センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
30話 しょうもない雑務は俺(変態)にやらせておけばいい。
30話 しょうもない雑務は俺(変態)にやらせておけばいい。
「俺に指一本で倒されるようなやつがどうにかできる相手じゃない」
辛辣に事実を述べたあとで、
冷たい口調から、
暖かな声音に変えて、
「敵は強大だ。お前らを出すわけにはいかない。黙って俺に守られていろ」
それは、天から降り注いでいるかのような、とても暖かい言葉だった。
「ゼノリカの仕事は『バカみたいな力を持った敵を殺すこと』じゃない。高潔な目を持つ管理者の役目こそが最大の責務。『常人には倒せない級のモンスター』の処理は任せるが、『最強神しか対応できないチートバケモノ』の排斥は俺の義務」
これは過保護ではなく、役割の話だ、
と、平だけではなく、自分にも言い聞かせるように、
「『異常に強大な敵の討伐』なんていう『しょうもない雑用』は、俺とか、ソンキーとか、そういう『頭がおかしい変態ども』にやらせておけばいいんだ。というか、俺にはその程度の仕事しか出来ないんだから、横取りしようとするんじゃねぇ。その仕事まで奪われたら、俺とか、いよいよ給料泥棒の窓際族じゃねぇか」
慈愛と光にあふれた言葉。
平は、尊さで溺れそうになる。
「俺ごときに『全貌』が見えるわけじゃないし、『それ』を想定して動いてきたわけでもないから、あまり、こういうことは言いたくないが、しかし、あえて言おう。――『人類という愚かな種の倫理的完成』のためには、お前たちが絶対に必要なんだ」
『理想の神』が抱いてくれている『尊き理想』。
――『俺が苦しんだら解決する仕事』は俺が全部やってやる。
だから、お前たちは、輝く明日のためだけに生きろ――
理想の神が抱いてくれている『理想』に触れたことで、
あらためて、平熱マンは、涙を流した。
暖かな光。
こぼれて、あふれて、
(師よ……主よ……この上なく尊き神の王よ……)
素直に、まっすぐに、
平は――『自分は幸運だ』と思った。
絶対的な多幸感に包まれる。
感謝があふれて止まらない。
平は『これ以上ない主』に出会えた。
『この上ない主が目の前に存在してくれている』。
これ以上の幸福はない。
思考が推移していく刹那の中で、
平熱マンは、少し想像してしまう。
――もし、この御方がいなくなったら――
(イヤだ……)
心の底から湧き上がってきたド直球の感情。
装飾された言葉では表せられない本気の想い。
もはや、平熱マンにとって『主が存在しない世界』にはなんの価値もない。
からっぽのヌケガラ。
目的と価値を失った、醜い廃棄物。
――だから、
(この御方だけは……失うわけにはいかない……絶対に……)
より強くそう思う。
(仮に、ゼノリカが全滅しても、この御方さえいれば、どうとでもなる……人類は愚かだが『この御方の尊さ』が理解できないほど愚かではない。『センエース』という『この上なく尊い神』が生きてさえいれば……『存在』してくれさえいれば、ゼノリカは、どれだけボロボロにされたとしても問題なく再生できる……人類の倫理的完成に必要なのは……ボクらじゃない……あなた様だけ……この上なく尊きあなた様御一人だけ……)
沸き上がってくる。
心の扉が開いた気がした。
これまでに、何度も開いてきたが、
少し奥をさぐってみると、まだまだ扉はたくさんあって、
一歩前に進むと、また別の扉が開いたんだ。
(……『命の未来』には……ゼノリカには……ボクには……あなた様の背中が必要なのです……ほかの何を失ってもいい。あなた様だけが……すべての希望)
――平の魂魄に、グワっと熱がともる。
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