センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
56話 支配者の血。
56話 支配者の血。
上座へ出現した、厳かな雰囲気に包まれた男。
歳は50前後だが、かなり若々しい見た目をしており、
30代でも通用しそう。
彼こそが全宮テラ。
エリアBの支配者。
「……それでは始めようか」
テラが、そう言うと、
壁際に立っている配下の面々が、
一様に、片膝をついて、頭を垂れた。
そして、また静寂。
鋭い静寂の中で、
全宮の血族の面々が、年功の序列を保って席をたち、
テラに向かって、90度のお辞儀をした。
五秒ほどの儀礼がすむと、
「なおれ」
テラがそう言うと、
まだ、年功の序列をたもって、頭をあげていく。
全員が頭を上げたタイミングで、また、年功の序列をたもって着席。
全員が着席した直後、
五秒の経過をもって、
特殊部隊の面々が平伏の姿勢を崩し、『休め』の体勢をとる。
そこで、
テラの右隣の席に腰をかけている青年『アギト』が、
「まず、最初の議題ですが」
淡々とした口調で会議を進めていく。
ちなみに、全宮アギトは、テラの息子で、ロコの兄。
もし、テラに何かがあれば、エリアBの支配者となる男。
そんなテラやアギトを遠目に観察しつつ、
ゲンは、
(全宮の面々……どいつも、こいつも、生き物としての格が違う……)
額に重たい汗を浮かばせながら、心の中で、
(……気品がハンパない……あと、腹の底にピリピリくる……)
もしかしたら、思い込みに過ぎないのかもしれない――などと思いつつも、
どこかで確かに感じている。
一般人との『違い』。
支配者の風格。
それは、たくさんの金を持っているとか、多くの土地を所有しているとか、
そういうことではなく、なんというか、
『血の色が違う』とでも表現したくなるような、絶対的で先天的な感覚。
たまたま、時流に乗れた結果、事業が成功して金持ちになったわけでも、
ちょっと他よりケンカが強かったからのし上がれたというわけでもない。
ただただ、王になるために生まれてきた者たち。
決して覆せない血の運命。
(同じ空間にいるだけで思い知らされる……俺が凡愚だってこと……)
ゲンが、つい、自己のポジション確認をしてしまっている間も、
会議は淡々と進んでいった。
議題内容は、外務関係、財務関係、法務関係のかったるいアレコレに対し、
テラやアギトが二・三の質問を経由してから『問題がないか?』と確認して、
それぞれの担当者が、詳細なデータの一部を諳(そら)んじてから、
最後に『問題ありません』と答えていくだけの単調なものだった。
この会議においては、政治に関する大まかな『確認』であって、
ここで何かが具体的に決定されるというものではない。
正式な数値のすり合わせなどは、
後日『通常エリア会議』や『サミット』などで話し合われる。
二時間ほど経過したところで、
あらかたの『確認』は終了した。
例年通り、とどこおりなく、
淡々と、家族会議は閉幕へと向かっていく。
本来なら、ここらで、テラからの『家族をねぎらう挨拶』が始まるところなのだが、
――今年は、ここで、アギトが、
「最後に一つ、これだけは確認しておかなければならないことがある」
これまでの淡々とした口調ではなく、
明確な『怒り』のにじむ声音だった。
退屈かつ長時間の会議でダラけていた場が一気にピリっとする。
「先日、完全院から支援要請を受け、その任をロコに任せたのだが……その結果、どうなった? ロコ、お前の口から、みなに、報告しろ」
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