センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

23話 上等だ、クソが。


 23話 上等だ、クソが。

「師の命令に背くとは……不敬極まりない扉ですな。破壊の許可を」
「不可能だ。このゲートだけは、なぜか、神気を纏っている。今の俺では破壊できない」


「主ですら破壊できない? それはいったいどういう――」
「まず、前提として、この世界にいる間、存在値は『1000』に固定される。俺も例外ではない。そして、ゼノリカの扉は全て俺が創った究極超神器。もし破壊しようと思えば、最低でも存在値15兆は必要。というか、存在値15兆クラスでも破壊するのに10時間はかかる『耐久型』のアイテムで――」

 それから、センは、伝えておくべき情報を、
 三人に対し、出来る限り丁寧に説明した。



「――というわけで、敵はおそらく相当に強大だ。ラスボスに関しては、俺に匹敵するか、あるいは俺以上の可能性が極めて――ん? どうした、ゾメガ」


 『異常事態の詳細説明』をしている途中で、
 ――ゾメガからの通信が入り、センは意識をゾメガの声に集中させる。


「……ほう……」


 報告を受け止めると、
 センは頷いて、


「……了解だ。引き続き、ゼノリカ内の調査を進めろ。……ぁあ、ちょっと待て。一つ命令だ。今後は『よっぽどの面倒ごとが起きた時』以外は報告しなくていい。もちろん、今回のような『よっぽど』の時は俺の指示を仰いでもらいたいが、細かいことは、あとで報告書にまとめて提出しろ。ここからは、迅速かつ円滑に行動していく必要がある」


 通信を終えたところで、
 平の、

「何かございましたか?」

 問いに対し、
 センは、くもり顔で、

「予想どおりの『最悪事態』が発生した。『もしかしたら』とは思っていたがガチだった」

 不安にさせすぎないようトーンに気をつけながら、
 しかし、抑えきれない怒りと焦りを見せるセン。

 その機微を受け止めた平が、
 一度、ゴクっと息をのんで、

「それはいったい……」



「現状、この『Q‐8ゲートから』しか『ゼノリカの外に出られない』ようになっている」



「?!」

「原初の世界に集めたメンバー全員……つまり、ほぼ全員が『この世界に閉じ込められた』……ふざけた話だぜ……」


 ギュっと拳を握りしめるセン。
 明確な怒り。
 現状『自分の宝』が危ない目にあわされている。

 センの心情をたとえるなら、
 『死ぬほど苦労して手に入れたマイホームが、気づけば、ゴリゴリの紛争地帯に曳家(ひきや:建築物をそのまま移動させること)させられていた』
 みたいな感じ。

 当然、センの怒りは際限なく膨らんでいく。
 ふいに、
 アダムが、
 腰を90度に曲げて、

「申し訳ございません、主上様……私が勝手な召集をしたせいで……」

 震えながら、謝罪の言葉を述べた。

「お前のせいじゃない。『このいやがらせ』を決め込んできた『誰かさん』が100%悪い」

 センは、自分の怒りをアダムに向けるようなマネはしなかったが、
 己の中で膨れ上がった感情を『丁寧に隠す』こともせず、

「いやぁ……ほんと……ひさしぶりだよ……ここまで……」

 センのオーラにビリっとした『強い熱』がともる。
 洞察力ゼロのバカでも『ハッキリと理解』できる『感情の漏出』。
 普段は『尊大になりすぎない』よう、
 あえて『強めに飄々』としているセンだが、
 この時ばかりは、誰の目にも明らかなほど怒り狂っていた。

 センの爆発的感情を受けて、
 その場にいた三人は、同時にビクっと肩を震わせた。

「……ナメくさりやがって……俺の宝を……危険にさらしやがって……」

 三人とも、センが言葉を発するたびに、体をビクリと震わせる。
 この世の誰であれ、
 『センエースの怒り』には恐怖を感じずにはいられない。


「上等だ、くそが……お望み通り、本気でキレてやるよ……」


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