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28話 毒組副長ヒジカ。

 28話 毒組副長ヒジカ。

(ガキのうちだと、まともな仕事につくのすら難しい……それゆえに『裏でのし上がるしかない』と決意したし、その過程で起こりうる『ガキゆえに苛まれる面倒』のリスクヘッジに『かなりのリソース』を割くつもり満々だったけど……毒組のバイトでいくなら、余計なことを考えなくてもいい……悪くない……)

 ゲンが、いろいろと、未来を演算していると、
 ソウルさんが、

「もちろん『実際のところ将来的にどうしたいか』は、ゆっくり考えて決めるといい。毒組での雑用は、あくまでも、将来の可能性を広げるための一助と考えてもらえれば、それが何よりだと思っている」

「……いろいろ考えていただき、感謝します」

「親が子供のことを考えるのはただの義務だ。感謝されるようなことじゃない。お前が考えるべきは、そんな親の義務を奪わないためにはどうするべきか。それだけだ」

 ソウルさんは、笑顔でそう言ってから、

「ウチには、二人、突出した剣の達人がいる。どちらも天才で努力家。そうそう出会えない真の強者。話は通しておくから、彼らから、武を学ぶといい」

(それは普通にありがたいな。スライムを殴り続けるだけではたどり着けない世界がある。そろそろ強者の師匠が欲しかったところ)



 ★



 毒組の屯所は、エリアB780に位置するビル一帯。

 受付を顔パスでスルーすると、
 ソウルさんは、奥のエレベーターに乗り込んだ。
 数秒後、たどり着いたのは五階。

 チーンと音がなって扉が開く。
 外に出て、まっすぐ進むと、
 そこで、


「……ん……局長、そのガキは何だ?」


 鋭い目つきの男が、そう声をかけてきた。
 挨拶をするでもなく、
 敬語を使うでもなく、
 けだるげな雰囲気で、
 ゲンをジっとにらんでいる。
 雰囲気はけだるげだが、目の奥はギラギラと光っている。

 ゲンは、その男の所作一連を見て、

(この男……たぶん、かなり強いな……)

 心の中でそうつぶやく。
 目の前にいる『この目つきの悪い男』が、
 『具体的に、どのくらい強い』のか――それは、もちろん、わからない。
 しかし、『なんとなく』は感じる。

 明らかな強者の気配。
 ピリピリとした空気感。


「ウチの息子だ。今日からここでバイトさせることにした」


 ソウルさんの言葉を聞いて、
 鋭い目つきの男は、
 思いっきり渋い表情となり、

「バイトって……バカかよ……ここはコンビニじゃねぇんだぞ」

 そうつぶやいてから、

「つぅか……あんたのガキって確か……まだ五つか六つだよな?」

「ああ、今年五歳になった。子供の成長というのは早いものだなぁ。つい、ちょっと前までハイハイをしていかと思えば、いつのまにか、支配者を夢見る野心家になっていた」

「……ちょっと何言っているか分かんねぇなぁ」

「ウチの子はすごいぞぉ。なんせ、将来の夢が、五大家の中枢に食い込むだからな」

「なるほど、とてつもないバカ息子ってことか。理解した」

「ウチの息子をバカにすると許さんぞ。いいか、ヒジカ。この子は、口だけではなく、その野心を実現させうる可能性を秘めている」


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