センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
39話 月と猿。
39話 月と猿。
これまでの経験から、バロールは勘違いをしていた。
多少は『神を知っている』と思い込んでいた。
しかし、バロールは何も知らなかった。
神の遠さは、
『今のバロールの頭』で理解できる範疇にはなかった。
(これが神! 私の神! 私の全てを包み込む光! ぁあ、尊い!)
シアエガの力をフルに使っているバロールは、
実際のところ『相当な高み』に届いている。
限界の向こう側に達した、圧倒的な力。
この世界における存在値カンスト。
つまりは、神と同等。
存在値という数値の上では同じ領域にある。
だが、しかし、とても『同じ領域に立っている』とは思えなかった。
強大な力を得たはずのバロールを、
尊き神は、まるで、赤子のように扱っている。
バロールの『魂こもった一手』を、まるであやすかのように、サラサラといなしていく。
大人と赤子。
月と猿。
両者の間にある魂の距離を測るのに必要な単位は光年。
――途中で、偉大なる神が、ボソっと、
「……驚くほど、『流(りゅう)』の淀(よど)みが消えている。以前のお前は、もっと荒かった」
たんたんと、しかし、少しだけ上機嫌に、
「その虹色のオーラは、とても静かだ。雑音がなく、ゆったりとしていて……しかし、芯には重量感がある」
ゆるやかに、華麗に、
神の王は、バロールの攻撃を受け流しながら、
「積み重ねた自重(じじゅう)がなければ、振り回されてしまうであろう深さ」
そこで、センエースは、
グンと、己の圧力を肥大させて、
「お前が積んできた努力が伝わってくる……」
バンと、踏み込み、
至近距離、
バロールのふところで、
「だからこそ見せよう。お前の目に――『究極超神センエース』を」
トンっと、軽く、左手の小指で、バロールの腹部を押した。
「うぐっ!」
こみあげてくる吐き気。
消化器系をギュっと締め付けられた気分。
全身を貫いた悪心(おしん)により、
頭重感が加速して、急激に脱力。
その『丁寧なスキ』をさらっていく神。
尊き神センエースは、グルンっと腰を鋭敏に回転させて、
左のかかとで、バロールの左足をはじく。
「くぉっ!」
しっかりとバランスが崩れたところに、
「――閃拳婆沙良(せんけんばさら)――」
パァァァァァァァァァァァァァンッッ!!!
と、派手な音が響き渡り、
バロールは『己の肉体が豪快に炸裂したイメージ』に包まれた。
『とても美しい死だった』
と、心が『納得』しているのを感じた。
『生まれてきた理由』と、
『死の美しさ』が一致して、
バロールは『尊い幸福』を感じた。
暖かな調和の中で、
しかし、バロールは、
「――ん?」
自分が傷一つ負っていないという事実に気づき、
「……これは……どういう……」
戸惑っているバロールに、
センが言う。
「少しは『俺(センエース)』が見えたか?」
その問いに触れて、
バロールは、
つい、反射的に、
片膝をつき、
「主よ……もうしわけございません……」
両手を合わせ、
空へ祈るように、
「私の目は、まだあなた様の影を追えるほどの高みには達してはおりません。……今の一撃……私には『美しい』としか思えませんでした」
これまでの経験から、バロールは勘違いをしていた。
多少は『神を知っている』と思い込んでいた。
しかし、バロールは何も知らなかった。
神の遠さは、
『今のバロールの頭』で理解できる範疇にはなかった。
(これが神! 私の神! 私の全てを包み込む光! ぁあ、尊い!)
シアエガの力をフルに使っているバロールは、
実際のところ『相当な高み』に届いている。
限界の向こう側に達した、圧倒的な力。
この世界における存在値カンスト。
つまりは、神と同等。
存在値という数値の上では同じ領域にある。
だが、しかし、とても『同じ領域に立っている』とは思えなかった。
強大な力を得たはずのバロールを、
尊き神は、まるで、赤子のように扱っている。
バロールの『魂こもった一手』を、まるであやすかのように、サラサラといなしていく。
大人と赤子。
月と猿。
両者の間にある魂の距離を測るのに必要な単位は光年。
――途中で、偉大なる神が、ボソっと、
「……驚くほど、『流(りゅう)』の淀(よど)みが消えている。以前のお前は、もっと荒かった」
たんたんと、しかし、少しだけ上機嫌に、
「その虹色のオーラは、とても静かだ。雑音がなく、ゆったりとしていて……しかし、芯には重量感がある」
ゆるやかに、華麗に、
神の王は、バロールの攻撃を受け流しながら、
「積み重ねた自重(じじゅう)がなければ、振り回されてしまうであろう深さ」
そこで、センエースは、
グンと、己の圧力を肥大させて、
「お前が積んできた努力が伝わってくる……」
バンと、踏み込み、
至近距離、
バロールのふところで、
「だからこそ見せよう。お前の目に――『究極超神センエース』を」
トンっと、軽く、左手の小指で、バロールの腹部を押した。
「うぐっ!」
こみあげてくる吐き気。
消化器系をギュっと締め付けられた気分。
全身を貫いた悪心(おしん)により、
頭重感が加速して、急激に脱力。
その『丁寧なスキ』をさらっていく神。
尊き神センエースは、グルンっと腰を鋭敏に回転させて、
左のかかとで、バロールの左足をはじく。
「くぉっ!」
しっかりとバランスが崩れたところに、
「――閃拳婆沙良(せんけんばさら)――」
パァァァァァァァァァァァァァンッッ!!!
と、派手な音が響き渡り、
バロールは『己の肉体が豪快に炸裂したイメージ』に包まれた。
『とても美しい死だった』
と、心が『納得』しているのを感じた。
『生まれてきた理由』と、
『死の美しさ』が一致して、
バロールは『尊い幸福』を感じた。
暖かな調和の中で、
しかし、バロールは、
「――ん?」
自分が傷一つ負っていないという事実に気づき、
「……これは……どういう……」
戸惑っているバロールに、
センが言う。
「少しは『俺(センエース)』が見えたか?」
その問いに触れて、
バロールは、
つい、反射的に、
片膝をつき、
「主よ……もうしわけございません……」
両手を合わせ、
空へ祈るように、
「私の目は、まだあなた様の影を追えるほどの高みには達してはおりません。……今の一撃……私には『美しい』としか思えませんでした」
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