センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
3話 みんなすごい狂信者っぷりだねぇ。
3話 みんなすごい狂信者っぷりだねぇ。
「存在値1000が上限である以上『最果ての向こう側におわす神帝陛下』であっても『かすり傷を負う可能性』はゼロではない。もちろん、神帝陛下の強さは次元が違うから、かすり傷を負う可能性すら天文学的な低確率……しかし、0ではない以上、我々が盾になってしかるべきだ」
ジャミが発言を区切ってコーヒーを口にしたところで、
サトロワスが、
「はっはー、みんなすごい狂信者っぷりだねぇ。もし、私がゼノリカに関係ない他人だったら、ドン引いていると思うよぉ」
サトロワスは常に俯瞰で自分を見ることができるオッサン。
常に冷静で、徹底して瀟洒で、
軽くキザなところもあるが、けれど、
それだって『不快感を伴う嫌味』にはなりきらず、
いつだって、絶対的に、シックで、スマートで、
はしゃいだり、興奮したり、オタオタしたり――
なんて、そんな『無様な姿』を他人に見せることは決してない、
見た目だけではなく、すべてが『良い感じ』のオッサン。
それが、栄えあるゼノリカの天上、九華十傑の第三席『サトロワス』。
そんなサトロワスでも、
神に対する感情だけは、やはり『スマート』ではいられないようで、
「まあ、かくいう私も、どっぷり狂信者なわけだから、こうして、君たちの意見に、何一つ異議を挟むことなく、ただただ頷いているんだけどねぇ」
常に『一歩引いたところから、全体を見る視点』を信条にしているサトロワスだが、
『神帝陛下に対しての想い』だけは、
『彼以外のイカれた狂信者たち』と同じ『視点』になってしまう――
――と、その時だった。
ピタっと、全員、口を閉じて、
『視界の外』にいる『人物』の動向に注意する。
『九華が着目している人物』は、
この世界の犯罪者集団『シロアリ』の幹部。
名前は『ガタラ』。
全身がハリガネのように細長く、眼光が鋭い、蛇のような男。
ガタラの存在値は見えていないため『101以上』は確定。
ちなみに、身のこなしなどから『存在値は500にすら達していないだろう』と推定されている。
もちろん、見えないのだから、真実はわからない。
巧妙に隠しているだけかもしれない。
本当は、カンスト級のバケモノかもしれない。
わからない。
が、わからないからといって計画を中止させるのはありえない。
ジャミたちは、この上なく尊き神の狂信者。
ゆえに、止まれない。
前に進むしかない。
――通信魔法を使い、声を出すことなく、
今ミッションのリーダーであるジャミが、
(ようやく動いたか……では、手はず通りに)
そう言うと、
((((了解))))
バロールたちは、口に出すことなく返事をして、
それぞれ席を立った。
――今回、平熱マンから与えられているミッションは、
『この世界のアンダーワールドから情報を得る事』。
最重要メインミッションはもちろん『神帝陛下の盾』だが、『脅威の影すら見えない状況』で『ひたすら盾として神のそばにいるだけ』では宝の持ち腐れもいいところ。
『どんな脅威から守ればいいのか』すら分かっていないこの状況では、
脅威をサーチすることも盾の役目。
神の盾ともあろう者たちが、『脳死壁』しかできないようでは話にならない。
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