センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
87話 本当はわかっている。
87話 本当はわかっている。
『……幸福だった……幸運だった……あなたの配下になれたこと……あなたに尽くせたこと……すべて、すべて……だから……』
ゼノリカを有する第2~第9アルファの未来は輝いている。
心に正しさを持つ者であれば誰もが望むであろう、
――『完全で完璧な世界』にたどり着ける。
確信できた。
疑いようのない未来。
だから、絶対に失いたくない。
『あなたは、私に与えてくれた……この暖かさ……この想い……命の意味を、あなたは私に教えてくれた……』
失いたくないから、
だから、必死になって戦った。
大事な大事な王を壊してでも、
絶対に守りたいと願い、
この絶望に、この運命に抗った!
――けれど、もう無理。
壊れ果てたセンの姿を目の当たりにし続けた結果、
ついには、ドナの心も壊れてしまった。
『絶望』なんかよりも、
よっぽど重たい『センエースの献身』が、
ドナの心を砕いてしまったのだ。
『今日まで、あなたの剣として働くことができた……その誇りを胸に死ぬことができる。それは、とても幸せなこと……感謝しております。あなたは理想の王。本物の……英雄だった』
これ以上の王はいない。
これ以上の英雄はいない。
本気で思った。
本気で思ったからこそ、
『……もう、十分……十分すぎるほど……あなたは私たちのために戦ってくれました……だから……だから、もう……』
――お願いだから、もうそれ以上、壊れないで――
悲痛な悲鳴。
苦しくてたまらない。
――そんな慟哭。
すがりつくように『あきらめてほしい』と懇願されたセンは、
『その評価はありがたいねぇ。お前ほどの女にそこまで評価される男はそういないだろう。誇らしいねぇ。俺って、実は、かなりの【いい男】だったんだな』
しかし、
『けどなぁ、ドナ。本音をぶっちゃけると……お前の【評価】や【願い】なんざ、知ったこっちゃないんだよ』
当たり前の『弱さ』に背を向けて、
まっすぐに、絶望と向き合って、
『俺はいつだって、自分がやりたいことをやるだけさ……あのデカい虫どもは、いい経験値だ。望んで探してもそうそう見つからない、俺を磨く肥料。そして、ドナ。お前らは、俺の訓練を補助する道具。現状ってのは、結局のところ、それだけの話なのさ』
ドナはいつも思う。
――王の演技は下手すぎる。
――これで、他人を本気で騙せると思っているところが救えない。
『だから、俺を壊していることなんて、気にするな。これは、俺が望んでいること。……それだけでしかない。……くくっ、ボロボロになることを自ら望むとは……とんだドM野郎だぜ。センエースって男が重度の変態だってことは知っていたが、まさか、これほどの高次ステージに立っているとは思っていなかった。笑える話だ』
いつだってそう。
どんな時だって、
決して『ピエロ(ヒーロー)』の仮面を脱がずに笑ってみせた。
『……セン……様……あなたは……どうして……いつも……』
『どうして、か。なんでだろうな……『俺にしか出来ない事だから』……なんて言葉は正確じゃないな……んー、マジでなんでだろう……いや、ほんと、なんでなんだろうなぁ……わかんねぇ……いや、本当はわかっている』
『……幸福だった……幸運だった……あなたの配下になれたこと……あなたに尽くせたこと……すべて、すべて……だから……』
ゼノリカを有する第2~第9アルファの未来は輝いている。
心に正しさを持つ者であれば誰もが望むであろう、
――『完全で完璧な世界』にたどり着ける。
確信できた。
疑いようのない未来。
だから、絶対に失いたくない。
『あなたは、私に与えてくれた……この暖かさ……この想い……命の意味を、あなたは私に教えてくれた……』
失いたくないから、
だから、必死になって戦った。
大事な大事な王を壊してでも、
絶対に守りたいと願い、
この絶望に、この運命に抗った!
――けれど、もう無理。
壊れ果てたセンの姿を目の当たりにし続けた結果、
ついには、ドナの心も壊れてしまった。
『絶望』なんかよりも、
よっぽど重たい『センエースの献身』が、
ドナの心を砕いてしまったのだ。
『今日まで、あなたの剣として働くことができた……その誇りを胸に死ぬことができる。それは、とても幸せなこと……感謝しております。あなたは理想の王。本物の……英雄だった』
これ以上の王はいない。
これ以上の英雄はいない。
本気で思った。
本気で思ったからこそ、
『……もう、十分……十分すぎるほど……あなたは私たちのために戦ってくれました……だから……だから、もう……』
――お願いだから、もうそれ以上、壊れないで――
悲痛な悲鳴。
苦しくてたまらない。
――そんな慟哭。
すがりつくように『あきらめてほしい』と懇願されたセンは、
『その評価はありがたいねぇ。お前ほどの女にそこまで評価される男はそういないだろう。誇らしいねぇ。俺って、実は、かなりの【いい男】だったんだな』
しかし、
『けどなぁ、ドナ。本音をぶっちゃけると……お前の【評価】や【願い】なんざ、知ったこっちゃないんだよ』
当たり前の『弱さ』に背を向けて、
まっすぐに、絶望と向き合って、
『俺はいつだって、自分がやりたいことをやるだけさ……あのデカい虫どもは、いい経験値だ。望んで探してもそうそう見つからない、俺を磨く肥料。そして、ドナ。お前らは、俺の訓練を補助する道具。現状ってのは、結局のところ、それだけの話なのさ』
ドナはいつも思う。
――王の演技は下手すぎる。
――これで、他人を本気で騙せると思っているところが救えない。
『だから、俺を壊していることなんて、気にするな。これは、俺が望んでいること。……それだけでしかない。……くくっ、ボロボロになることを自ら望むとは……とんだドM野郎だぜ。センエースって男が重度の変態だってことは知っていたが、まさか、これほどの高次ステージに立っているとは思っていなかった。笑える話だ』
いつだってそう。
どんな時だって、
決して『ピエロ(ヒーロー)』の仮面を脱がずに笑ってみせた。
『……セン……様……あなたは……どうして……いつも……』
『どうして、か。なんでだろうな……『俺にしか出来ない事だから』……なんて言葉は正確じゃないな……んー、マジでなんでだろう……いや、ほんと、なんでなんだろうなぁ……わかんねぇ……いや、本当はわかっている』
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