センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
84話 全部を……あつめて……
84話 全部を……あつめて……
「なんなんだ、貴様は……『貴様ら』は……いったい……何がしたいんだ……」
ゲンとロコ。
両者に対して、アギトは心底から『不快感』を覚えた。
まるで、自身の体内で二匹のムカデが這い回っているみたい。
と、そこで、ゲンが、
「げほっ……がはっ……」
重たく吐血した。
濃い血があふれる。
酷く真っ赤で、深くドロっとしている。
ゲンは、少し息を吸って、
口元をぬぐって、
激痛と仲良くしながら
「俺は……ゲン・フォース。まだ……何者でもなくて、けど目的はあって……だから、必死になって……毎日を積み重ねている者」
途切れ途切れに、
しかし、ハッキリと通る声で、
「……『あっちのヤベェお嬢様』に関しては……よくわからん。何がしたいのか、何を思っているのか……正直、何一つわからない……」
息も絶え絶え、
全身ボロボロ、
――それでも、ゲンは続けて、
「本音を言わせてもらえれば『気持ち悪い』とすら思う……『ロコ様が何をしたいと思っている』のか、俺には、さっぱりわからない。……ぃや……まあ、少しは……おぼろげには……理解できなくもない――ところもなくはないって感じなんだけど……けど、結局のところは、やっぱりわからない」
飾り気のない本音を前に置いてから、
「……わからないから……」
顎を上げて、
アギトの目を睨み、
「わかりたいんだろう……きっと。傲慢なほどに……俺は『あの子』をわかりたいと思っている……」
「……」
「この情動を……大事にしたいっていう、俺のワガママを……」
ゆっくりと、拳を構える。
「……あつめて……」
ゲンの全てが充実していく。
心と技と体。
すべてが、まだまだ未熟でお粗末。
けれど、だからこそ表現できる『何か』はきっとある。
――なんて、そんなことを思いながら、
ゲンは、
「――ゲン・ワンダフォ――」
ありとあらゆる感情がゲンの中で一つになる。
未完成の器に亀裂が入る。
ピシっと音が入って、
パリンと割れる。
すると、その陰影に、
新たな軸が生まれる。
壊れて、再生して、砕けて、取り戻して、
そんなことを繰り返しながら、
命の器は磨かれていく。
命は完成しない。
けれど、だからこそ永久(とわ)に――
「がぁっっ!!」
ゲンの拳が、アギトの腹部に直撃。
避けられない速度ではなかったが、
なぜだか『受け止めたくなった』ため、
アギトは避けずに、その身で受け止めた。
(うぐぅ……な、なぜ、私は……こいつの拳を受け止めた……よけられたはず、いなせたはず、どうとでも出来たはず……それも、すべて、造作もなく! なのに! なぜ!)
自分で自分が理解できない。
アギトの中でも何かが壊れている。
(痛みは……さほどない。衝撃はあったが、その程度……だが)
アギトは『きわめて不透明な自分』に迷いながら、
(こいつの拳からは『重たい覚悟』を感じる……不自然なほど、悠久(ゆうきゅう)を思わせる重たさ……この重たさは一体なんだ……このガキは、五歳程度の子供なのに……どうして、それほどの重さを……)
疑問が止まらない。
何もわからない。
ずっと、ずっと、奇妙がすぎる。
(なにもわからない……だが……)
だが、一つだけわかったことがある。
(折れない……こいつは……たとえ永遠を積んでも……)
「なんなんだ、貴様は……『貴様ら』は……いったい……何がしたいんだ……」
ゲンとロコ。
両者に対して、アギトは心底から『不快感』を覚えた。
まるで、自身の体内で二匹のムカデが這い回っているみたい。
と、そこで、ゲンが、
「げほっ……がはっ……」
重たく吐血した。
濃い血があふれる。
酷く真っ赤で、深くドロっとしている。
ゲンは、少し息を吸って、
口元をぬぐって、
激痛と仲良くしながら
「俺は……ゲン・フォース。まだ……何者でもなくて、けど目的はあって……だから、必死になって……毎日を積み重ねている者」
途切れ途切れに、
しかし、ハッキリと通る声で、
「……『あっちのヤベェお嬢様』に関しては……よくわからん。何がしたいのか、何を思っているのか……正直、何一つわからない……」
息も絶え絶え、
全身ボロボロ、
――それでも、ゲンは続けて、
「本音を言わせてもらえれば『気持ち悪い』とすら思う……『ロコ様が何をしたいと思っている』のか、俺には、さっぱりわからない。……ぃや……まあ、少しは……おぼろげには……理解できなくもない――ところもなくはないって感じなんだけど……けど、結局のところは、やっぱりわからない」
飾り気のない本音を前に置いてから、
「……わからないから……」
顎を上げて、
アギトの目を睨み、
「わかりたいんだろう……きっと。傲慢なほどに……俺は『あの子』をわかりたいと思っている……」
「……」
「この情動を……大事にしたいっていう、俺のワガママを……」
ゆっくりと、拳を構える。
「……あつめて……」
ゲンの全てが充実していく。
心と技と体。
すべてが、まだまだ未熟でお粗末。
けれど、だからこそ表現できる『何か』はきっとある。
――なんて、そんなことを思いながら、
ゲンは、
「――ゲン・ワンダフォ――」
ありとあらゆる感情がゲンの中で一つになる。
未完成の器に亀裂が入る。
ピシっと音が入って、
パリンと割れる。
すると、その陰影に、
新たな軸が生まれる。
壊れて、再生して、砕けて、取り戻して、
そんなことを繰り返しながら、
命の器は磨かれていく。
命は完成しない。
けれど、だからこそ永久(とわ)に――
「がぁっっ!!」
ゲンの拳が、アギトの腹部に直撃。
避けられない速度ではなかったが、
なぜだか『受け止めたくなった』ため、
アギトは避けずに、その身で受け止めた。
(うぐぅ……な、なぜ、私は……こいつの拳を受け止めた……よけられたはず、いなせたはず、どうとでも出来たはず……それも、すべて、造作もなく! なのに! なぜ!)
自分で自分が理解できない。
アギトの中でも何かが壊れている。
(痛みは……さほどない。衝撃はあったが、その程度……だが)
アギトは『きわめて不透明な自分』に迷いながら、
(こいつの拳からは『重たい覚悟』を感じる……不自然なほど、悠久(ゆうきゅう)を思わせる重たさ……この重たさは一体なんだ……このガキは、五歳程度の子供なのに……どうして、それほどの重さを……)
疑問が止まらない。
何もわからない。
ずっと、ずっと、奇妙がすぎる。
(なにもわからない……だが……)
だが、一つだけわかったことがある。
(折れない……こいつは……たとえ永遠を積んでも……)
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