センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
17話 かつて天下最恐だった闇人形。
17話 かつて天下最恐だった闇人形。
「さあ、とくとみるがいい。この『力』こそが神……この魔力、このオーラ、この概念こそが神なのだ……貴様ら下等生物は、神の力に酔っていればいい。世界とはそういうもの。それが真理」
シアエガの発言を、
バロールは、小指で耳をほじりながら、我慢して聞いていたが、
「……エゲつないくらい薄っぺらいな、お前。『ガラクタっぷり』もそこまでいけば大したものだと、逆に褒めてやりたい気分だよ」
「真理が理解できぬ愚者よ……私の力、その一端を見せてやる。さあ、くるがよい」
そう言いながら、大仰に両手を広げてみせたシアエガ。
そのサマに、冷たい視線を送りながら、
バロールは、家族に向けて言葉を放つ。
「悪いが、手を出さないでくれ。俺一人でやりたい」
そのワガママに対し、カティが、
「あんたのワガママを聞いてあげる筋合いが、私には一ミリもないんだけど?」
「頼むよ、カティ……ムカつくんだ、あの触手野郎」
「それはこっちも同じ。私だって、あのキショいドヤ顔を殴りたい……だけど……まあ、いいか」
『ワガママな命令』なら聞く筋合いはないが、
『家族の頼み』なら、聞く理由はなくもない。
と、そこで、ドナが、
「危なくなったら、無理しないで、すぐに救援を求めなさい。あんたの死はゼノリカにとって大きな損失。ゼノリカに不利益を出す者を私は許さない。もし、あの気色悪いクソアイテムに殺されたら、私があんたを殺す」
「……何回死ねばいいんだよ……相変わらず、頭がイっちゃっているネーサンだなぁ……」
ドナはまだ神に成れていないため、
『最大存在値』ではバロールに大きく後れを取っているが、
『基礎存在値』にはさほどの差がない。
※ 携帯ドラゴンは所有している。
センは、MDワールドの中枢を乗っ取った際に、
卵を山ほど確保している。
ただ、現状では規制がかかっているため、
その恩恵を完全には受けられていない。
ゼノリカという組織に対する貢献度では、
『時代の問題(平和すぎて)』で『その力をふるう機会が少なかったバロール』よりも、
ドナの方がはるかに大きい。
長年『天下最恐の闇人形』――『ウルトラバイオレット001』として現場の最前線で『ゼノリカを犯さんとする穢れ』を狩っていたのは、『九華に上がれる実力がなかったから』ではなく、人材が不足していた『かつてのゼノリカ』の『現場』では、『彼女にしかできない仕事』があったから。
ゼノリカが成熟し切った今では、『高潔な闇人形』という希少な存在も、『吐いて捨てるほど』とまでは言わないが、しかし、十分と言っていいだけの数がそろっている。
しかし、当然、かつてはそうではなかった。
ゼノリカを内側から潰そうとするスパイに、
ゼノリカでの地位に目がくらんで歪むバカ。
『数えきれないほどの愚者』という『穢れ』が、
潰しても、潰しても、次から次へと沸いて出た。
『組織』というのは『夏場の魚』より腐りやすい生モノ。
大きくなればなるほど、腐ってくる場所が多角的になり、
その速度も歪み方も、どんどん増していく。
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