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28話 ゼノリカにとっての利。

 28話 ゼノリカにとっての利。

(いまだ、戦闘力はたいしたことないけど、アイテムとしての性能は破格と言っていい……何よりのポイントは、あの、オーラを増幅させていると思しき『虹色のオーラ』……すごく異質……ただ増幅させているだけって感じじゃない……グっと深くなっている……キレがよくなっているっていうか、コクが増しているというか……)

 サトロワスも、

(深みと厚みがある。純粋な結晶。その美しさは非常に魅力的。……素晴らしいと感嘆できるほど)

 と、シアエガの強さを認め、

 ――しかし、

(けれど、『想像』していた以上に大きいってワケではないねぇ。ま、そこに関しては、こちらが事前に『あまりにも大きな想定をしすぎていただけ』とも言えるけどねぇ)

 まったく焦った様子はなく、
 至極冷静に、そう評価を下した。

 この世界の攻略を開始してからというもの、
 九華の面々は、常に『最悪のナナメ上』を想定して動いてきた。

 ゆえに思ってしまう。
 この程度ならば想定の範囲内に収まる――と。

 『虹シアエガ』との闘いが始まってから、ちょうど5分が経過したところで、
 ――ドナが、

(ほしかった情報は、ある程度あつまった……)

 心の中でそうつぶやいてから、

(そして、これ以上はただの消耗戦になる……ここまでくれば、あとは『上』に任せた方が合理的……『自分たちだけでは処理できない』という事実に対して『ふがいない』という気持ちもなくもないが……私の感情などどうでもいい。重要なのは、どの選択が、ゼノリカにとって、より大きな『利』となるか否か。それだけ)

 そう決断すると、
 迷いなく、自身の右耳に装着している『ヒスイのピアス』を、人差し指でトンッと軽くはじいた。


 すると、
 ピアスがカっと光った。
 直後、小さな光の塊が、ピアスの中から飛び出してきた。
 その光の塊は、コンマ数秒で小柄な人の形となり、





「――ロケハン、ご苦労。一人、一言ずつ、Cレリックに対する所見を述べよ。まずはジャミから」





 優雅なミシャンド/ラの言葉。
 荘厳な態度。
 超越者のオーラ。

 そのオーラを受けて、その場にいる九華は、
 ゴリゴリの戦闘中だというのに、
 全員が全員、当然のように、
 シアエガに背中を向けて、片膝をつき、頭を下げた。

 ジャミは、うやうやしい態度で、

「きわめて大きな脅威ではあることに間違いはありませんが、ゼノリカならば対処可能な範囲内かと」

 続けてカティが、

「ある程度の消耗を覚悟で、丁寧かつ慎重にコトを運べば、我々九華だけでも、世界攻略は可能かと存じます」

 と、そこで、
 シアエガが、
 ブチ切れ顔で、




「――この私という偉大な神格を前にして、無防備な背中を晒すとは、いい度胸だ! 頭が悪いとも言えるがなぁ!」




 ――さすがに『ここまでナメた態度をとられて黙ってはいられない』とばかりに、
 無防備なジャミの背中を切りつけようとしたシアエガ。

 しかし、

「やかましい。ミーティングの邪魔をするな、三下」
「うぎへぺっ!」

 ミシャが軽く指を振っただけで、
 シアエガは脳からつま先まで貫通する強い『痺れ』に襲われて、
 指一本、動かすことが出来なくなってしまった。


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