センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
89話 忘れない。
89話 忘れない。
ドナは、聖典が嫌いだった。
どれも、神の『表面上の美しさ』ばかりをなぞっていて、
神の『本当の美しさ』はまったく描けていないから。
神の尊さとは、
『最強の存在値』とか、
『無敵の戦闘力』とか、
『なぎ倒してきた敵の数』だとか、
――そんな『安っぽい数値』じゃない。
『誰にもマネできない偉業』の裏には、
無数の『誰にもマネできない輝き』が隠されている。
――だから、ドナは、聖典が嫌いだった。
『心配しなくていい! 守ってやるよ! お前らの王として! 俺は最後まで戦い続ける! そのために積んできた――ってワケじゃないが、しかし、結果は同じだから、別にいいだろ?』
『文章で神の尊さを表現すること』など、出来るはずがない。
神の偉業を後世に伝えようとした――その試みを責める気はないが、
あまりの不出来さに、いつもイライラとしてしまう。
だから、
『マジで思うぜ! 必死に積み重ねてきてよかった! おかげで、まだ立っていられる! まだ、お前たちに希望を見せてやれる! ――さあ、前を見ろ! そこには必ず、俺がいる!!』
ドナは聖典が嫌いだ。
『――ドナ……俺はそろそろ、マジで壊れる。バグを壊すことしか頭にない歪んだ兵器になるだろう』
その恐怖は、どれだけのものだっただろう。
薬と魔法で、確実に歪んでいく自我。
自分がどんどん兵器になっていく恐怖。
ドナには、少しだけ、その恐怖が想像できた。
センと出会う前のドナは『自分がただの武器でしかない』という認識があった。
人としての心が死んで、武器として、ただ他者を傷つけるだけの暗殺者としての日々。
救ってくれたのはセンだった。
ただの武器ではなく、穢れを払う薔薇としての居場所をくれた。
『壊れる前に言っておく。……ここまで、俺のサポートをしてくれてありがとう。お前がいなかったら、俺はとっくに終わっていた。お前がいてくれたから、俺はここまで戦えた。俺を支えてくれたのは、もちろん、お前だけじゃないが……【お前】がいなかったら届かなかった。それは事実なんだ』
手を握ってくれた。
抱きしめてくれた。
命の王として、
理想の英雄として、
『ここまで、返しきれないほど、散々助けてもらってきたが……最後に、一つだけ、俺のワガママを聞いてくれ』
ドナは聖典が嫌いだ。
『組織ってのは、シメるヤツがいないと簡単に腐る。あんな……山のような偶然が無数に重なって生まれた【奇跡みたいな組織】を、ただ腐らせるのは……なんか、イヤだ。というわけで、ゼノリカを頼んだ。これまでと同じく……いや、これまで以上に【道を踏み外しそうになったヤツ】を見つけたら、心を込めて、ぶん殴ってやってくれ。頼んだぞ。お前なら出来る』
ドナは、
『聖典を読んだくらいで神を分かった気になっているバカ共』が大嫌いだ。
『神を信じていない者』はただのバカだからどうでもいいが、
『神を分かった気になっている者』のことは許せない。
その感情は、ゆがんだワガママ。
ヤンデレゆえのイビツな思想。
ドナは思う。
――貴様らは何も理解できてなどいない。
――貴様らは何も知らない。
神は、もっと……
もっと――
『ゲヘヘ……精神ト外見ダケジャナク……ツイニハ声帯モイカレテキタナ……笑エルゼ……イッソ、スガスガシイ』
神は――
『……ヤッタゾ……一匹ヲ殺ス時間……最高記録更新……流石、俺……カッコ良スギダゼ、ヒャッハァ、ゲヘヘヘッギヘヘヘヘヘヘ』
――神は!
