センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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28話 平熱マンVSセンエース。


 28話 平熱マンVSセンエース。

「俺が『孤高体質』だってことを排除しても、ここは俺一人でいくのがベスト。最も安全で最善の策」

「どうしても聞き入れてもらえないというのなら……しかたがありませんね」


 そこで、平は剣を抜いた。



 覚悟のともった目で『この上なく尊い師』を見つめる。

「……ふむ。どういうつもりだ?」

 センが静かにそう問いかける。

 平の行動に、アダムが一瞬、『主上様に剣を向けるとは、なんたる不届き――』と叫びかけたが、
 『ここまでの流れ』を見ていなかったわけではないので、
 当然、彼女は『平の想い』を知っているし、
 『センを危険にさらしたくない』という気持ちは同じだったので、
 黙って趨勢を見守っている。

「……『簡単には死なぬ』というところを……『盾として機能』しながらも、必ず生き残り、師が望む『本来の役目』を『全う出来る』というところを……お見せします」

「……」

 センは数秒だけ考えてから、

「まあ、いつまでもグダグダと平行線のおしゃべりを続けるよりは、まだ生産的な申し出だな」

 そういうと、
 センは、
 首を左右に軽く振り、ポキポキっと小さな音を鳴らして、

「――『センエース』を教えてやるよ。お前らは、まだ『俺の盾』になれるほどの『高み』には『達していない』という事を、その身に叩き込んでやる」

 構えを取らず、
 超自然体のまま、
 余裕大爆発で、
 ニっと口角をあげる。

 ――センエースはわらっている。


 その明らかな『スキ』を前にした平は、
 剣を握る手に力を込めて、


「いざ、参ります」


 そう宣言し、
 平熱マンは世界を翔けた。
 次元跳躍にフェイントを混ぜて、

 確定有利な間合いに自分をセットすると、

「平熱マン・スラッシュ!!」

 最も信頼する剣技を放った。
 心を込めた一撃。

 その一撃を――

「うん、熟練度がかなり上がっているな。丁寧に磨いてきた道程がうかがえる」

 ヒョイっとよけながら、
 そう批評する。

 ――センエースはようすをみている。

 『あっさり避けられる』――そんなコトはハナから想定済みだった平熱マンは、いっさい臆することなく、続けて、タイマン用の技や魔法を駆使して、センエースに詰め寄るが、

「――『流』が、まだ少し荒いな。視野が狭い。精神的な死角が多い。だから、足元をさらわれる」

 まるで吸い寄せられるように、
 平熱マンは、
 『センの出した足』にさらわれた。

 みっともなくすっ転んで、

「ぎっ」

 一度、歯噛みしてから、
 すぐに体勢をたてなおす。

 圧倒的な差。
 絶対的な差。

 はるか高みにいる神は、

「……『俺より弱いこと』を『理解できている』のはいいんだが、それを踏まえた上での動きがまるでなっちゃいない。……もちろん、お前だって『強者と戦ってきた経験』がゼロではないから、当然『100%出来ていない』というワケではないが……俺の視点ではゼロと大差ない」

 闘っている間、
 センエースの周囲では、
 常に、『ひょいひょい』という気軽な擬音がこだましている。

 時折、闘いの中で、平熱マンの肩や腰を押したり引いたりしながら、
 平熱マンの流を矯正していく。

 圧倒的な高みからの指導手。
 闘いにはなっていなかった。
 闘いになど、なるはずがなかった。

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