センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
77話 全宮ロコのブレーキ。
77話 全宮ロコのブレーキ。
(これほど整った状況下で、このガキが降参したとしても、それを理由にダギーを咎めることなど出来るわけがない……それをしてしまえば、私は『子供の配慮すら理解できない大バカ』になってしまう。それはありえない)
支配者は『愚者のレッテル』を何よりも恐れる。
『名誉』を大事にして生きるのは窮屈なのだが、
『立場』には必ず、その面倒な負荷が付き纏う。
結局のところ損失は損失なのだが、
しかし、ゲンの配慮によって『納得のいく損失』になった。
『ゲン・フォース』を理解することができ、
それがロコについているという事実を認識することができた。
(機転、根性、資質……なるほど、なるほど、すべてが、五歳のガキとは思えない優秀さ……ロコが認めただけのことはある……あるいは、こいつなら、ロコのブレーキになりえるやも――)
などと、アギトが考えていると、
ロコは、
「合計で900億円……悪くないわね」
ニィと笑い、
「では、ゲン……必ず勝ちなさい」
そう言って、亜空間の壁際まで下がると、
両手を組み、背中を壁に預けて、
「いいわね、ゲン。絶対に勝ちなさい。忖度(そんたく)して、降参を口にするなど許さない。もし、お兄様に配慮して降参を口にした場合……そうね……どうしようかしら……」
そこで、ロコは天を仰ぎ、
「……殺す……のはいろいろと勿体ないのよね……けど、その痛みに値する罰は与えたい……となると……」
ロコは数秒考えてから、
ニっと微笑んで、
「もし降参したら、あたしはこの場で自殺するわ」
「「っ?!」」
ロコの発言を受けて、
ゲンとアギト、両者の表情が一気にくもった。
そして両者ともに理解する。
彼女の厄介さ。
彼女の壊れ方。
『ゲンを殺すのはもったいない』と言った口で、
自ら、自分の命を危険にさらす。
――もはや、何がなんだかわからない。
『狂っている』――そう表現するしかなかった。
思わず膝から崩れ落ちそうになったゲン。
(……こ、ここまでバカなのか、この女……)
ゲンはナメていた。
ロコの覚悟と狂気。
失ってしまっているのだ。
彼女は。
常軌を逸して、己が摂理と心中する修羅の覚悟。
研ぎ澄まされた刃のように鋭利な狂気。
(やる……あの女は……マジでやる……)
完全に狂った目。
ゲンにはハッキリと分かった。
全宮ロコは、
もし、ゲンが降参を口にしたら、
――本当に、その場で自殺をするだろう。
さすがに我慢できなくなったのか、
そこで、アギトが、
「……いい加減にしろ、ロコ……本当に……いい加減に……」
我慢の限界はとっくに超えている。
しかし、ロコが口をひらくたびに、
アギトの怒りのボルテージは、どんどん上がっていく。
「なぜ、そうも……なぜ……なんで……」
怒りに震えているアギトに、
ロコは、
「おやおや、全宮の次期当主ともあろう御方が、こんな小さな子供が怖いのですか?」
けらけらと笑いながらそう言う。
止まらない挑発。
突き進み続ける嘲笑。
(ああ、このガキはダメだ……止まらない……誰もブレーキにはなれない……)
(これほど整った状況下で、このガキが降参したとしても、それを理由にダギーを咎めることなど出来るわけがない……それをしてしまえば、私は『子供の配慮すら理解できない大バカ』になってしまう。それはありえない)
支配者は『愚者のレッテル』を何よりも恐れる。
『名誉』を大事にして生きるのは窮屈なのだが、
『立場』には必ず、その面倒な負荷が付き纏う。
結局のところ損失は損失なのだが、
しかし、ゲンの配慮によって『納得のいく損失』になった。
『ゲン・フォース』を理解することができ、
それがロコについているという事実を認識することができた。
(機転、根性、資質……なるほど、なるほど、すべてが、五歳のガキとは思えない優秀さ……ロコが認めただけのことはある……あるいは、こいつなら、ロコのブレーキになりえるやも――)
などと、アギトが考えていると、
ロコは、
「合計で900億円……悪くないわね」
ニィと笑い、
「では、ゲン……必ず勝ちなさい」
そう言って、亜空間の壁際まで下がると、
両手を組み、背中を壁に預けて、
「いいわね、ゲン。絶対に勝ちなさい。忖度(そんたく)して、降参を口にするなど許さない。もし、お兄様に配慮して降参を口にした場合……そうね……どうしようかしら……」
そこで、ロコは天を仰ぎ、
「……殺す……のはいろいろと勿体ないのよね……けど、その痛みに値する罰は与えたい……となると……」
ロコは数秒考えてから、
ニっと微笑んで、
「もし降参したら、あたしはこの場で自殺するわ」
「「っ?!」」
ロコの発言を受けて、
ゲンとアギト、両者の表情が一気にくもった。
そして両者ともに理解する。
彼女の厄介さ。
彼女の壊れ方。
『ゲンを殺すのはもったいない』と言った口で、
自ら、自分の命を危険にさらす。
――もはや、何がなんだかわからない。
『狂っている』――そう表現するしかなかった。
思わず膝から崩れ落ちそうになったゲン。
(……こ、ここまでバカなのか、この女……)
ゲンはナメていた。
ロコの覚悟と狂気。
失ってしまっているのだ。
彼女は。
常軌を逸して、己が摂理と心中する修羅の覚悟。
研ぎ澄まされた刃のように鋭利な狂気。
(やる……あの女は……マジでやる……)
完全に狂った目。
ゲンにはハッキリと分かった。
全宮ロコは、
もし、ゲンが降参を口にしたら、
――本当に、その場で自殺をするだろう。
さすがに我慢できなくなったのか、
そこで、アギトが、
「……いい加減にしろ、ロコ……本当に……いい加減に……」
我慢の限界はとっくに超えている。
しかし、ロコが口をひらくたびに、
アギトの怒りのボルテージは、どんどん上がっていく。
「なぜ、そうも……なぜ……なんで……」
怒りに震えているアギトに、
ロコは、
「おやおや、全宮の次期当主ともあろう御方が、こんな小さな子供が怖いのですか?」
けらけらと笑いながらそう言う。
止まらない挑発。
突き進み続ける嘲笑。
(ああ、このガキはダメだ……止まらない……誰もブレーキにはなれない……)
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