センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
27話 剣を抜く平熱マン。
27話 剣を抜く平熱マン。
「お言葉ですが、天下の者たちは『ゼノリカのために死ぬ覚悟』を決めている者たちです」
そんな平の発言に、
センは辟易しながら、
諭し返すように、
ゆっくりと、
幼稚園児にでも語り掛けるように、
「いいか、平。冷静になって、耳をかっぽじって、よぉく聞け。いいか……俺は『誰も死ぬ必要がない』と言っているんだ。天下の連中はまだ弱いが、しかし、死に物狂いで厳しい訓練に耐え、聖人と称して何ら問題ない高潔な意思をもって、世界(第2~第9)を守るために日夜戦ってくれている人類の宝」
とうとうと、ゆっくり、
丁寧に、言葉を紡いでいく。
「あいつらは、お前が言うように、『決死の覚悟』で世界を支えてくれている。そんな連中を失うわけにはいかないんだ。『大した敵もいないエックス級のザコ世界』で『お使い』をさせるならともかく、こんな『ヤバそうな地獄』で『鉄砲玉のように使いつぶす』など俺が許さな――」
「師を! お守りできるのであれば! ほんの少しでも、師のお力になれるのであれば! それが、何よりの誇りとなり、彼らの魂を輝かせることでしょう!」
どうやら平は、
『師に抗い続ける』という覚悟を決めたようで、
――『頑として譲らない表情』をもって、
センと対峙する。
「バキバキの目で言いやがって……そういう『俺主体』の『自己犠牲』はいらねぇって、何度言わせれば気がすむ? これまでにさんざん言ってきたのに、どうして理解できない。10回、20回じゃねぇぞ。これまでに、100億回くらい言ったんじゃねぇか? 流石にそこまでは言っていないか? 回数はどうでもいいが、とにかく、いい加減、言い飽きた」
グっと視線に力をこめて、
「……俺の背中を見て『道』を決めるのは結構。『追わせるに恥じない背中』であり続けてきた自負はある。それは認める。しかし、俺は一度も『俺を大事にしろ』とは言ってねぇ。俺はお前らの親になると決めた。親が子を守るのは当たり前。お前らが俺を守るんじゃねぇ。『俺』が『お前ら』を守るんだ」
「育てていただいた恩を! その、返しきれぬ多大な御恩を! 全力で返そうともがくのが、子のせめてもの役目だと愚行します!」
「なら、生き延びて『本来の役目』を果たせ。第2~第9アルファに、お前らは絶対に必要だ。こんな謎世界でカナリアになる必要などない。というより、俺が許さない。一人もかけることなく、本来の使命をまっとうしろ。これは命令だ。『俺』の命令だ。神の王の命令を――ちゃんと心に刻みやがれ」
「どうしても……おひとりで行かれるとおっしゃるのですか?」
「俺が『孤高体質』だってことを排除しても、ここは俺一人でいくのがベスト。どう考えても、最も安全で最善の策。俺が苦しんで解決することは俺にやらせておけばいい。それだけの話。…………平、本末を見極めろ。大事なことは、俺が安全かどうかじゃないんだ。そんなことはどうでもいいんだよ。ていうか、なんだ、俺の安全って。アホか。過保護も大概にしておけ」
『それはこちらのセリフだ』とでも言いたげな顔をしてから、
平は言う。
「どうしても聞き入れてもらえないというのなら……しかたがありませんね」
そこで、平は剣を抜いた。
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