センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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16話 究極超天使、天童久寿男。


 16話 究極超天使、天童久寿男。

「頼むから、もう一度だけひかせてくれ! せめて、ソンキー・シャドーの亜種みたいな、使える召喚獣を――いたっ!!」

 背後から後頭部をはたかれ、
 反射的に、視線を背後に向けてみると、
 そこには、スラっと背の高い細マッチョで精悍な天使が立っていて、


「誰が使えない召喚獣だ。ナメるなよ、クソガキ」


 ゆっくりと首をまわしながら、そう言った。

「……お前……もしかして、クズォテンドゥか?」

「……ああ」

 返事をしてから、
 一度、ンンっとのどを温めて、
 まっすぐに、ゴートの目を見つめながら、

「俺こそが、熾天使の首席にして天使軍総大将、究極超天使『天童 久寿男(てんどう くすお)』だ」

「……てんどう……え? クズォテンドォじゃ……」

「おっと……『本来の力』だけではなく『名前』まで取り戻せたのか……どうでもいいといえば、どうでもいいんだが……まあ、真に自由になれたという感じがして、悪くはない」

「……」

「困惑した顔をしているな。そんなに悩む必要はない。『お前ではどうしようもない絶望』をもどうにかできる『最強の援軍』がきた。それだけの話だ」

 クスオの自信満々な発言を受けて、
 ゴートは、眉間にしわをよせ、

「……まるで、お前が『俺よりも強い』みたいな言い草だな」

 いうと、
 クスオは、小バカにしたような半笑いで、

「はっ、当たり前の話をするなよ。この俺が、お前みたいな『坊や』よりも下なわけがないだろう」

「アホか。今の俺より強い召喚獣なんているワケがないだろ。今の俺がどのくらいの高みにいると思っていやがる」

「通常のリミテッドバージョンなら、確かに、お前の足元にも及ばないだろうが、しかし、今の俺に、くだらない制限はかかっていない。ならば、舞えるさ。お前よりもはるかに美しく」

 そこで、クスオは、オーラを開放させた。
 荘厳で、軽やかで、そして、何より、途方もなく美しい輝き。

「……ぁっ……」

 圧倒されて、ゴートは声をもらすことしかできなかった。
 究極超天使『天童久寿男』は、今のゴートですら届かない遥か高き場所にいる、強大な天使だった。

「これでも、かつては、『すべての命』を背負って『大いなる混沌』に抗った天使の一等賞。ガキには負けねぇよ」

 言ってから、
 左手首にまかれているロザリオを、左腕ごと右手で握りしめ、

「――デビルメアトランク・セラフレア/トロイメロイ、起動」

 そう宣言すると、
 クスオの背中に、まがまがしい『剣翼』が顕現した。
 天使が駆るには少々コワモテが過ぎるシルエットとカラーリング。

 だから、当然のように、ゴートが、

「天使なのに、デビルって……どんなセンスしてんだよ……」

 ボソっとそうつぶやいた。
 その言葉を受けて、
 クスオは、ガチでイラっとした顔になり、

「うっせぇ、ボケ……センスには触れんな」

 そう呟いてから、
 気をとりなおして、

 悠然と、歩を進めつつ、
 ゴートに対して背中で語る。

「あいつの名前、確か、P型センキー・ゼロオーダーだったか? あの『敵』は『俺たち』が狩るから、ガキは引っ込んでいろ」

 そう言った直後、
 クスオの周囲に、山ほどのジオメトリが顕現する――


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