『忘レルナ……コレガ……絶望ノ殺シ方ダ……』
ドナは忘れない。
神の成した全てが、その心に刻み込まれている。
ドナは、聖典が嫌いだった。
どれも、神の『表面上の美しさ』ばかりをなぞっていて、
神の『本当の美しさ』はまったく描けていないから。
神の尊さとは、
『最強の存在値』とか、
『無敵の戦闘力』とか、
『なぎ倒してきた敵の数』だとか、
――そんな『安っぽい数値』じゃない。
『誰にもマネできない偉業』の裏には、
無数の『誰にもマネできない輝き』が隠されている。
――だから、ドナは、聖典が嫌いだった。
『心配しなくていい! 守ってやるよ! お前らの王として! 俺は最後まで戦い続ける! そのために積んできた――ってワケじゃないが、しかし、結果は同じだから、別にいいだろ?』
『文章で神の尊さを表現すること』など、出来るはずがない。
神の偉業を後世に伝えようとした――その試みを責める気はないが、
あまりの不出来さに、いつもイライラとしてしまう。
だから、
『マジで思うぜ! 必死に積み重ねてきてよかった! おかげで、まだ立っていられる! まだ、お前たちに希望を見せてやれる! ――さあ、前を見ろ! そこには必ず、俺がいる!!』
ドナは聖典が嫌いだ。
『――ドナ……俺はそろそろ、マジで壊れる。バグを壊すことしか頭にない歪んだ兵器になるだろう』
その恐怖は、どれだけのものだっただろう。
薬と魔法で、確実に歪んでいく自我。
自分がどんどん兵器になっていく恐怖。
ドナには、少しだけ、その恐怖が想像できた。
センと出会う前のドナは『自分がただの武器でしかない』という認識があった。
人としての心が死んで、武器として、ただ他者を傷つけるだけの暗殺者としての日々。
救ってくれたのはセンだった。
ただの武器ではなく、穢れを払う薔薇としての居場所をくれた。
『壊れる前に言っておく。……ここまで、俺のサポートをしてくれてありがとう。お前がいなかったら、俺はとっくに終わっていた。お前がいてくれたから、俺はここまで戦えた。俺を支えてくれたのは、もちろん、お前だけじゃないが……【お前】がいなかったら届かなかった。それは事実なんだ』
手を握ってくれた。
抱きしめてくれた。
命の王として、
理想の英雄として、
『ここまで、返しきれないほど、散々助けてもらってきたが……最後に、一つだけ、俺のワガママを聞いてくれ』
ドナは聖典が嫌いだ。
『組織ってのは、シメるヤツがいないと簡単に腐る。あんな……山のような偶然が無数に重なって生まれた【奇跡みたいな組織】を、ただ腐らせるのは……なんか、イヤだ。というわけで、ゼノリカを頼んだ。これまでと同じく……いや、これまで以上に【道を踏み外しそうになったヤツ】を見つけたら、心を込めて、ぶん殴ってやってくれ。頼んだぞ。お前なら出来る』
ドナは、
『聖典を読んだくらいで神を分かった気になっているバカ共』が大嫌いだ。
『神を信じていない者』はただのバカだからどうでもいいが、
『神を分かった気になっている者』のことは許せない。
その感情は、ゆがんだワガママ。
ヤンデレゆえのイビツな思想。
ドナは思う。
――貴様らは何も理解できてなどいない。
――貴様らは何も知らない。
神は、もっと……
もっと――
『ゲヘヘ……精神ト外見ダケジャナク……ツイニハ声帯モイカレテキタナ……笑エルゼ……イッソ、スガスガシイ』
神は――
『……ヤッタゾ……一匹ヲ殺ス時間……最高記録更新……流石、俺……カッコ良スギダゼ、ヒャッハァ、ゲヘヘヘッギヘヘヘヘヘヘ』
――神は!
『忘レルナ……コレガ……絶望ノ殺シ方ダ……』
ドナは忘れない。
神の成した全てが、その心に刻み込まれている。
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