センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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42話 永遠を積んでも届かない場所。

 42話 永遠を積んでも届かない場所。

 究極超神センエースの、あまりにも深い覇者のオーラに触れたことで、
 シアエガは、

(……畏れを超えた情動が、理解を……飲み込んでいく……)

 強大な畏怖以上の敬意に突き動かされ、

「あなた様は、私が『永遠』を積んでも届かない場所におられる」

 心に浮かんだ言葉を口にする。
 想いの吐露。
 感情が、自分という器からこぼれてあふれた。

 それだけの言葉。

 そんなシアエガの言葉を受けて、
 センは、少しだけ遠くを見つめ、

「どうかな。俺も、お前も、まだ『永遠』を積んではいない。だから『その結論』に至るのは早計……なんだが、まあ、別にいいさ。お前が『自分という個に対してどんなケリをつけるか』に興味はない。それよりも……」

 そう前を置いてから、
 センは、輝くオーラの質をさらに高めて、

「お前に一つ聞きたい」

 遥かなる高みから声をかける。
 シアエガの魂が、ビクンと震えた。
 襟(えり)を正し、全力で言葉を選び、


「なんなりと、尊き御方」


 どこまでもうやうやしく、そう返事をした。

 それは、まさしく、王に対する態度。
 配下の心得。
 絶対のマナー。

 もはや、逆らう気力など、わずかも残っていない。
 そんなものは完全に霧散して、
 今は、なにか別の……『とても暖かい感情』に包まれている。

(私は、今……深い幸福を感じている。とても、とても高次の至福……理解が追い付かない暖かさが……私の全てを包み込んでいる……)

 『シアエガの中にある概念』だけで『その感情』を丁寧な言葉にすることはできなかった。
 シアエガは、決して無知ではない。
 語彙力が死んでいるわけではない。
 しかし、言葉に出来なかった。

(あたたかい……包まれている……私は……)

 理解できない『その感情』は、
 シアエガの中で、どんどんと膨らんでいく。

 単純な話だった。
 シアエガは神を知った。
 そして、だから、当然のように、
 ――シアエガの心には、神が宿った。

 そんなシアエガに、
 センは問う。

「ウムル=ラトについて、知っていることを全て教えてくれ」

 その質問に対し、
 シアエガは、頭を悩ませた。
 必死になって頭を回転させるが、
 シアエガの『中』に、答えはなかった。

「……申し訳ございません、尊き御方」

 苦々しい顔で、
 心からの謝辞を述べてから、

「ウムル=ラトという言葉に……聞き覚えはございません。もうしわけございません」

「……ほう」

 頷きながら、
 センは頭の中でいろいろと多方面に思考を飛ばしながら、

「まったくか?」

 再度、そう尋ねる。

「まったくでございます。もうしわけございません」

「ふぅん……」

 センは、顎に手をあてて、虚空を見つめながら、

「少し、質問の趣旨をかえようか。俺の中では、実のところ『先ほどの質問と、系統的には同列』なんだが……まあ、そんなことはどうでもいい」

 思考をまとめつつの、
 迂遠な前を置いてから、

「お前が知っている『最強』は誰だ?」

 丁寧に、ゆっくりとした質問。
 探るように、
 うかがうように、

 ――そんなセンの問いに対し、
 シアエガは、うやうやしく、

「あなた様でございます」


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