センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
42話 出会えた。
42話 出会えた。
「片腕であっても闘えます! まだまだ、あなた様に尽くせます!」
「尽くすだけなら、誰だって出来る。あたしが欲しいのは、使えるコマだけ」
「もちろん、理解しております! 心からの忠誠を誓うのはもちろんのこと、必ず、お役にたってみせます。ですので、どうか!」
『どうかクビにはしないでほしい』と懇願するソウルさんに、
全宮ロコは、
問答無用で、
「――治癒ランク15」
サラっと、ソウルさんの腕を治してしまった。
「……ぁ」
ロコは、フラットな表情のままで、
「片腕よりも、両腕完備の方が、よりよく尽くせるでしょう。使うなら、キズモノの配下よりも、完全なる配下の方がいい」
サラっとそう言ってのける。
ソウルさんは、一度、完璧に治った腕を見つめてから、深々と頭を下げて、
「おっしゃるとおりでございます! そして! 心から感謝を!」
全力で感謝を叫ぶソウルさん。
五大家の中枢に座する者は、
基本的に冷酷で、下々の者のコトなど家畜程度にしか思っていない者ばかり。
だが、ロコは違う。
彼女は、あらゆる意味でステージが違う。
――毒組に所属している者はいつも思っている。
全宮ロコの配下でよかった、と。
彼女の父親である『全宮テラ』や、
彼女の実兄である『全宮アギト』は、
絵にかいたような五大家の人間であり、
全方位から悪い噂しか聞かない。
だから、毒組のメンツはいつも思う。
自分たちは幸福である、と。
「ところで、ソウル」
そこで、ロコが、
ソウルさんの背後にいるゲンを睨みながら、
「そこの少年……あなたの息子だけあって、それなりに武の資質は高そうだけれど、礼儀のほうはまるでなってはいないようね」
「ぇ?」
言われて、ソウルさんは、バっと振り返って息子に視線を向けてみた。
すると、
ゲンは、突っ立ったまま、ボーっとした顔で、ロコの顔をジーっと見つめていた。
「これまでの会話等で、あたしが『誰か』ぐらいは理解できていると思うのだけれど……それでも、いっさい、敬意を見せてこないという、その明確な反逆の意思……あたしは、それをどう扱ったらいいのかしら。あなたの息子だから、出来れば摂関(せっかん)はしたくないのだけれど……」
たんたんと言葉を並べるロコ。
ソウルさんは、
青い顔で、慌てて、
ゲンの頭を掴み、
「いくら子供でも、ロコ様に、その態度は許されん」
地面に押し付け、
むりやり、平伏の姿勢をとらせる。
ゲンは、自分を押さえつけてくるソウルさんに、全力で反抗しつつ、
必死に顔をあげて、ロコの顔をジーっと見つめ続ける。
「おい、ゲン! ちゃんと頭を下げろ! どうした?! お前ほど賢く、空気が読める子が、どうしてっ!」
ゲンは、そこらのワンパク坊主と違い、
子供とは思えないほど理知的で空気が読める。
なのに、今、この瞬間は、
先ほどのサイコパスと同じくらい、
ラリった目で、ロコの一挙手一投足を追い続けている。
今、この瞬間、
ゲンの全てが沸騰していた。
言葉には出来ない。
文章には出来ない。
ただ、ただ、心と魂が思う。
(――出会えた――)
何がどうとは言えない。
この感情に言葉はつかえない。
『言語』は、どの世界のどの時代であっても徹底して不完全。
沸騰した情動は表現しきれない。
が、しかし、
あえて、この情動を、言葉にするとすれば、
それすなわち、
純然たる、
――『一目ぼれ』である。
「片腕であっても闘えます! まだまだ、あなた様に尽くせます!」
「尽くすだけなら、誰だって出来る。あたしが欲しいのは、使えるコマだけ」
「もちろん、理解しております! 心からの忠誠を誓うのはもちろんのこと、必ず、お役にたってみせます。ですので、どうか!」
『どうかクビにはしないでほしい』と懇願するソウルさんに、
全宮ロコは、
問答無用で、
「――治癒ランク15」
サラっと、ソウルさんの腕を治してしまった。
「……ぁ」
ロコは、フラットな表情のままで、
「片腕よりも、両腕完備の方が、よりよく尽くせるでしょう。使うなら、キズモノの配下よりも、完全なる配下の方がいい」
サラっとそう言ってのける。
ソウルさんは、一度、完璧に治った腕を見つめてから、深々と頭を下げて、
「おっしゃるとおりでございます! そして! 心から感謝を!」
全力で感謝を叫ぶソウルさん。
五大家の中枢に座する者は、
基本的に冷酷で、下々の者のコトなど家畜程度にしか思っていない者ばかり。
だが、ロコは違う。
彼女は、あらゆる意味でステージが違う。
――毒組に所属している者はいつも思っている。
全宮ロコの配下でよかった、と。
彼女の父親である『全宮テラ』や、
彼女の実兄である『全宮アギト』は、
絵にかいたような五大家の人間であり、
全方位から悪い噂しか聞かない。
だから、毒組のメンツはいつも思う。
自分たちは幸福である、と。
「ところで、ソウル」
そこで、ロコが、
ソウルさんの背後にいるゲンを睨みながら、
「そこの少年……あなたの息子だけあって、それなりに武の資質は高そうだけれど、礼儀のほうはまるでなってはいないようね」
「ぇ?」
言われて、ソウルさんは、バっと振り返って息子に視線を向けてみた。
すると、
ゲンは、突っ立ったまま、ボーっとした顔で、ロコの顔をジーっと見つめていた。
「これまでの会話等で、あたしが『誰か』ぐらいは理解できていると思うのだけれど……それでも、いっさい、敬意を見せてこないという、その明確な反逆の意思……あたしは、それをどう扱ったらいいのかしら。あなたの息子だから、出来れば摂関(せっかん)はしたくないのだけれど……」
たんたんと言葉を並べるロコ。
ソウルさんは、
青い顔で、慌てて、
ゲンの頭を掴み、
「いくら子供でも、ロコ様に、その態度は許されん」
地面に押し付け、
むりやり、平伏の姿勢をとらせる。
ゲンは、自分を押さえつけてくるソウルさんに、全力で反抗しつつ、
必死に顔をあげて、ロコの顔をジーっと見つめ続ける。
「おい、ゲン! ちゃんと頭を下げろ! どうした?! お前ほど賢く、空気が読める子が、どうしてっ!」
ゲンは、そこらのワンパク坊主と違い、
子供とは思えないほど理知的で空気が読める。
なのに、今、この瞬間は、
先ほどのサイコパスと同じくらい、
ラリった目で、ロコの一挙手一投足を追い続けている。
今、この瞬間、
ゲンの全てが沸騰していた。
言葉には出来ない。
文章には出来ない。
ただ、ただ、心と魂が思う。
(――出会えた――)
何がどうとは言えない。
この感情に言葉はつかえない。
『言語』は、どの世界のどの時代であっても徹底して不完全。
沸騰した情動は表現しきれない。
が、しかし、
あえて、この情動を、言葉にするとすれば、
それすなわち、
純然たる、
――『一目ぼれ』である。
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