センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
61話 かけをしよう。
61話 かけをしよう。
ロコの賢さは、誰もが理解している。
ゆえに、みな『ロコの無茶』は『途中でブレーキがかかるだろう』と予測していた。
簡単に、一言で言えば、ここにいる全員が、ロコの異常性をナメていた。
もう少し踏み込んだ言い方をすれば、
みんな、どこかで、ロコを信じていた。
血のつながった家族だから、
『流石にそこまでは狂っていないだろう』と信じていたかった。
――『全宮ロコの知性が特異な領域にあること』を理解しているゆえ、
ロコの叔母である『全宮ルル』は、ロコの行動に対して、
兄であるテラに、こう言ったことがある。
『あの子は理知的が過ぎるわ。おそらくは、世界が歪んでみえていることでしょう。若い時分には、私にも、そういう傾向が、多少はありました。己の青さに飲み込まれて、世界がひどく穢れて見えてしまった。私にソレが来たのは、十代の中盤だった。もう子供ではなかった。だから、自分の情動にケリをつける方法もなくはなかった。【自分の全てをささげられる場所があった】というのも大きかったかもしれない。だけれど、あの子は、何も持たない【あまりにも若い時点】で、己の青さにさいなまれてしまった。閉じ込められている発情期の猫のようなもの……とでもいえば、多少は理解できますしょうでしょうか、お兄様』
『ルル、だからなんだ? 何が言いたい?』
『あまり、異端・異常あつかいはしない方がよろしいかと。その対応は、あの子の青さを加速させうる』
『……』
ロコの異常性に対して、
全宮家も、多少は対応しようとした。
誰にだって感情はある。
支配者の地位についているからといって、
情動を失ったわけではない。
『どうしたらいいのかわからない』
その悩みは、王であれ、神であれ、
大小はあれど、変わらず、常に、胸の中でうずまいているもの。
だから、みな、ロコの『異常』に対し、
これまでは大目に見てきた。
非常にあやういバランス。
だが、ギリギリ保てていたバランス。
それが、今、ハッキリと崩れた。
――ロコの明確が過ぎる態度を受けて、
アギトは、目を閉じて、
「すぅ、はぁ……」
深呼吸をしてから、
目を開き、
「わかった。お前がその気なら……私はもう、お前に容赦しない」
そう宣言した。
「あら、お兄様。どうなさったの? そんなに怖い顔をして。もしかして、賞味期限切れのお菓子でも食べまして? トイレなら、あっちにありますわよ」
あくまでも茶化していくロコに対し、
腹を決めたアギトは、
ゲンに対して視線を向け、
「ロコ……あのガキは『お前がそこまで言う男』だ……ためさないわけにはいかないな」
そう言うと、
アギトは、指をパチンとならした。
すると、ゲンの視界がグニャリとゆがむ。
「っ」
数秒でととのう視界。
周囲を見渡すと、誰もいなくなっており、
真っ白な壁で包まれた空間が広がっていた。
ゲンは己の状況を、
(……空間系の魔法か……)
一瞬で理解する。
毒組の中には、空間系のスキルを使える者もそれなりにいるので、
これが初体験というわけではない。
(さて……何をされるのかな……)
不安寄りのドキドキ感に包まれていると、
外でのアギトとロコの会話が聞こえてきた。
「ロコ、賭けをしよう。ワンポーカーだ。お前のエースと私のエース、どちらのカードの方が強いか」
ロコの賢さは、誰もが理解している。
ゆえに、みな『ロコの無茶』は『途中でブレーキがかかるだろう』と予測していた。
簡単に、一言で言えば、ここにいる全員が、ロコの異常性をナメていた。
もう少し踏み込んだ言い方をすれば、
みんな、どこかで、ロコを信じていた。
血のつながった家族だから、
『流石にそこまでは狂っていないだろう』と信じていたかった。
――『全宮ロコの知性が特異な領域にあること』を理解しているゆえ、
ロコの叔母である『全宮ルル』は、ロコの行動に対して、
兄であるテラに、こう言ったことがある。
『あの子は理知的が過ぎるわ。おそらくは、世界が歪んでみえていることでしょう。若い時分には、私にも、そういう傾向が、多少はありました。己の青さに飲み込まれて、世界がひどく穢れて見えてしまった。私にソレが来たのは、十代の中盤だった。もう子供ではなかった。だから、自分の情動にケリをつける方法もなくはなかった。【自分の全てをささげられる場所があった】というのも大きかったかもしれない。だけれど、あの子は、何も持たない【あまりにも若い時点】で、己の青さにさいなまれてしまった。閉じ込められている発情期の猫のようなもの……とでもいえば、多少は理解できますしょうでしょうか、お兄様』
『ルル、だからなんだ? 何が言いたい?』
『あまり、異端・異常あつかいはしない方がよろしいかと。その対応は、あの子の青さを加速させうる』
『……』
ロコの異常性に対して、
全宮家も、多少は対応しようとした。
誰にだって感情はある。
支配者の地位についているからといって、
情動を失ったわけではない。
『どうしたらいいのかわからない』
その悩みは、王であれ、神であれ、
大小はあれど、変わらず、常に、胸の中でうずまいているもの。
だから、みな、ロコの『異常』に対し、
これまでは大目に見てきた。
非常にあやういバランス。
だが、ギリギリ保てていたバランス。
それが、今、ハッキリと崩れた。
――ロコの明確が過ぎる態度を受けて、
アギトは、目を閉じて、
「すぅ、はぁ……」
深呼吸をしてから、
目を開き、
「わかった。お前がその気なら……私はもう、お前に容赦しない」
そう宣言した。
「あら、お兄様。どうなさったの? そんなに怖い顔をして。もしかして、賞味期限切れのお菓子でも食べまして? トイレなら、あっちにありますわよ」
あくまでも茶化していくロコに対し、
腹を決めたアギトは、
ゲンに対して視線を向け、
「ロコ……あのガキは『お前がそこまで言う男』だ……ためさないわけにはいかないな」
そう言うと、
アギトは、指をパチンとならした。
すると、ゲンの視界がグニャリとゆがむ。
「っ」
数秒でととのう視界。
周囲を見渡すと、誰もいなくなっており、
真っ白な壁で包まれた空間が広がっていた。
ゲンは己の状況を、
(……空間系の魔法か……)
一瞬で理解する。
毒組の中には、空間系のスキルを使える者もそれなりにいるので、
これが初体験というわけではない。
(さて……何をされるのかな……)
不安寄りのドキドキ感に包まれていると、
外でのアギトとロコの会話が聞こえてきた。
「ロコ、賭けをしよう。ワンポーカーだ。お前のエースと私のエース、どちらのカードの方が強いか」
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