センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
11話 互いの思惑。
11話 互いの思惑。
「おい、にーちゃん。押し黙ってどうした? もう俺に用はないのか? だったら、解放してくれ。このあと、集会があるんだ。遅れたら、代表に殴られる」
「まだ本題に入ってないんだから、解放するワケがないだろ」
そこで、バロールは、場を整えるように、
ごほんと軽いセキをはさんで、
「とりあえず、お前に聞きたいことは、二つ。『エリアAの強者』と『コスモゾーン・レリック』……その二つについて、お前が知っていることを、残らず、具体的に、詳細を喋れ。満足のいく解答がえられたら、お前は解放しよう」
「……なぜ、その二つについて知りたい?」
と尋ねながらも、
心の中で、
(……エリアAについての情報を求めるってことは……『完全院』の人間ではなく、外部の人間か……完全院と全宮は仲がいいから、情報は共有しているはず。となると、エリアCDEのどれか? だが、現状の全宮家はギスギスしているって話だから、全体で情報を共有しているかどうかは微妙。――裏社会特有の鮮度の高い情報を求めているって可能性もあるか。『俺』に『コスモゾーン・レリックの情報』を問うているから、最低限以上に『シロアリの情報』はもっている。だから、つまり、これは……あー……ダメだな……まだ情報が足りない……)
などと、高速思案していると、
バロールが無表情で、
「……お前には知る権利がない」
「あっそ……まあ、別にいいけどな。ためしに聞いてみただけで、特に知りたいわけでもない。ちなみに、なぜ、わざわざ、それを俺に聞く?」
牽制、様子見、すっとぼけ、
色々な画策が混じったガタラの発言に対し、
バロールは、まっすぐな顔で、
「裏社会の幹部クラスなら、多少は情報に詳しいかと思った。それだけだ」
「……ま、道理だな……」
そうつぶやくと、
ガタラは、
(こっちの推察を補強してくれる情報は一つも漏らさねぇ。この猿顔、なかなか丁寧な尋問をしてくる。それはそれで一つの情報だが『使える情報』じゃねぇ……となれば……やっぱり、『最悪』を想定して動かざるをえないよなぁ……ったく、めんどくせぇ)
そこで、自分の『中』の『蓄積』を確認し、
(まだだな……まだ使えない……ちっ……しかたがない……少し時間を稼ぐか……)
覚悟を決めると、
一度深呼吸して、
たっぷりの間をとってから、
ガタラは口を開く。
「エリアAの強者……まあ、完全院に関わる連中は全員、ケタ違いの超人だな。五大家の人間と顔をあわす機会なんてないから、やつらが『どの程度強いか』は知らんが、うちの代表が『手を出すな』っていうくらいだから、相当なものなんだろう」
「私はアホじゃないんだ。五大グループがヤバいって事くらいは知っている。具体的に、誰が、どのくらい強いかを教えろと言っている」
エリアAの支配者『完全院(かんぜんいん)』グループ。
エリアBの支配者『全宮(すべてのみや)』グループ。
エリアCの支配者『罪帝(つみかど)』グループ。
エリアDの支配者『宝極(ほうごく)』グループ。
エリアEの支配者『久剣(くつるぎ)』グループ。
この世界に生きる者は、
例外なく、五大グループの支配下にある。
もっと直接的な言葉で言えば、
この世界に生きる者は、五大グループに『飼育されている家畜』でしかない。
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