センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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37話 大人と子供の差。

 37話 大人と子供の差。

「まだ少し時間があるなぁ! よーし、興が乗ったことだし、ここから、ほんの少しだけ、お遊戯に付き合ってあげよう! さ、君の全力を見せてみてぇ! さあ、カモンッ!」

(受け止めてくれるのか……ありがたいね……マジで!!)

 『変態の気まぐれ』のおかげで、ヒリついた鉄火場で自分を試せるチャンスを得た。
 これほどの死が蔓延した『命の現場』で、
 可能性を試せる機会などそうそう得られない。


「武装闘気!!」


 余すことない全力。
 オーラの鎧に包まれる。
 出来る全てを自分にぶちこんでいくゲン。

 その様子を見て、

「最高にクールなガキだな! その年で、武装闘気なんていうレアで難易度の高い技まで使えるのか! 可能性の塊だねぇ! いいねぇ! ――さあ、どんとこい!」

 ルスは嬉しそうにそう言った。

 ゲンは遠慮せずに、
 魔力とオーラを練りに練って、
 今の自分に可能な限界を求めてから、


「ゲン・ワンダフォォオオオオオオ!!!」


 凶悪にダサい必殺技を放つ。
 名称はダサいが、しかし、その威力は、決してダサくない。

 三年間、必死になって積み重ねてきた努力の結晶。
 今のゲンに可能な上限いっぱい。

 それを、無防備な腹部で受け止めたルスは、

「うぐっ!」

 軽く、くの字になった。
 血を吐くまでには至らなかったが、
 少しは痛みを感じたようで、
 ほんの少しだけ顔が青くなっている。

「ははは……いやぁ……なかなか良かったよ、天才少年! もし君が30歳だったら、今の一発で、殺されていたと思うね! はははっ!」

 軽快に笑っているルス。
 ゲンは思う。

(遠いな……まるで勝てる気がしない……絶対的な差……)

 ゲンが抱いた感想を『言動』にするかのように、
 ルスが、ニィと黒く微笑み、

「けど、まあ、これが大人と子供の差ってことで!」

 そう言って、アイテムボックスからナイフを抜き取ると、
 その勢いのまま、ゲンの心臓につきたてようとした!
 ゲンでは反応しきれない速度。
 現在、分身は使用不能。
 対策はゼロ。

 ゲンの脳裏に『死』の概念がザラリと触れる。

 ――その一瞬、

「魔斬ランク10っっ!!」

 死角から、
 ソウルさんが、ルスに切りかかった。
 豪速の踏み込み。
 一瞬のうちに間をつめ、
 鋭く刃をきらめかせた。

 反応を許さない速度。
 だが、ルスは、

「はやいねぇ!」

 予測していたとしか思えない速度で、
 軽やかに回避しつつ、
 ソウルさんの腕めがけて、ナイフをきらめかせた。
 シュインと、鮮やかな音。
 直後、ソウルさんの左腕が宙を舞う。

 その光景を見て、

「ソウルさんっ?!」

 ゲンが、青ざめた顔でそう叫んだ。

「五大家の中枢を目指すほどの者が……父親の腕が飛んだくらいで、乙女みたいな声を出すんじゃない……」

 ソウルさんは、修羅の顔で笑いつつ、
 ルスからゲンを守るようなポジションをとる。

 そんなソウルさんに、
 遠くで見ているヒジカが、

「自分の身は自分で守らせる……とかなんとか言っていなかったか?」

 続けてオキが、

「ピンチになっても助けない……とも言っていませんでしたか?」

 二人の言葉を受けて、
 ソウルさんは、

「確かに言ったな」

 認めて、頷いて、
 しかし、

「で? それがどうした?」

 シレっとそう言った。

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