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31話 オリエンテーション。

 31話 オリエンテーション。

 ギルティブラッドは、『ゆがんだ我』の『発散』だけを求める狂人集団。
 つまりは、純粋無垢なテロリストども。

 その手の『制御できないサイコパス』は、どの時代、どの世界にも必ず存在し、
 かつ、いくら叩き潰しても、必ず、一定数は湧いてくる。

 これまで、何度か『本気になった五大家』によって、
 壊滅寸前まで追い込まれた事はあるのだが、
 結局、根絶やしにすることはできなかった。

 ※ ゼノリカによって支配されている第2~第9アルファでも、
   その手のサイコパスは存在し、今も、ゼノリカを煩わせている。
   ゼノリカですら根絶できなかった『命の闇(バグ)』を、
   五大家ごときが解決できるわけがなかった。

「現在、ギルティブラッドは、シロアリの『エリアB支部』に襲撃をしかけているらしい」

 シロアリの本部はエリアAにある。
 だが、エリアAだけで活動しているわけではなく、
 各地に支部を置いてある。

 当然、各エリアの五大家に許可を取った上での設置なので、
 『この手の問題が起きた時の対処』などは各エリアの担当に任せることになる。

「どうやら、完全院の方から直接的に、シロアリに対する支援依頼がきたようだ……笑える話じゃないか。これから『治安維持部隊である私たち』は『市民の平穏を脅かすヤクザ(シロアリ)』を守るために『狂ったテロリスト(ギルティブラッド)』を殺しにいく」

「確かに笑える話ですね」

 上から命令されたらなんでもする――それも、毒組の仕事。
 五大家の犬。
 五大家を満たすための道具。

 毒組は『市民の平和を守るお巡りさん』だが、
 本質のお仕事は『五大家の番犬』でしかない。

「ゲン、初仕事だ。初仕事……というか、オリエンテーションだな。一緒に現場にきて、父の背中をその目に焼き付けなさい。『綺麗事だけではすまない地獄』で、それでも『命の正解』を求めてさまよう父の背中を」


 ★


 シアロリのエリアB支部は、100人ほどのテロリストに襲撃されていた。
 ギルティブラッドは、頭のおかしいやつらばかりなので、
 『綿密な計画をもとに行動する』という事が極めて少ない。
 ※ 綿密な計画をたてることもなくはないが、基本的には衝動的に迷惑行動を起こす。

 今回の襲撃は、完全に突発的な行動だった。
 ギルティブラッドの定期集会で、誰かが、
 『ヤクザを惨殺したい』と提案し、
 『いいねぇ』と即座に可決され、
 『よし、さっそく行こう』となって、現在に至る。

 ※ 基本、自由で奔放なギルティブラッドのメンバーだが、定期集会だけは一定の間隔で行っている。もっとも、集会に参加するメンバーは、常にバラバラで、参加・不参加の決め手はいつも、その日の気分。

 時には、五大家を相手に『盛大で狡猾な自爆テロ』を起こすこともあるが、
 時には、ヤクザを相手に『命をドブに捨てるような遊び』を敢行したりもする。
 それが、ギルティブラッド。
 性根が腐っているサイコパス集団。

 そんなギルティブラッドのいやがらせを受けたシロアリは、現状、
 『マジで、かんべんしてほしい。あの社会のダニども』と嘆いている。



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