センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
25話 毒組局長ソウル・フォース。
25話 毒組局長ソウル・フォース。
「ちなみに、この家を出て、何をするつもりなんだ?」
「だから、カジノという鉄火場で――」
「ちゃんと答えなさい」
「ちゃんと答えていますよ。カジノの闘技場に参加します。そこでお金を稼ぎ、五大家に実力を認めてもらい、重職について、大金持ちになる……それが俺の人生設計です」
「……なるほど。お前は、五大家の類縁になりたいのか」
「いや、類縁になりたいのではなく、お金を稼ぎたいのです。五大家の枠外でいくら頑張っても、搾取される側でしかいられないので」
「……まあ、確かにそうだな」
「というわけで、そろそろ俺は失礼して――」
そう言って家を出ようとするゲンに、
ソウルさんは言う。
「では、明日から、私の仕事を手伝いなさい」
「……ぇ?」
★
ゲンの父『ソウル・フォース』は、
エリアB775‐989の治安を守る特殊警察『毒組』の局長。
毒組の職務内容は、第一アルファでいうところの公安。
テロリストや凶悪犯罪者がメインのターゲット。
「私たちの管轄であるエリアB775‐989は、『全宮ロコ』様の支配区域。ようするに、我々は、全宮ロコ様直属の部隊という事になる」
毒組の屯所に向かう途中、ソウルさんは、とつとつと口を開く。
「毒組は『完全院家が誇る最強の部隊クリムゾン・スターズ』なんかと比べると派手さはない。だが、ウチには手練れが多いからな。実力ではそれほど負けてはいないと自負している」
その見解は、子に対する親の見栄でしかなく、
実際のところ、『毒組』と『クリムゾン・スターズ』では大きな差がある。
ソウル・フォース個人だけならば、一応、クリムゾン・スターズのメンバーとも対応以上に渡り合えるのだが、総合的・全体的な質で言うと、毒組は、かなり劣っていると言わざるをえない。
例えるなら『メジャーのトップチーム』と『設立当時のゴールデンイーグルス』ぐらいの差がある。
「ゲン……お前には、いつか、私の跡を継いでもらいたいと考えている」
「え、毒組の局長って世襲制なんですか?」
「もちろん、私の一存で決められることではない。エリアBの最高学府である全宮学園を優秀な成績で卒業し、厳しい採用試験を突破し、全宮ロコ様に認めてもらわなければ、そもそも、毒組に入ることすら不可能」
(なるほど……ようするに、プロ野球のエースを張っている親が、『息子に自分の背番号を継いでもらいたい』と思っているのと同じってことか)
「当然、お前には、お前の望む道があるのだろう。それを否定する気はない。『絶対に毒組に入れ』などという気はさらさらないさ」
「理解のある親をもって感謝感激です」
そんな感想をこぼすゲンに、
ソウルさんは、ボソっと、
「もっと本音のところで言えば……私はお前に『毒組に入ってもらいたい』とは思っていない」
(どないやねん)
「毒組の局長という仕事は、常に危険がつきまとう修羅の道。なんせ、毒組のお客様はテロリストや凶悪犯罪者。私は、大事な一人息子であるお前に『他人のために戦って死ね』などというつもりは微塵もない。むしろ、積極的に、他人を盾にして、どうにか生き残ってもらいたいとすら思っている」
(それは、あかんやろ)
「ちなみに、この家を出て、何をするつもりなんだ?」
「だから、カジノという鉄火場で――」
「ちゃんと答えなさい」
「ちゃんと答えていますよ。カジノの闘技場に参加します。そこでお金を稼ぎ、五大家に実力を認めてもらい、重職について、大金持ちになる……それが俺の人生設計です」
「……なるほど。お前は、五大家の類縁になりたいのか」
「いや、類縁になりたいのではなく、お金を稼ぎたいのです。五大家の枠外でいくら頑張っても、搾取される側でしかいられないので」
「……まあ、確かにそうだな」
「というわけで、そろそろ俺は失礼して――」
そう言って家を出ようとするゲンに、
ソウルさんは言う。
「では、明日から、私の仕事を手伝いなさい」
「……ぇ?」
★
ゲンの父『ソウル・フォース』は、
エリアB775‐989の治安を守る特殊警察『毒組』の局長。
毒組の職務内容は、第一アルファでいうところの公安。
テロリストや凶悪犯罪者がメインのターゲット。
「私たちの管轄であるエリアB775‐989は、『全宮ロコ』様の支配区域。ようするに、我々は、全宮ロコ様直属の部隊という事になる」
毒組の屯所に向かう途中、ソウルさんは、とつとつと口を開く。
「毒組は『完全院家が誇る最強の部隊クリムゾン・スターズ』なんかと比べると派手さはない。だが、ウチには手練れが多いからな。実力ではそれほど負けてはいないと自負している」
その見解は、子に対する親の見栄でしかなく、
実際のところ、『毒組』と『クリムゾン・スターズ』では大きな差がある。
ソウル・フォース個人だけならば、一応、クリムゾン・スターズのメンバーとも対応以上に渡り合えるのだが、総合的・全体的な質で言うと、毒組は、かなり劣っていると言わざるをえない。
例えるなら『メジャーのトップチーム』と『設立当時のゴールデンイーグルス』ぐらいの差がある。
「ゲン……お前には、いつか、私の跡を継いでもらいたいと考えている」
「え、毒組の局長って世襲制なんですか?」
「もちろん、私の一存で決められることではない。エリアBの最高学府である全宮学園を優秀な成績で卒業し、厳しい採用試験を突破し、全宮ロコ様に認めてもらわなければ、そもそも、毒組に入ることすら不可能」
(なるほど……ようするに、プロ野球のエースを張っている親が、『息子に自分の背番号を継いでもらいたい』と思っているのと同じってことか)
「当然、お前には、お前の望む道があるのだろう。それを否定する気はない。『絶対に毒組に入れ』などという気はさらさらないさ」
「理解のある親をもって感謝感激です」
そんな感想をこぼすゲンに、
ソウルさんは、ボソっと、
「もっと本音のところで言えば……私はお前に『毒組に入ってもらいたい』とは思っていない」
(どないやねん)
「毒組の局長という仕事は、常に危険がつきまとう修羅の道。なんせ、毒組のお客様はテロリストや凶悪犯罪者。私は、大事な一人息子であるお前に『他人のために戦って死ね』などというつもりは微塵もない。むしろ、積極的に、他人を盾にして、どうにか生き残ってもらいたいとすら思っている」
(それは、あかんやろ)
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