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2話 ショデヒの理想。


 2話 ショデヒの理想。

(ラムドは最強の暴力装置。すなわち、ラムドを持つ国が最強。つまりは、魔王国こそが最強)


 龍の国、妖精の都、鬼の里、魔王国。
 同じ魔人・進化種でありながら、国によって、考え方はまったく異なっていた。
 『龍の国』は、質素な現状維持を求めた。
 『妖精の都』は、血を流さない豊かさ・華々しさを求めた。
 『鬼の里』は、独自文化の永続継承を重んじた。

 それら、思想の方向性がまるで違う全ての国の魔人や進化種の上に立つ『王』の存在が不可欠だった。

 最初、ショデヒは、自分が王になるつもりでいた。
 だが、ショデヒには、この巨大な南大陸を完全に束ねるだけの『力』はなかった。
 ショデヒは、決して無力ではないが、
 『南大陸を完全に束ねる』というミッションを遂行できるだけの力はなかったのだ。

 もちろん、『絶対に不可能』ではなかった。
 ショデヒは『何も出来ない無能』じゃない。
 ショデヒが、全てを賭せば、南大陸に『連合国』をつくる事は出来ただろう。
 現在と同じように、『重職につく者達』を巧みに操り、
 『フーマー以外の人類国家』に対する『最大勢力』をつくり上げる、
 ――それだけなら、決して不可能ではなかった。

 世界2位の力を持つ『南大陸連合国』の『議長』という地位までなら、
 ラムドがいなくとも、辿り着く事は出来ただろう。

 ――だが、そのポジションは、ショデヒの本意ではなかった。
 彼が望んだのは、実質的な世界の支配者。

 完全なる統治、絶対の規律に縛られた魔王軍の形成。
 どこの誰にも文句を言わせない完璧な独裁体制。
 フーマーをも飲み込んだ、文句なしの世界征服――それが、ショデヒが望む未来。

(ラムドがいなければ、どうあがいても、フーマーは食えなかった……どう頑張っても、二位が限界だった。ラムドがいなければ、『フーマーのご機嫌伺い』兼『厄介な魔人どもをまとめる委員長』というポジションが限界だった。しかし、ラムドの力があれば、フーマーを潰す事も可能。それだけの絶対的な力があれば、小賢しい民衆や元老院を黙らせることも容易。可能になるのだ……完全なる独裁が――私のためだけの世界が)

 ラムドの召喚能力はハンパじゃない。
 勇者を殺せるほどの力。
 単騎でも、フーマー以外の『全ての国家の王族』と渡り合えるほどの力。

 それだけの力が主軸にあれば、
 フーマーを潰す事も不可能じゃない。

 フーマーさえ潰せれば、
 魔王国が天下を獲れる。

 フーマーを抑えて天下を獲れる力があれば、
 『イカれた無茶(絶対独裁)』を通す事も可能となる。

(ラムドが、フーマーの上位戦力を消してくれれば、もはや、怖いものは何もない。最高の結末は両者の相討ちだが、別に、そこまで理想的な展開になってくれなくとも、フーマーとラムドがぶつかれば、確実に、両者とも疲弊する……どっちが勝とうが、残るのは死にかけのエサ。あとは、肥大した魔王国の軍で、両者とも飲み干す事ができる。大事なのは、私が、その時の総大将についていること)

コメント

  • 紅月

    センと千かけてて草
    そしてセン話オメデト!! ヽ(`・ω・´)ノ イェイ!!

    52
  • ノベルバユーザー336181

    セン話行ったんですね…
    すごいです!おめでとうございますっ!!
    応援してます!

    50
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