センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
1話 魔王国の進捗。
1話 魔王国の進捗。
二次試験が終わりを迎えた。
その裏で、
魔物たちの巣窟――南大陸では、
様々な革命が起こっていた。
まず、勢力図がガラっと変わった。
つい数日前まで、リーンが支配する魔王国は、
南大陸の北側数%を治めているだけの、面積で言えば、とても小さな国だったが、
現在では、禁域周辺の深い森以外の全てを完璧に支配している超大国となった。
つまりは、もはや、精霊国フーマー以外では止められない巨大勢力になったということ。
一番の功労者は、元妖精の都代表のダークエルフ『ショデヒ』。
ショデヒは、ラムドから命令された後、またたくまに鬼の里を制圧し、魔王国の傘下に収めてみせた。
そして、そのままの勢いで、
ラムドからの命令を待たずに、
妖精の都と、龍の国、二つの国の民衆を、言葉巧みにまとめ上げ、
スルスルと、ズルズルと、ズブズブと、
驚くべきテンポの良さで、
魔王国の重要人物へとのし上がっていった。
機を見るに敏。
すがすがしい快刀乱麻。
そのよく回る頭をフル回転させ、
南大陸と統一させるのと並行して、
軍部と民衆と政治屋たちの間を、完璧な器用さで立ち回り、
己の発言力を豪速で高めていった。
――ショデヒは思う。
(すべて、計画どおり……)
ニィっと黒く微笑みながら、
(どいつもこいつも、見事なバカばかり……やっかいなのは、ラムドただ一人)
心の中で、
(ラムドのおかげで、世界征服の下地は出来あがった……このまま、魔王国を肥大させていけば……フーマーを狩ることも可能……)
はるか昔から、
ショデヒは、チャンスをうかがっていた。
ショデヒは、昔から、『自分という異端は【妖精の都の代表】という小さな役職におさまる器ではない』と確信していた。
超天才ダークエルフの『ショデヒ・バトト』は、『世界の王』になれる器。
優れた知性・カリスマ・魔力、そして神がかった人心掌握術。
世界の支配者になるべく産まれてきた、完璧な存在。
運命に愛された、生まれながらの超越者。
そう信じて疑っていなかったショデヒは、
必ず『チャンス』が回ってくると盲目的に信じて、爪をとぎながら、待ち続けた。
待ち望んでいたチャンスは、ショデヒが想像していたよりも遥かに大きかった。
――ラムドの才覚は、圧倒的だった。
(このまま、何も間違えなければ、確実に、魔王国は世界を獲れる……ラムドカードには、それだけの価値がある……)
ショデヒの視点で言えば、『国家として無数のラムドカードを所有している現状』は、
『21世紀の初頭で独占的にガ〇ダムの量産体制を確保できたような感覚』に近しい。
(ラムドは最強の暴力装置。すなわち、ラムドを持つ国が最強。つまりは、魔王国こそが最強)
南大陸は強大な力を持った魔物の巣窟。
ラムドが台頭する以前から、南大陸は強大だった。
ラムド抜きでも、全ての力を結集させれば、人間の国家に負ける事などありえない(フーマーは別)。
そんな事は、叡智(えいち)がなくとも理解できるただの当たり前。
問題は、どうやって力を結集させるか。
必要だったのは『力を持った王』。
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