センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
12話 なんか、ちょっと、おかしくね?
12話 なんか、ちょっと、おかしくね?
「エリアAの強者……まあ、完全院に関わる連中は全員、ケタ違いに強いな。天上人と会う機会なんてないから、どの程度強いかは知らんが」
「私はアホじゃないんだ。五大グループがヤバいって事くらいは知っている。具体的に、誰が、どのくらい強いかを教えろと言っている」
この世界に生きる者は、五大グループを潤すために働き、
その結果として、五大グループから餌をもらい、
結果、例外なく、五大グループのために死んでいく。
――ここはそういう世界。
全ての『命』が、五大家を支えるためだけに存在するディストピア。
バロールの『イラ立ち』に対し、
ガタラは、『そりゃそうだ』と思いながらも、
呑気な表情をつくりこんで、
「俺みたいなスジ者が、五大家の詳しい内情なんて知るワケないだろ。エリアAのトップ……つまり、完全院のトップが『完全院リライト』って名前の究極超人だって噂くらいは聞いたことがあるが、それ以外は知らん」
とぼけた顔でそう言ってから、
「……あ、そういえば、完全院リライトが『クリムゾン・スターズ』って名称の『とんでもない部隊』を飼っているって話なら、代表から聞いたことがあるな……まあ、名前以外は何も知らんけど。雲の上の連中と会う機会なんざ、マジでないからな」
「そんな『そこらを歩いている連中』でも知っているような『表層』の事など聞いていない。何度も言わすな。私が知りたいのは『具体的な程度』だ。『暴力の世界』で生きている者しか知りえない深層……『武』に関する『深い情報』をよこせと言っているのだ」
「……んなこと言われてもなぁ……俺だって、暴力に多少の覚えはあるが、『本物の領域』にいるわけじゃねぇからなぁ……所詮、俺なんて、ただのヤクザ者……ようはケンカ自慢のチンピラでしかない。武の深層なんざ知るわけがねぇ……まあ、とはいえ『だから逃がしてくれる』って状況でもねぇし、必死こいて考えるしかないワケで……」
ペラペラと中身のないことを口にしつつ、
ガタラは、ナナメ上を見つめて、考えるふりをしながら、
心の中で、
(もう少し……あとちょっと……)
さらに数秒を稼いでから、
「あ、そうだ。『学園』の理事はハンパねぇって話だぜ。確か、名前は……えっと、なんだっけなぁ……完全院……完全院……」
「完全院クリスだ」
「おっ、博識だねぇ」
「名前なんかどうでもいい。どの程度ハンパないのか、その詳細を聞いているんだ! 仮に、お前を200とした場合に、完全院リライトや完全院クリスがどの程度か、300なのか、500なのか! そういうことを聞きたいんだ!」
「だから、知らんって! つぅか、そんなデジタルな情報、知ってるわけないだろ! 俺、ナニモンだよ! 五大グループの中でもトップの完全院は、この世界の支配者! 雲の上の連中だ! 会う機会なんてマジでねぇし、噂だってそうそう聞かん!」
険しい顔で、
(完全院に関するゴリゴリの詳細なんざマジで知らんっつーの。つぅか、俺が、そんなもんを知っていると本気で思って聞いてんのか? 最初から思っていたんだが……こいつ、なんか、ちょっと、おかしくね?)
「ざっくりとでいいんだよ、ザックリとで。別に、完全院に限った話じゃなく、お前が知っている強者の、ザックリとした、程度を答えろ。ぶっちゃけ、エリアAに限った話じゃなくてもいい。お前が知っている情報を並べてみせろ」
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