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30話 ギルティブラッド。

 30話 ギルティブラッド。

「ところで、オキはどこにいる? あいつとも顔合わせをさせておきたいんだが」

「道場で剣を振っているよ。いつも通り『何かがつかめそうな気がする』……とか、なんとか言いながらな」

 その言葉を最後に、
 ヒジカは、ソウルさんに背を向けて、自分のデスクへと戻っていった。

 ソウルさんは、ヒジカに軽く礼を言いつつ、
 エレベーターに乗り込んだ。

 ――道場は地下一階に設置されている。
 チーンと音が鳴り、
 少し進むと、
 厳かな道場が広がっており、
 その中央に、
 端正な顔立ちをした男が、剣を構えていた。

 ゆったりと、
 丁寧に、
 剣を振り上げると、
 まっすぐに振り下ろす。

 シッッっと、空気を裂く音が道場中に響く。

 その背中に、
 ソウルさんが、

「……何かつかめたか、オキ」

 そう声をかけると、
 オキは、柔らかく微笑んで、

「いえ……今日こそは何かつかめるかと思ったのですが……何一つ」

「そうか……まあ、しかし、焦るな。お前は天才だ。いずれ、必ず、剣の真髄に届くだろう」

「だったらいいのですが」

 にこやかに微笑みながらそう返事をするオキに、
 ソウルさんは、続けて、

「まあ、しかし……この子の方が先にたどり着くだろうがな。なんせ、ウチの子は天才だから」

「……そちらの少年は、局長のお子さんでしたか。なぜ、ここに?」

「お前とヒジカに鍛えてもらいたくて連れてきた。あと、ついでに、私が働いている背中を見せて尊敬させたくてな」

「……ははっ、壮大な計画ですね」

 そう言って、オキがニコっと微笑んだ、その時、

 ――ソウルさんのスマホが鳴った。
 一秒と待たせずに、

「私だ」

 サっと出る。
 その時の表情は、今までゲンが見たことのない局長としての顔だった。

「ああ……わかった……すぐに出る」

「どうしました?」

「ギルティブラッドが動いた」

 そこで、ゲンの耳がピクっと動いた。
 ギルティブラッドの名前は知っている。
 WEB小説でもたまに登場していたテロ組織の名前。

 シロアリやゴキとは趣が異なり、
 理由も思想も持たない『完全に頭がおかしい連中』の集まり。

 『世界をビックリさせてやる』がモットーという、
 イカレ方にエッジがきいている変態ども。

 モットーはあっても確立された目的は持たないキ〇ガイの集団。
 崇高な理念など皆無で、だから、基本的に、組織としては成り立っていない。
 ※ ギルティブラッドは『組織』というより『そういう種族』と捉えた方が正確。
   『ギルティブラッド=精神異常者』と考えると理解しやすい。

 世界に対していやがらせが出来れば、それで十分と考える害悪の権化。
 シロアリやゴキのように『利』を求めている組織ではなく、
 『ゆがんだ我』の『発散』だけを求める狂人集団。

 つまりは、純粋無垢なテロリストども。

 その手の『制御できないサイコパス』は、どの時代、どの世界にも必ず存在し、
 かつ、いくら叩き潰しても、必ず、一定数は湧いてくる。

 これまで散々言ってきた通り、
 ゴキやシロアリの実質的なボスは『五大家』。
 だが、ギルティブラッドは、五大家の支配から外れている真の野犬。


コメント

  • リルテルト

    主人公が動じなさすぎるw

    0
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