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68話 ゼノリカの基準。

 68話 ゼノリカの基準。

「その可能性とはなんだ? 『一撃すらいれられない』という可能性か? 『敵の戦力的情報をわずかも奪取できない』という可能性か?」

「……だ、ダメージを負いすぎると、逃げ切ることすら難しい――そういう可能性です!」

 ひるまないアモン。

 『上司に対してくってかかる』という覚悟は、
 しょせん『視界の狭さ』の表れでしかない。

 『大局』でみれば――少なくとも『この状況において』は、
 そんな覚悟、捨ててしまった方が、はるかにいいのだが、
 そういう『当たり前』すら見失ってしまっている。

 泥沼にはまっているアモンに対し、
 ドナは、さらにトーンを下げて、
 『愚者』に摂理を説くテンションで、

「ゴミスの動きは極めて単調だった。バーサク状態ゆえ、思い切りだけは良かったが、しかし、すべての動きが極めて直線的だった」

 淡々と、
 静かに、
 ジワジワと、
 アモンを追い詰めていく。

 賢(さか)しらに『薄っぺらな理』を振りかざそうとするバカの対処方法は一つ。
 ぐうの音も出ない理でもって叩き潰す。

 ――ドナは許さない。
 ――勘違いしたバカを許さない。

「マリオネット・ゲイザーも、完全支配ではなく『戦闘力の矯正』にとどまっていた。現状のゴミスには、多少マシな迎撃プログラムが組み込まれた――くらいのもので、ゆえに、対処方法はいくらでもあった」

 ドナのマリオネット・ゲイザーは、『全力』で使えば、
 『他者の体』で『ドナの戦闘力』を八割近く再現できる操作系の魔法。

 だが『軽く』使えば、ドナが会得している『戦闘の型』を少しだけインストールするくらいのしょっぱい効果となる。

 バーサクによって戦闘思考力が制限されているがゆえの、直線的で単調な動き。
 ハンパなマリオネット・ゲイザーによる『応用』のきかない型通りのムーブ。

 いくら、バフデバフによって有利が殺されている状況と言っても、
 実際のところ、今のアモンが対処できないほどの絶対的な絶望ではなかった。

 あえて『ランク付け』するならば、今回の絶望度は10段階の5くらい。
 ゼノリカに属する者であれば、決して『超えられない壁』ではない。
 というかゼノリカの天下を名乗るのであれば、
 確実に『越えなければいけない壁』だった。

 おそろしく厳しい『ドナ基準の絶望度5レベル』なので、
 そこらの一般人が『無理だ』と嘆くのは無理もない。
 というか『ドナ基準の絶望レベル5』を乗り越えられる者など、在野には、そうそういないだろう。
 ――が、しかし、ゼノリカの天下に属する者であるならば、
 当たり前のように越えなければいけない壁。

 『栄えあるゼノリカに所属する』とは、そういう事。
 第2~第9アルファの『全て』を統べる超巨大組織の理念を――
 『ゼノリカ』をナメてはいけない。

「ハッキリ言ってやる。『ゴミスとの闘い』は、貴様ならば超えられる絶望だった。もっと直線的な言い方をするなら『貴様がギリギリ超えられるように調節した絶望』だった」

「っ」

「――『調節された絶望』すら超えられない無能など、ゼノリカには必要ない」


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