『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

14話 ルナ・センエース。


 14話 ルナ・センエース。

「こんなところで、……あんなパチモンごときに、
   ……俺が……俺たちが、負けるわけねぇ
    そうだろ?
     ――『ルナ』――」

「きゅぃいいいいいいいいいいいいいいい!!」

 淡い月光の輝きに包まれたルナは、
 とどまることを知らず、その内包されている暴力的な潜在オーラを膨らませていく。

「俺達は、数え切れないほどの絶望を乗り越えてきた……」

 膨れ上がり続けるルナを見つめながら、
 センエースは、

「辛かった……苦しかった……何度、死にたいと思っただろう。いったい、何度……何度……」

「きゅいっ」

 凛々しい目で、センエースを見つめ返しているルナ。

 共鳴する。

「けれど、俺達は……その全てを乗り越えてきた……そして、自分の足で……ここまで歩いてきたんだ」

 混ざり合った、原始魂魄の結晶。


「さあ、行こうか……世界が、救いのヒーローを待っている」


 スっと、しなやかに息を吸って、





「プライマル・トランスフォーム‐モード【廃する太陰】!!」





 どうしても装備できなかったアイテム。
 500兆CMDPというボッタクリをくらった、裏カジノの目玉商品。
 究極の超レア称号。


 運命を殺す狂気の具現【廃する太陰】。


 ルナが真名を得た事がトリガーになったらしく、
 究極称号は、他を押しのけて、勝手にルナのコアと融合した。

 狂気の最果てに至った事で執行可能となった、原初のトランスフォーム。
 究極の神が、
 究極の龍を背負った瞬間。

 ここに、
 いと美しき完全なる『月光の龍神』が誕生した。


 もう言葉はいらない。


 この現象は、奇跡や偶然なんかじゃない。
 ただの必然。
 絶対的な運命。

 ただただ、『世界』は、
 まだ少し朧(おぼろ)げに、
 けれど間違いなく、
 『センエース』という概念が、正当に『??????のコアオーラを継いだ者である』という事を思い出した。
 それだけ。


 ――センエースも、また、世界と同じく、『全て』を思い出したわけではない。


 遠い、遠い、遠い、かつてに、
 『センエースという理想』の『基盤』となった『原初の歴史』があった、
 ――という事実を、思い出しただけ。

 『事実』を思い出しただけで、
 中身に関しては、まだまだモヤがかかっている。

 だから、これは序章。
 センエースが、『全ての謎』を解き明かす物語は、
 まだまだはじまったばかり!



「で? いつまで、俺を、こんな華のない場所に閉じ込めておくつもりだ?」



 ――センエースは、
 右手の人差指で、虚空に一文字を刻んだ。
 スっと、なぞるように、

 すると、
 あれだけ堅牢だった『イタズラな領域外の牢獄』が、ゴフっと無様に吐血した。

 センエースの優美な一手――そのたった一手を受けただけで、
 イタズラな領域外の牢獄は、抵抗する気を完全に失った。

 無粋な牢獄は、恥も外聞もなく、
 光速の手のひら返しをみせた。
 至極丁寧に、センエースの足下へと跪(ひざまず)いたのだ。

「くるしゅうない」

 その一言で、
 脆弱な牢獄は、己が定めの完遂を解し、
 スゥウっと、虚空へ熔けていった。

 パラパラと、チラチラと、粒子となって、
 まるで柔らかな風に吹かれているかのように、
 スゥと、音もなく流れていった。


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