センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
70話 厳しすぎるドナ。
70話 厳しすぎるドナ。
「このミッションには第三フェーズが残っていた。『バロールが敵として参戦する』という第三フェーズだ。貴様が、ゴミスを突破する打開案を見つけた直後に発動する予定だった。――バロールと私とゴミスを同時に相手にしなければいけない――そこまでいって、はじめて、貴様は逃走を考えなければいけなかった」
「……」
「強者の損失はゼノリカにとって不利益だが、『状況判断もロクに出来ない愚者』の排斥は、むしろ、ゼノリカにとって利益となる。ゼノリカに足手まといはいらない」
「……」
ギリっと奥歯をかみしめるアモン。
心の底から後悔が沸き上がってくる。
グツグツと、黒い感情が、胸の中で渦巻く。
歪な羞恥であったり、直接的な憤怒であったり、
――『厳しすぎるドナ』に対する『ガキらしい反発心』もゼロではないが、
――『認められていながら応えられなかった自分』に対する怒りもあって、
だから、どうしたらいいのかわからない情動が、
グルグルと、自分の中でうごめいている。
「十歳の子供を相手に、この極限査定。もちろん、厳しすぎるとは思う。しかし――」
「いえ……そこらの十歳児を相手にしているのであれば、確かに厳しすぎる査定だと思いますが、僕はそこらの十歳ではない。ゼノリカの天下、楽連の武士。督脈の15番……だから……」
悔し涙をこらえながら、
キっとした強い視線で、
「もうしわけございませんでした。僕の判断ミスです。ゼノリカの天下に属する者として、あってはならないミスを犯してしまいました……」
そう言って頭を下げた。
プライドが高いがゆえに、
理の通った叱責を前にすれば、頭を下げずにはいられない。
プライドが高いというのは、ワガママということではない。
自分に対して厳しい――その器がなければ、プライドなど腐った生ごみ。
「どうか、もう一度……チャンスを……」
そう言って、懇願しようとするが、
「二度目はない」
冷たく切り捨てられる。
ドナの目に温情はなかった。
彼女はそういう女ではない。
ゼノリカに対するヤンデレ。
つまりは、この上なく尊き神を抱く組織の監査官。
――当然、『甘さ』など、カケラもない。
打ちひしがれるアモンに、
ドナは、
「今回の件で不合格をとった事実は覆らない。だが、金輪際チャンスを与えない――というわけではない」
「っ」
「貴様を、『エリアB』の『学園』に調査員として派遣する。そこで成果を出せば、貴様に対する評定を見直そう」
「……感謝します」
そう言って頭を下げたアモン。
(最重要区画であるエリアAの外に……それも教育施設の調査員として……重要度は低い……下っ端の仕事だ……そこから始めるのか……)
チャンスを与えられたことに対する喜びはなかった。
『落ちぶれてしまった』という惨めさだけに支配される。
掌握しきれない感情。
まだまだ不安定な心。
結局のところ、やはり、
アモンは、まだまだガキなのだ。
「さがりなさい」
命令を受けると、
アモンは、一度、深く頭を下げてから、
ドナの空間から脱出した。
ドナがアモンに説教している間、
ずっとトリップ顔で停止していたゴミス。
ドナが、パチンと指を鳴らすと、
「――はっ」
と、目に精気が戻り、
「な、なんだ……?」
「このミッションには第三フェーズが残っていた。『バロールが敵として参戦する』という第三フェーズだ。貴様が、ゴミスを突破する打開案を見つけた直後に発動する予定だった。――バロールと私とゴミスを同時に相手にしなければいけない――そこまでいって、はじめて、貴様は逃走を考えなければいけなかった」
「……」
「強者の損失はゼノリカにとって不利益だが、『状況判断もロクに出来ない愚者』の排斥は、むしろ、ゼノリカにとって利益となる。ゼノリカに足手まといはいらない」
「……」
ギリっと奥歯をかみしめるアモン。
心の底から後悔が沸き上がってくる。
グツグツと、黒い感情が、胸の中で渦巻く。
歪な羞恥であったり、直接的な憤怒であったり、
――『厳しすぎるドナ』に対する『ガキらしい反発心』もゼロではないが、
――『認められていながら応えられなかった自分』に対する怒りもあって、
だから、どうしたらいいのかわからない情動が、
グルグルと、自分の中でうごめいている。
「十歳の子供を相手に、この極限査定。もちろん、厳しすぎるとは思う。しかし――」
「いえ……そこらの十歳児を相手にしているのであれば、確かに厳しすぎる査定だと思いますが、僕はそこらの十歳ではない。ゼノリカの天下、楽連の武士。督脈の15番……だから……」
悔し涙をこらえながら、
キっとした強い視線で、
「もうしわけございませんでした。僕の判断ミスです。ゼノリカの天下に属する者として、あってはならないミスを犯してしまいました……」
そう言って頭を下げた。
プライドが高いがゆえに、
理の通った叱責を前にすれば、頭を下げずにはいられない。
プライドが高いというのは、ワガママということではない。
自分に対して厳しい――その器がなければ、プライドなど腐った生ごみ。
「どうか、もう一度……チャンスを……」
そう言って、懇願しようとするが、
「二度目はない」
冷たく切り捨てられる。
ドナの目に温情はなかった。
彼女はそういう女ではない。
ゼノリカに対するヤンデレ。
つまりは、この上なく尊き神を抱く組織の監査官。
――当然、『甘さ』など、カケラもない。
打ちひしがれるアモンに、
ドナは、
「今回の件で不合格をとった事実は覆らない。だが、金輪際チャンスを与えない――というわけではない」
「っ」
「貴様を、『エリアB』の『学園』に調査員として派遣する。そこで成果を出せば、貴様に対する評定を見直そう」
「……感謝します」
そう言って頭を下げたアモン。
(最重要区画であるエリアAの外に……それも教育施設の調査員として……重要度は低い……下っ端の仕事だ……そこから始めるのか……)
チャンスを与えられたことに対する喜びはなかった。
『落ちぶれてしまった』という惨めさだけに支配される。
掌握しきれない感情。
まだまだ不安定な心。
結局のところ、やはり、
アモンは、まだまだガキなのだ。
「さがりなさい」
命令を受けると、
アモンは、一度、深く頭を下げてから、
ドナの空間から脱出した。
ドナがアモンに説教している間、
ずっとトリップ顔で停止していたゴミス。
ドナが、パチンと指を鳴らすと、
「――はっ」
と、目に精気が戻り、
「な、なんだ……?」
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
2288
-
-
381
-
-
6
-
-
32
-
-
140
-
-
125
-
-
3395
-
-
76
-
-
157
コメント