『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

33話 家族には甘いセン。


 33話 家族には甘いセン。

「じゃあ、こうしようぜ。ここから俺は、『手抜かりなく手を抜いて戦う』から、そんな俺に『かすり傷の一つ』でもつけられたら、お前の勝ち。お前が勝ったら『お前のいう事』を黙って聞いてやる。ただし、『何をしても俺には勝てない』と諦めたら、お前の負け。黙って俺のいう事を聞け」

 徹底した譲歩。
 『己(センエース)』に対しては絶対に『妥』協を許さないくせに、家族にはとことん甘い神の王。

「ここまで譲歩したんだ。それで負けたら、二度とゴチャゴチャいうな。これは命令だ。もし逆らったらお前は破門だ」

「……了解しました……」

 そう言って、
 平熱マンは、
 精神を統一する。


「ボクは、あなた様から『すべて』をもらった……大事なもの、失いたくないもの、誇りも覚悟も、すべて……」


 心が一つになっていく。
 平熱マンが整っていく。

「……あなた様の尊き背中を追いかけてきた……あなた様の指導を受けてきた……あなた様の弟子として恥ずかしくない存在であるために……ボクはずっと積んできた……」

 ブツブツと、
 自分自身に、

「そんなボクが、盾にもなれないなんてありえない……もう、ボクは、守られているだけの赤ん坊じゃない!!」

 地面を蹴って、
 空間に食い込んでいく。

 速さの向こう側で、
 平熱マンは強く輝く。

 『積み上げてきた全て』で、
 センの背中に『その手』を届かせようとする。

 届くはずがない。
 師は遠すぎる。

 そんなことは知っている。
 だが、
 知っているから、なんだというのだ?

 ――まさか、だから、あきらめる?
 無理だと嘆いて目をそむける?

 ははっ。

 ……ありえない。


「平熱マン・スラッシュ!!!」


 磨き抜かれた斬撃を、
 偉大なる神はサラリと流して、


「いいぞ、平。今の一撃は良かった。その感覚を忘れるな」


 平熱マンが『全てを賭した全力』で挑んでも、
 師のスタンスは変わらない。

 何一つかわらず、
 遥かなる高みから、
 『ヒョイヒョイ』と、軽やかに、平熱マンの攻撃をいなすだけ。

 だからと言ってあきらめたりしない。
 心は常に熱いままで、
 だから、
 叫ぶことができる!

「つきつめる! スピードを! 限界の向こうへぇえええ!」

 キュッと、踏み込み足が加速した。

 剣を握る手の力を少し緩める。
 脱力。
 『力(りき)み』を殺して、丹田に溜める。

「平熱マン・スラ――」

「その愚直さ……嫌いじゃないが、戦術的には間違いなく間違いだ」

 圧縮された時間の中で、
 平熱マンは、師の言葉に触れた。

 ――平熱マン・スラッシュは、非常に汎用性の高い剣技。
 ほぼすべての時間を賭して磨き上げてきた、平熱マンの生命線。
 ※ もちろん、平熱マン・スラッシュしか使えないわけではないが、
   平のビルドは、その一撃の威力を高めるためのシナジーであふれている。

 シンプルであること。
 それを突き詰めた先にしかない答え。

 そんな『一手の極み』・『一撃必殺の真髄』を求め続け、
 『今日という日』に辿り着いた修羅――平熱マン。

 そんな彼に、
 センは言う。


「その愚直さが通用するのは、お前よりも『少し強い者』までだ。俺には届かない」


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