センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
4話 真紅と翡翠と金紫。
4話 真紅と翡翠と金紫。
――ミシャ(業)は、
ゆったりと武を構えて、
「どんな絶望を前にしても、決して諦めなかったヒーロー……あんたは、あたしの光……あんたがいないと、あたしはただの骸(むくろ)……だから、あたしは……あたし自身のために、死んでも、あんたを取り戻す!!」
深く、
空間にキズをつけるような流。
荒々しく、
優美に、
「――はっ……しょせんは、カスみたいなザコ女三匹……寄り集まったところで、たかが知れている」
ふところに踏み込んできたミシャ(業)に対し、
ドストレートなカウンターで対抗するP型センキー。
ガンッッ、
と、顔面の骨が砕けるほどのカウンターだったが、
しかし、ミシャ(業)はニィと微笑み、
「――真紅と翡翠と金紫――」
呪(じゅ)を唱えると、
真紅と翡翠と金紫に染まった『三本の鎖』が出現し、
「ぐぶぅ!!」
P型センキーを捕縛した。
ギチギチと音をたてしめつける。
ミシャ(業)は、ギラついた目で、P型センキーをにらみつけ、
「あたしは……『あたしたち』は……『もう』、何も出来ないカスじゃない」
「ぐっ……」
P型センキーは、
アイテムボックスに顔をつっこむと、
そこに眠るお目当ての魔カードをくわえこみ、
アイテムボックスから顔を出すと同時、
「きんしあかーど、しよーきょかよーせー」
カードをくわえたままなので、きちんと発音はできていないが、
しかし、それでも、要請は通る。
要請は通った――が、
許可されるかどうかはまた別の話で、
『残念だが、ボーレ、それは通させないぞ。これは、俺の、せめてもの意地だ』
P型センキーの耳に、『ここではないどこかからの声』が響いた。
その声の主は、
『……【これ】だろ? これさえ封じれば、お前に手はない。これは俺の、最後の意地』
『ソル・ボーレ』によって殺された『ピーツ』の怨念。
つまりは、とてつもなく深い執念。
超極小とはいえ『この上なく尊い神の王』になれた可能性――その未練。
P型センキーに対して反逆の意を示したのは、ピーツだけではなかった。
ピーツの未練に引っ張られるようにして、
『よくもお嬢を殺しやがったな』
『よくもお嬢を殺したわね』
ハッキリとした怒り。
じっとりと重い、怨みの気迫。
ドコスとエーパの怒りは、
そのまま、彼女の怒りにも直結する。
――カルシィが言う。
『貴様は、私の大事なものを奪った……許さない。その想いを込めて、だから、最後の、最後の、最後の意地を通す……』
「っ……か、カスども……っ……だが、貴様らごときの意地など、二秒でブチ破って――」
と、そこで、さらなる声が響く。
『20年……世界という巨視で見れば、とても短く儚い時間……しかし、私は確かに積んできた』
「……っ……パガロまで……くっ……鬱陶しい……っ)
『――世界に刻まれた【神の軌跡】が流れ込んでくる。死を経て、私は、また一つ、神を知ることができた。ああ、尊き神よ。あなた様は美しい。最果ての主は、私が想像していたよりも、はるかに尊き神だった。――大いなる神よ。尊き主よ。命の王よ。私はあなた様の敬虔な使徒。だから、当然、私も……あなた様にならいましょう。最後の最後まで、絶対にあきらめない。その意思を貫きましょう。……リラ・リラ・ゼノリカ……』
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