センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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17話 メメント・モリ(死を想え)。

 17話 メメント・モリ(死を想え)。

 劇的に人生を変えられる裏技は闇市や数真くらいで、
 ほかの裏技は、そのほとんどが、
 インパクトにかける、しょうもない小ネタばかり。

(あとは……ぁあ、そういえば、『自分の命を懸けることで発動する』って裏技もあったなぁ……)

 絶死のように、覚悟さえあれば、誰でも発動するたぐいのものではなく、
 特定の手順を経なければ発動しない、
 いわば、絶死の上位版。

 その特定の手順とは、

(たしか……ヒーロー見参と口にしながら、自分の心臓にナイフを突き刺すこと……だったよな)

 その過程を経ることによって、
 『何かが起こる』という意味不明な裏技。

 これは、絶死のような『死を覚悟することによるパワーアップ』ではなく、
 『死ぬこと』によって『何かが起こる』という、なんとも救いのない技。

(その裏技を使うと、なにかすごいことが起こる……とは書いてあったが……)

 WEB版の主人公が『その裏技を試す前』に、
 ゲンは、この世界に転生したため、
 その裏技によって何を得られるのかは完全に不明。

(……その『すごいこと』ってのには、かなり興味があるが……しかし、死ななきゃ発動しない系の裏技だから、さすがに、おいそれと試せねぇよなぁ……)

 『ナイフを突き刺す』というあいまいな言い方だと、
 回避の手段がありそうに思える。
 が、この裏技は、その手の『逃げ』を許さない。
 『心臓を貫き、絶命に至る』――それが発動の絶対条件。
 ――と、WEB小説には注釈が書いてあった。

(この命がけの裏技は……この先、どこかで、『こりゃ確実に死ぬな』って展開になった時に試してみることにして……)

 ゲンは、いったん、
 リアルな未来に対して思考をシフトする。

(努力の積み方と、金の効率的な稼ぎ方……さて、どうしたものか……堅実にいくか、それとも、何か勝負に出るか……)

 と、そこで、ゲンは、ふと思い出す。

(……そういえば、確か、五大家主催の裏カジノだと、実力さえあれば、運否天賦に任せなくても、億クラスの大金が稼げたよな……)

 五大家主催の裏カジノは、レートがえげつない。
 そして、五大家主催の裏カジノでは、
 ポーカーやバカラなどのテーブルゲームだけではなく、
 剣闘士たちが命を懸け合う闘技場もある。

(確か、自分に賭けることも許されていたはず。自分にベットして勝ち続ければ……)

 『賭ける側』だけではなく『賭けられる側』にも回れば、
 ――ようするに、自分自身が『馬』として出場すれば、
 運に頼らなくとも、実力次第で、かなりの額を稼ぐことができる。

(もちろん、勝ち上がった先に待っている対抗馬は、五大家自慢の剣闘士たちだから、相当な実力をつけて挑まないと殺されるだけなんだけど……数真がつかえる俺は、やり方次第で、いくらでも強くなれる……)

 ゲンは、未来を演算する。
 効率的な成長、効率的な金稼ぎ。

(……目標としては……五大家の人間に『こいつを殺すのはもったいない』と思わせるくらい強くなること……そうすれば、最悪、俺より強い敵が出てきたとしても『殺すな』と待ったをかけてくれるだろう……)


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