センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
31話 命は、永遠に、完成などしない。
31話 命は、永遠に、完成などしない。
(……『センエース』という『神』が『存在』してくれさえいれば、ゼノリカは、いくらでも再生できる……人類の倫理的完成に必要なのは……ボクらじゃない……あなた様だけ……いと尊きあなた様御一人だけ……『命の未来』には……ゼノリカには……ボクには……あなた様の背中が必要なのです……ほかの何を失ってもいい。あなた様だけが……すべての希望)
平熱マンの想いが膨れ上がっていく。
膨大に、再現なく、天元を突破し続ける。
『その事実』に、センエースは気づかない。
センエースは『最果て』に至った『偉大なる神の王』だが、
『命の心』を完全に理解しているわけではない。
――命は完成などしない。
――未完成で、不完全で、だから……
「お前は、いつか、俺の盾になれる。お前は、いつか、俺の剣になれる。そうなってほしいと思っている。だから、その前に死ぬな。これは命令だ」
その言葉は、センエース的に、
『バシっと決まった慰め』であり、
『良い感じの激励』であり、
『最善最良の締め』だった。
センエースは思う。
ここまで言えば『通るだろう』と本気で勘違いしている。
『わかってくれるだろう』なんていう、とんだ過(あやま)ち。
――センエースは『心』を理解していない。
『戦闘時』における『心の推移や機微』のおおよそは掴んでいるが、
『愛』に属する『命の心』に関してはまるで理解できていない。
だから――
「わかったら、ゼノリカの守りを固めろ。センエースコレクションを総動員して、『敵』の襲撃に備えるんだ。『本来の性能』を発揮できなくとも『俺が創った究極超神器たち』は、それなりに高性能だから、十分使えるはず。ゼノリカの職人は全員優秀だが、しかし、さすがに俺には勝てん」
ゼノリカに属する錬金術師や鍛冶屋は、全員、相当な力をもっているが、
さすがにセンエースにはかなわない。
――センエースに『錬金や鍛冶』に関する『芸術的才能』はなかった。
しかし、バカみたいに積み重ねた結果、
芸術的才能を凌駕する器を手にいれた。
魔法・剣術・体技・召喚術・気功術・鍛冶錬金、
『最強』に至るために必要な技能は、
その長き人生の中で、
徹底的に磨き上げてきた。
『センエースの努力』に勝てる『天才』はゼノリカには存在しない。
ゼノリカに存在しないということは、この世のどこにも存在しない。
「防衛に際して、最も重要となる点は『俺の呼び出し方』だ。敵が襲ってくるとすれば、確実に、俺が外出して情報収集しているスキを狙うだろう。俺との連絡網を強固に――」
と、そこで、
「ずっとそうだった……」
平が、
フラつきながらも、
しかし、
「ずっと……ずっと……」
立ち上がる。
経絡(けいらく)が乱れて、
脳がカラカラで、
足が動かなくて、
心の芯が『むりだ。もう動くな』と、
なんだか五月蠅(うるさ)く叫んでいるけれど、
――それでも、
「ずっと、ずっと、ずっと……師は……ボクらを守ってくれた……」
重たい涙がこぼれた。
自分の弱さに対する悔し涙でもあるが、
それ以上に、
『丁寧な形』で伝えたい想いがあふれたから。
だから――
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