センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
64話 完全院の子分というポジション。
64話 完全院の子分というポジション。
「完全院は、支配者として十分に理性的だ。完全院リライトは、邪知暴虐の王ではなく、ド直球に優れた逸材」
アギトも、『全宮が完全院の子分でしかない』という現状に、多少憤りはしているが、しかし、完全院に対して『子分としての不満』は特にない。
「子分、配下、属国……その手の言葉を使えば聞こえは悪いが、しかし、エリアBの現状は『完全院の庇護下にある』とも言える」
無意味な劣等感さえ殺せれば、
現状は非常に快適であると言える。
「完全院という明確なトップがいなくなれば、他の名家との『凄惨なトップ争い』が勃発するのも自明。最初に言った通り、私も、現状に対していっさい不満がないわけではない、が……しかし、現状は、ある意味で理想的なのだ」
コンコンと説明するアギト。
そんなアギトの話を、異空間の中で聞いていたゲンは、
(……正論だな……けど、狂人に正論は意味がない。ある意味で、釈迦に説法。ロコはそんな事、わかっている。ロコが『通したがっている意地』は、そういうことじゃないんだ)
心の中でそうつぶやく。
そして、その『理解』は、決してゲンだけの特別ではない。
アギトだってわかっている。
『ロコの想い』は皆目見当もつかないが、
ロコが『アギトの言葉では動かない』という事はわかっている。
ゆえに、これは、あくまでもケジメ。
兄として、妹に対する、
――最後の責任。
「……」
アギトの話を黙って聞いていたロコは、
何度か頷いてから、
「お兄様の意見はよくわかりました。けれど、あたくし、お兄様の意見になど一ミリも興味がございませんの、おほほ」
かわいた笑い声が響く。
ピリつく空気。
ゲンのトイメンで、どんどん渋い顔になっていくダギー。
ダギーは心の中で『ロコがアギトに説き伏せられて、この、妙な状況が、無かったことになったらいいのになぁ』と考えていたが、しかし、ロコの態度が悪すぎて、それは絶対にありえないと理解し、タメ息をついた。
ロコに対するヘイトがどんどん集まっていく。
アギト以外の面々も、ロコに対してイラついている。
『お前はいったい、何がしたいんだ?』という、
ロコの不透明な憎悪に対するイラ立ち。
――ロコは、そこで、
「ちなみに、あたしの中でくすぶる他の不満ですが……全宮ロコが『次期当主ではない』という点も不満ですわ。あたし、お兄様より、王としての資質は高いと思いますの。とっても強いし、世界一かわいいし、宇宙一賢いし。お兄様もそう思うでしょ?」
小首をひねって、そんなことを聞いてくるロコに、
アギトは、努(つと)めて、冷静な態度で、
「お前が当主になったらエリアBは終わる。間違いなく」
「あはは。お兄様ったら、またまた」
「何一つ面白いことは言っていない」
まっすぐな目で、ロコを睨み、
「お前が腹の中で『何を考えている』のか、私には『本当』にわからないから、実際のところ、どうなるかを正確に予想することはできない。しかし、確実に言えるのは、いい未来は待っていないということだ」
「まあ、確かに『お兄様にとってのいい未来』は待っていないでしょうね」
まっすぐな顔と声音でそう言ったロコ。
その発言を聞いたゲンは心の中でつぶやく。
(……『それ』が、ロコの目的だ……『現状の五大家が当然のように望む未来』……ロコはそれを忌避している)
「完全院は、支配者として十分に理性的だ。完全院リライトは、邪知暴虐の王ではなく、ド直球に優れた逸材」
アギトも、『全宮が完全院の子分でしかない』という現状に、多少憤りはしているが、しかし、完全院に対して『子分としての不満』は特にない。
「子分、配下、属国……その手の言葉を使えば聞こえは悪いが、しかし、エリアBの現状は『完全院の庇護下にある』とも言える」
無意味な劣等感さえ殺せれば、
現状は非常に快適であると言える。
「完全院という明確なトップがいなくなれば、他の名家との『凄惨なトップ争い』が勃発するのも自明。最初に言った通り、私も、現状に対していっさい不満がないわけではない、が……しかし、現状は、ある意味で理想的なのだ」
コンコンと説明するアギト。
そんなアギトの話を、異空間の中で聞いていたゲンは、
(……正論だな……けど、狂人に正論は意味がない。ある意味で、釈迦に説法。ロコはそんな事、わかっている。ロコが『通したがっている意地』は、そういうことじゃないんだ)
心の中でそうつぶやく。
そして、その『理解』は、決してゲンだけの特別ではない。
アギトだってわかっている。
『ロコの想い』は皆目見当もつかないが、
ロコが『アギトの言葉では動かない』という事はわかっている。
ゆえに、これは、あくまでもケジメ。
兄として、妹に対する、
――最後の責任。
「……」
アギトの話を黙って聞いていたロコは、
何度か頷いてから、
「お兄様の意見はよくわかりました。けれど、あたくし、お兄様の意見になど一ミリも興味がございませんの、おほほ」
かわいた笑い声が響く。
ピリつく空気。
ゲンのトイメンで、どんどん渋い顔になっていくダギー。
ダギーは心の中で『ロコがアギトに説き伏せられて、この、妙な状況が、無かったことになったらいいのになぁ』と考えていたが、しかし、ロコの態度が悪すぎて、それは絶対にありえないと理解し、タメ息をついた。
ロコに対するヘイトがどんどん集まっていく。
アギト以外の面々も、ロコに対してイラついている。
『お前はいったい、何がしたいんだ?』という、
ロコの不透明な憎悪に対するイラ立ち。
――ロコは、そこで、
「ちなみに、あたしの中でくすぶる他の不満ですが……全宮ロコが『次期当主ではない』という点も不満ですわ。あたし、お兄様より、王としての資質は高いと思いますの。とっても強いし、世界一かわいいし、宇宙一賢いし。お兄様もそう思うでしょ?」
小首をひねって、そんなことを聞いてくるロコに、
アギトは、努(つと)めて、冷静な態度で、
「お前が当主になったらエリアBは終わる。間違いなく」
「あはは。お兄様ったら、またまた」
「何一つ面白いことは言っていない」
まっすぐな目で、ロコを睨み、
「お前が腹の中で『何を考えている』のか、私には『本当』にわからないから、実際のところ、どうなるかを正確に予想することはできない。しかし、確実に言えるのは、いい未来は待っていないということだ」
「まあ、確かに『お兄様にとってのいい未来』は待っていないでしょうね」
まっすぐな顔と声音でそう言ったロコ。
その発言を聞いたゲンは心の中でつぶやく。
(……『それ』が、ロコの目的だ……『現状の五大家が当然のように望む未来』……ロコはそれを忌避している)
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