センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
85話 偉大な王が壊れていく……
85話 偉大な王が壊れていく……
『セン様……なぜ、あなたは……立ち向かえるのですか……そんな……誰よりも、ボロボロになって……誰よりも苦しんで……どうして……なんで……』
『俺にはお前らと違って保険があるからな。死んでも別の世界に転生するだけ。楽なもんさ。だから、死にビビることなく闘える。俺なんて、それだけのもんさ』
神はいつも、雄大だった。
超然としていた。
飄々としていた。
どんな絶望を前にして、
『俺にとっては大した問題じゃない』と笑ってみせた。
――みんな、わかっていた。
――それが演技だってこと。
(たった一人に全てを負わせて……痛みの全てを押し付けて……)
自分が情けなかった。
『誰よりも苦しんでいる』のが『誰』なのか、
キチンと理解できていたのに、
――なのに、ドナは、バグという地獄に抗いきれなかった。
決して何もしなかったわけではない。
『常人の精神力』では考えられないほど、
ドナは、バグという地獄に対して抗ってはいた。
しかし『常人と比べてどう』とか、
そんな『比較の話』はどうでもよかった。
――そういう次元の話ではないのだ。
どうにか抗おうとして、
必死に心に喝を入れて、
しかし、
『無理……絶対……』
現実を前にすると、
心が折れてしまう。
ドナですら立ち上がれなくなってしまうほどの絶望。
それがバグとの闘いだった。
――長い闘いだった。
死の螺旋はまるでメビウス。
すり減っていく希望。
終わらない絶望。
見えない未来。
抗い続けた王は、
日に日に壊れていく。
『偉大な王が壊れていく……壊しているのは……私だ……私があなたを壊している……』
後方支援として、センを薬漬けにしていたのはドナだった。
亜空間の生成や空間跳躍にたけている彼女こそが適役だった。
ドナは『日に日に歪んでいくセン』を、
毎日、毎日、その手で壊し続けた。
『副作用がエゲつない薬』をブチこんで、
『効果は高いが、しかし、肉体と精神に支障が出るタイプのバフ』を積んで、
勝手な不安と、ほんのわずかな期待を押し付けて、
人類の盾として酷使して、
人類の剣として振り回して、
ボロボロの姿になって帰ってくるセン。
ズタズタの姿で戦場に帰っていくセン。
――『なんでまだ死んでいないのか』と、
本気で不思議に思えるほどの無残な姿で、
なのに!
それでも!
『バフと薬が切れた……補充してくれ。今回は、いつもよりキツくしてもいい。この地獄にもだいぶ慣れてきた。俺は……まだ舞える』
センは、まっすぐに、ドナの目を見て『自分を壊せ』と命令をした。
誰よりも壊れて、
誰よりも苦しんで、
なのに、
――それでも、センエースは『自分以外』の『弱い命』のために戦い続けた。
センエースは『死んでも、別の世界に転生すること』ができる。
それはつまり、
センエース自身には『今、ここで無理して戦う理由なんてない』ってこと。
こんな『地獄のような状況』には背を向けて、
さっさと自殺して、別の世界に転生すれば、
穏やかで楽しい毎日を過ごせるってこと。
だが、センエースは抗い続けた。
すべての、弱い命のために、
――狂いながら、舞い続けた。
『セン様……なぜ、あなたは……立ち向かえるのですか……そんな……誰よりも、ボロボロになって……誰よりも苦しんで……どうして……なんで……』
『俺にはお前らと違って保険があるからな。死んでも別の世界に転生するだけ。楽なもんさ。だから、死にビビることなく闘える。俺なんて、それだけのもんさ』
神はいつも、雄大だった。
超然としていた。
飄々としていた。
どんな絶望を前にして、
『俺にとっては大した問題じゃない』と笑ってみせた。
――みんな、わかっていた。
――それが演技だってこと。
(たった一人に全てを負わせて……痛みの全てを押し付けて……)
自分が情けなかった。
『誰よりも苦しんでいる』のが『誰』なのか、
キチンと理解できていたのに、
――なのに、ドナは、バグという地獄に抗いきれなかった。
決して何もしなかったわけではない。
『常人の精神力』では考えられないほど、
ドナは、バグという地獄に対して抗ってはいた。
しかし『常人と比べてどう』とか、
そんな『比較の話』はどうでもよかった。
――そういう次元の話ではないのだ。
どうにか抗おうとして、
必死に心に喝を入れて、
しかし、
『無理……絶対……』
現実を前にすると、
心が折れてしまう。
ドナですら立ち上がれなくなってしまうほどの絶望。
それがバグとの闘いだった。
――長い闘いだった。
死の螺旋はまるでメビウス。
すり減っていく希望。
終わらない絶望。
見えない未来。
抗い続けた王は、
日に日に壊れていく。
『偉大な王が壊れていく……壊しているのは……私だ……私があなたを壊している……』
後方支援として、センを薬漬けにしていたのはドナだった。
亜空間の生成や空間跳躍にたけている彼女こそが適役だった。
ドナは『日に日に歪んでいくセン』を、
毎日、毎日、その手で壊し続けた。
『副作用がエゲつない薬』をブチこんで、
『効果は高いが、しかし、肉体と精神に支障が出るタイプのバフ』を積んで、
勝手な不安と、ほんのわずかな期待を押し付けて、
人類の盾として酷使して、
人類の剣として振り回して、
ボロボロの姿になって帰ってくるセン。
ズタズタの姿で戦場に帰っていくセン。
――『なんでまだ死んでいないのか』と、
本気で不思議に思えるほどの無残な姿で、
なのに!
それでも!
『バフと薬が切れた……補充してくれ。今回は、いつもよりキツくしてもいい。この地獄にもだいぶ慣れてきた。俺は……まだ舞える』
センは、まっすぐに、ドナの目を見て『自分を壊せ』と命令をした。
誰よりも壊れて、
誰よりも苦しんで、
なのに、
――それでも、センエースは『自分以外』の『弱い命』のために戦い続けた。
センエースは『死んでも、別の世界に転生すること』ができる。
それはつまり、
センエース自身には『今、ここで無理して戦う理由なんてない』ってこと。
こんな『地獄のような状況』には背を向けて、
さっさと自殺して、別の世界に転生すれば、
穏やかで楽しい毎日を過ごせるってこと。
だが、センエースは抗い続けた。
すべての、弱い命のために、
――狂いながら、舞い続けた。
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