センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
97話 行かせない。
97話 行かせない。
ソウルさんは、
「剣気ランク10!!」
自身を可能な限り強化してから、
足にグンと力を込めた。
全身全霊。
ヤマトを殺すために、自分の全てを賭した。
血が沸騰する。
沸き上がってくる。
蒸発して、練り上げられて、
心が、魂が、
一つ一つの形が、
雅(みやび)な芸術となり、
歪な混沌を経て、
――けれど、
「……ぐぅ……」
ソウルさんは倒れこむ。
的確な拳を、幾度となく急所に叩き込まれて、
ついには耐えきれなくなった。
ヤマトの武にスキはなかった。
特化している強みはないが、際立った弱点もない。
ただ純粋に『すべて』が優れている。
ほとんどパーフェクトと言ってもいいオールラウンダー。
力も技も剛も柔も気も魔も、
すべてが、ソウルさんの上に至っている。
だから必然。
当たり前の帰結。
地に伏しているソウルさんは、
吐血しながら、
「三人がかりでも……結局……傷一つ……つけられなかったか……」
「呼吸は乱れましたよぉ。それだけでも誇れる功績ですねぇ。この私という天才は、呼吸を乱れさすだけでも誇れるほど、スゴくてカッコいい……それだけの話ですよぉ」
嫌味ではなかった。
その発言すら嫌味にならないだけの差があった。
ヤマトは、あまりにも強すぎた。
「さて、そろそろ、あの子たちを追いかけましょうかぁ」
そう言って、ソウルさんに背を向けるヤマト。
そんなヤマトの足を、
ソウルさんが、ガっと掴む。
「……おやおや」
ヤマトは、自分の足を掴んでいるソウルさんに視線を向けて、
「かなり削ったつもりなのですが……まだそれだけの握力が残っていますか」
心底感心した顔で、
「この力は……『余力』……ではなく、意地とか覚悟とか……そういう精神的な力ですね……魂魄のまたたきを感じる……いいですねぇ」
「行かせない……もう少し……私に付き合ってもらう……体はほとんど動かないが……口は、まだ動く……ということで、さあ……おしゃべりをしようじゃないか」
「美しいですねぇ。嫌いではありませんよぉ。まあ、好きかどうかと聞かれたら微妙なところですけどねぇ。私、好きなものとか特にないのでぇ」
などと、意味のない言葉を口にするヤマトに、
ソウルさんは、
「その調子で、ダラダラとおしゃべりを続けてくれ……話を聞くのは得意な方じゃないが、今日、この瞬間だけは……一流ホステスのように、お前の益体(やくたい)ない無駄話に、見事な相槌を打ち続けてやろう」
覚悟を見せつけるソウルさんに、
ヤマトは、
「すごいですねぇ、かっこいいですねぇ。鋭い覚悟を、ビシバシ、感じますよぉ……けど、その力が限界なら、あなたは私を止められないですねぇ」
そう言って、
自分の足を掴んでいるソウルさんの腕に向かって、
「火弾ランク15」
高火力の魔法を放った。
「ぐぅうぁああああああ!」
上腕が燃える。
重たい火に包まれる。
「私、魔法も得意なんですよねぇ。というか、苦手なものがないんですよねぇ、てへっ」
などと、舌を出しながらオチャラけてみせるヤマト。
かなり強力な火弾を放ったので、
さすがに終わりだろうと思っていたが、
――しかし、
「うぅう……ぐぅう……」
ソウルさんは、ニィと笑って、
「……さあ、おしゃべりの続きだ。……哲学の話でもしようか……」
気力を振り絞り、
「ヤマト……お前は死について、どう思う?」
時間がかかる討論テーマを掲げた。
ソウルさんは、
「剣気ランク10!!」
自身を可能な限り強化してから、
足にグンと力を込めた。
全身全霊。
ヤマトを殺すために、自分の全てを賭した。
血が沸騰する。
沸き上がってくる。
蒸発して、練り上げられて、
心が、魂が、
一つ一つの形が、
雅(みやび)な芸術となり、
歪な混沌を経て、
――けれど、
「……ぐぅ……」
ソウルさんは倒れこむ。
的確な拳を、幾度となく急所に叩き込まれて、
ついには耐えきれなくなった。
ヤマトの武にスキはなかった。
特化している強みはないが、際立った弱点もない。
ただ純粋に『すべて』が優れている。
ほとんどパーフェクトと言ってもいいオールラウンダー。
力も技も剛も柔も気も魔も、
すべてが、ソウルさんの上に至っている。
だから必然。
当たり前の帰結。
地に伏しているソウルさんは、
吐血しながら、
「三人がかりでも……結局……傷一つ……つけられなかったか……」
「呼吸は乱れましたよぉ。それだけでも誇れる功績ですねぇ。この私という天才は、呼吸を乱れさすだけでも誇れるほど、スゴくてカッコいい……それだけの話ですよぉ」
嫌味ではなかった。
その発言すら嫌味にならないだけの差があった。
ヤマトは、あまりにも強すぎた。
「さて、そろそろ、あの子たちを追いかけましょうかぁ」
そう言って、ソウルさんに背を向けるヤマト。
そんなヤマトの足を、
ソウルさんが、ガっと掴む。
「……おやおや」
ヤマトは、自分の足を掴んでいるソウルさんに視線を向けて、
「かなり削ったつもりなのですが……まだそれだけの握力が残っていますか」
心底感心した顔で、
「この力は……『余力』……ではなく、意地とか覚悟とか……そういう精神的な力ですね……魂魄のまたたきを感じる……いいですねぇ」
「行かせない……もう少し……私に付き合ってもらう……体はほとんど動かないが……口は、まだ動く……ということで、さあ……おしゃべりをしようじゃないか」
「美しいですねぇ。嫌いではありませんよぉ。まあ、好きかどうかと聞かれたら微妙なところですけどねぇ。私、好きなものとか特にないのでぇ」
などと、意味のない言葉を口にするヤマトに、
ソウルさんは、
「その調子で、ダラダラとおしゃべりを続けてくれ……話を聞くのは得意な方じゃないが、今日、この瞬間だけは……一流ホステスのように、お前の益体(やくたい)ない無駄話に、見事な相槌を打ち続けてやろう」
覚悟を見せつけるソウルさんに、
ヤマトは、
「すごいですねぇ、かっこいいですねぇ。鋭い覚悟を、ビシバシ、感じますよぉ……けど、その力が限界なら、あなたは私を止められないですねぇ」
そう言って、
自分の足を掴んでいるソウルさんの腕に向かって、
「火弾ランク15」
高火力の魔法を放った。
「ぐぅうぁああああああ!」
上腕が燃える。
重たい火に包まれる。
「私、魔法も得意なんですよねぇ。というか、苦手なものがないんですよねぇ、てへっ」
などと、舌を出しながらオチャラけてみせるヤマト。
かなり強力な火弾を放ったので、
さすがに終わりだろうと思っていたが、
――しかし、
「うぅう……ぐぅう……」
ソウルさんは、ニィと笑って、
「……さあ、おしゃべりの続きだ。……哲学の話でもしようか……」
気力を振り絞り、
「ヤマト……お前は死について、どう思う?」
時間がかかる討論テーマを掲げた。
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