだが……」

 ぶつぶつと、そう言ってから、

「……しかし、ここまで歪んでいると、さすがにつまらない……となれば……修理してみるしかない……が、この辺の調整は、すさまじく難易度が高い……はたして、うまくできるか……」

 数秒だけ悩んだが、

「……まあ、いいか……最悪、失敗しても、それは『そういう運命だった』と諦めよう」

 決意すると、
 両手に魔力を溜めていく。
 細かく、魔力を調節しつつ、



「――『神の慈悲』――」



 そう言いながら、パチンと両手の指を鳴らした。

 すると、
 ヤマトの全身が淡い光に包まれた。

(……な……なに……この光……)

 暖かな光。
 心の輪郭が見えてくるような、
 とても暖かくて、心地いい光。

 脳の奥からドクドクと分泌液があふれて、
 全身がカァっと満たされたように熱くなる。

 ――数秒後、

「……かはっ……」

 ヤマトは、深く息を吐いて、
 大きく酸素を吸った。
 全身が脈動している。

(……ぁあ……なんだか……すごく……頭がスッキリしている……今までは、ずっと寝ぼけていたような……けど、今では、頭の中のモヤがなくなったような……)

 半眼で寝ぼけていたような先ほどまでとは違い、
 意識がシャキっとしているような、
 感覚が研ぎ澄まされているかのような……

 そんなヤマトの様子を見て、
 ナイアは、

「なんでも、やってみるもんだな……8割方壊してしまうだろうと思っていたんだが、完璧に成功した……すごいな、俺……」

 ボソボソと、

「いや、この場合、俺がすごいというより、そういう運命だったと考えた方が楽しいか?」

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