センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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119話 クツグアの呪い。

 119話 クツグアの呪い。

 ヤマトは、自分の胸と股間に手をあてた。

 5年つきあったコトでようやく慣れてきた『男の象徴』が完全に消滅し、
 かわりに『同年代と比べると、かなりボリュームがある胸部』が追加された。

 ――完全に『女』に戻っている自分を確認すると、

「……ど、どうやって解いたのかなぁ……『クツグアの呪い』を……どうやって……」

「ふふん。クツグアが『アウターゴッド級』だという誤認が広まっているようだが、あんなもの、しょせんは、ただの最上位GOO。GOOの中で最高位であることは認めるが、アウターゴッドとGOOの間には超えられない壁がある。ようするに、俺の相手じゃないってこと。そもそも、そのデータ書き換えは、正確にいうと、クツグアの呪いというより、リライトの呪いだしなぁ」

「理解できないねぇ……君が言っていることは、最初から今に至るまで、何一つ……君は、何者なのかなぁ?」

 何者かと問われて、
 ゲンは、

「ようやく聞いてくれたな! 我こそが……っ」

 と、勢いよく名乗りをあげようとして、

「……んー、いや……まだその時じゃないな……」

 と首を横に振ってから、

「今は……そうだな……『ナイア』とでも名乗っておこうか。ナイア・ゲン・フォース。それ以上でもそれ以下でもない者。それが、今の俺だ。ご理解OK?」

「いや……さっぱり、わからないねぇ」

「だろうな。名前だけ言われたところで、さっぱりだろうよ」

 そう言って、ケラケラと笑ってから、

「俺が何者であるか……『それを知る資格』がお前ごときにあるはずがない。俺の名乗りを受ける資格を有する者……その資格を得られる可能性があるのは、この世で、ただ一人だけ」

 そう言いながら、遠くを見つめ、

「……今はまだツボミの月光、狂気の愛を背負い舞う閃光……」

 ボソっとそうつぶやいてから、
 ヤマトの目をみつめ、

「罪帝ヒミコ。お前は希少な存在だ。ゲン・フォースの人生をより面白く出来る花。ゆえに、殺さない。お前は俺の道具として、ゲン・フォースのヒロインになってもらう」

 などと、そんなことを言われたヤマトは、
 困惑を飲み込みながら、
 グっと奥歯をかみしめ、

「何を言っているか、さっぱりわからないけれど、とりあえず、どうしても言っておきたいことは……私は罪帝ヒミコではなく、ゴキのヤマトだってことだねぇ」

 そう言いながら、

「……たとえ呪いがとけたとしても、罪帝ヒミコに戻るつもりはない……というより、よくも呪いをといてくれたなと、正直憤慨しているんだよねぇ。だから……」

 ヤマトはアイテムボックスからクナイを取り出す。

 万能オールマイティな資質を持つ彼女は、
 シノビ関連の技能も有している。
 物理遠距離系の攻撃としてシノビ属性は非常に優秀。
 その分、マスターするのが難しい上級職だが、彼女ならば余裕。

 ヤマトは、特性のクナイに爆裂属性の魔力を込めて、
 目にもとまらぬ速攻で投げつけた。

 素のゲン・フォースであれば、よけることなど到底できず、
 クナイを投げられたことにも気づかないまま直撃し、
 首が爆散していたことだろう。

 しかし、ナイア・ゲン・フォースは、

 その俊敏極まりないクナイを、
 シュパっと、当然のように人差し指と親指でつまんで、
 クルクルッっと、手の中で回して遊びながら、


「ためすなよ、俺を……お前ごときが」


 きわめて平坦な声でそう言った。

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