センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

75話 喜ぶがいい、貴様のような下級戦士が超エリートに遊んでもらえるんだからな。

 75話 喜ぶがいい、貴様のような下級戦士が超エリートに遊んでもらえるんだからな。

「貴様の代わりはそうそういない……貴様は非常に優秀な人材だ……しかし……」

 そこで、アギトは、アイテムボックスから剣を抜いて、
 その切っ先をダギーのノドに向けて、

「だからといって、何をしても許されるわけではない!!」

 正論をつきつけられて、
 だから、ダギーは、
 まっすぐにアギトの目を見て、


「では、どうすればよかったのでしょうか」


 いっさいブレのない声で、
 まっすぐに、言葉を届けた。

「あぁ?!」

 怒りのままに声を出すアギトに、
 ダギーは、冷静に、

「あのまま続けていたとしたら、今も拷問は続いていたでしょう。不毛な時間が延々に続くのです。アレは決して折れない。一時間、十時間、一日、十日、一か月、半年、一年……それだけの時間をかけたとしても、アレは降参を口にしないでしょう。私は、その無意味な時間を積めばよかったのでしょうか? 決してゴールのない拷問を、アホウのように、時間を忘れて、永遠に続ければよかったのでしょうか?」

 事実を述べていく。
 ダギーの中にも正論はある。
 正論を持っているのはアギトだけじゃない。

 アギトは、

「……」

 ダギーの言葉を、いったん飲み込んでから、

「……最初から疑問だったのだが……」

 少しだけ冷静になった声で、

「ほんの数分しか戦っていないのに……なぜ『あのガキが一年をかけても折れない』ということがわかる? 先のぶつかり合いで、あのガキは確かに、悪くない根性を見せていた。それは認める。しかし――」

 アギトの言葉を最後まで聞かずに、
 ダギーは、まるで『挑発』するように、

「キチンと武を交わし合えば理解できます。あのガキの魂魄に『無理解』を示すのは極まった無能だけ。私は、無能ではありません。きわめて優秀で忠実な、あなた様の剣」

 ハッキリと、そう言い切った。

 ――『その強い発言』を受けて、
 アギトは、グっと奥歯をかみしめ、
 『血走った目』で『ダギーの眼球』を射貫くように、
 強く、強く、にらみつけてから、

「……いいだろう」

 そう言うと、
 剣をアイテムボックスにしまってから、

「では、私も、武をかわしあって確かめてみるコトとしよう……」

 ふつふつと沸き上がってくる怒りを、
 どうにか理性でコントロールしながら、

「ただし、覚えておけ。もし、私が、あのガキから降参を引き出すことに成功したら……貴様には相応の罰を与える」

「もちろんでございます」

「忘れるなよ、その言葉」

 そう言って、
 アギトは、ダギーの横を抜けて、
 ゆっくりとした歩みで、ゲンに近づいていく。

 ゲン・フォースと全宮アギト。
 『互いが手を伸ばせば触れられる距離』までくると、
 アギトは、ゲンの目をジっと見つめ、

「己が幸運に感謝しろ。……というより、ここはあえて『貴様の運命力だけは認めざるをえない』と言っておこうか。下層の一般人がこの私と武を交わせる機会などそうそういない」

 言いながら、アギトは全身をオーラで包み込んでいく。
 ハンパではない威圧感。
 ダギーが小動物に思えるほどの圧倒的な気配。

「……」

 さすがのゲンも、冷や汗を流す。
 気を抜けばゲロってしまいそうなほどの過度な精神的ストレス。

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