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19話 天童久寿男VSP型センキー・ゼロオーダー


 19話 天童久寿男VSP型センキー・ゼロオーダー

(余裕で対処できる。くく……テンドウクスオ、お前には『俺の前に立つ資格』がある。それは認めよう。さすが、かつては『世界の中心(主人公)』だった男。ハンパではない強さ。それは認める。しかし、残念ながら、俺に勝てる力は有していない。俺の前では、お前など、タイムアタック用の中難度『詰将棋』でしかない)

 P型センキー・ゼロオーダーは、
 迷いなく『クスオの陣形』に『的確な切込み』をいれ、
 きっちりかっちりと寄せていく。

 P型センキー・ゼロオーダーの視点では、
 『VSテンドウクスオ』など、勝ち筋が見えている詰将棋。

 もちろん、無傷の楽勝というわけではない。
 クスオ率いる天使軍は凶悪に強い。

 その圧倒的な性能の高さで、
 P型センキー・ゼロオーダーという究極の敵に、
 明確なダメージを与えてくる。

 蓄積されていくデバフ。
 時間が経つにつれて、バフにより整っていく、クスオにとって有利な戦場。
 P型センキー・ゼロオーダーにとっては厄介なデバフ祭り。

 ――しかし、そんな状況でありながら、クスオは、常に一手損。
 P型センキー・ゼロオーダーの『経験的理解』という下地を有した攻略法が、
 常に『クスオの一歩上』を行っている。

 ポ〇モン対戦でたとえれば、現状が理解しやすいかもしれない。
  『すばやさ』が『1』でも高い方が絶対的有利。
  どうやって、『相手より1高い状態にもっていくか』と苦心する闘いの醍醐味。

 『クスオ率いる天使軍』と『P型センキー・ゼロオーダー』の間に、数値的な差はそれほどない。
 しかし、『前述した例え』的な『前提』があるため、
 明確に、P型センキー・ゼロオーダーの方が『有利』に戦争を進めている。

 そんな中、
 クスオが、

(……強硬策か……)

 正気を疑うほどの大胆かつ単純な攻め手をくりだしてきた。

 一言で言えば、
 それまでは『後方で指揮に専念していたクスオ』が、横にタンクもつけずに裸で突貫してきたのだ。

「裸一貫の猪突猛進とは、おそれいる……まさか、お前に露出狂の趣味があったとは知らなかった」

「人聞きの悪いことをぬかすな。どぅみてもフル装備だろうが。俺は、お前とタイマンを張りにきただけだ」

「いまなお、ゴリゴリに支援を受けまくっておきながらよく言う」

 とつぶやきながら、
 P型センキー・ゼロオーダーは、天使軍の様子をチラ見する。

(なるほど……俺の混沌耐性にブレイクをいれて、鬼積みしたカオスインフィニッターで風穴を開けようって作戦か……『大将(クスオ)をおとりに使っている』という点だけは多少評価に値する奇策だが……はん、少しぬるいな。このまま、最速でテンドウクスオを撃墜して終わらせてやる)

 P型センキー・ゼロオーダーは、全身の気血を強く沸かせて、
 最速最善の一手を放たんと、
 クスオの懐に踏み込もうとして、
 ――しかし、



「俺をナメてくる相手が一番殺しやすい」



「どぶぐぉおおおおっっ!」

 踏み込んだP型センキー・ゼロオーダーのみぞおちに、
 クスオのカウンターがぶちこまれた。


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