センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
3話 愛しさで溺れそう。
3話 愛しさで溺れそう。
ミシャ(業)は、
「――かごめかごめ――」
つぶやきながら、
禁止魔カードを破り捨てる。
すると、
P型センキーの全身がガっと熱くなって、
「……ぐっ……」
極度の脱力。
全身の奥から、魂魄を引っぺがされるのを感じた。
「む、だだ……センエースは隔離してある……心を殺す事だけに特化した異次元――『イタズラな領域外の牢獄』……たとえ、『かごめかごめ』でも、手出しは不可能……」
「そんな事は知っている」
「あぁ?!」
「取り戻すのは『可能性』……」
言いながら、
ミシャ(業)は、その小さな両手を、P型センキーに向けて、
「大事な人……とてもとても大切な人……守ってくれた……あんたは、たくさん……」
大粒の涙をながしながら、
一度、飲み干すように、目を閉じて、
「……愛(いと)しさで溺れそう……」
そうつぶやいてから、
ギっと目を開き、
「幾億(いくおく)の……刃のように、冷たい涙……
必死になって、飲み干しながら……
無限の痛みを心に背負い……
それでも、あんたは……あたしなんかのために……」
膨れ上がる想いに推動されて、
「必ず守る。あたしは、あんたの側にいる。そのために、そのためだけに、『私の全部』は存在している。たとえ、『他の全て』を忘れても……この誓いだけは……絶対に、絶対に、絶対に忘れない!!」
ミシャ(業)の叫びに呼応して、
P型センキーに飲み込まれた『シューリ』と『アダム』が拍動する。
心と魂魄が、ドクンと強く脈を打つ。
強く、強く、強く!!
強く、強く、強く、強く、強く!!!
(くっ……くそ……これは、ムリだな……神気の行使は、センエースの隔離だけで一杯一杯だ……アダムとシューリをとどめておくことまではできない……)
鈍い汗と歯ぎしり。
P型センキーは、無駄な抵抗をやめて、
自分の中から、
アダムとシューリを切り離した。
P型センキーの魂魄から切り離された二人のコアは、
ユラユラと、一度、迷子になりかけたが、
しかし、
ミシャ(業)の、
「……こっちだ、バカ女ども」
強い叱咤を受け止めると、
もう迷わず、
まっすぐに、ミシャ(業)をもとめた。
重なった、
三つのコア。
ミシャ(業)と、アダムと、シューリ。
異質なオーラを持つ三人の女が、
今、この時、この瞬間だけ、
「「「……抗えなかった悔しさで、涙を流しているのが分かるよ。はは……『あんた』は本当に……いつまでたっても、『泣き虫』だね……」」」
声は、少しだけ重複していたけれど、
すぐに、調和されて、
「大丈夫。すぐに出してあげるから……」
――一つになる。
それまでとは、何もかもが異なる、特異なオーラ。
闇が混じっているけれど、おどろくほど温かい。
冷徹だけど、芯はポカポカしている……そんな、歪な光。
――ミシャ(業)は、
ゆったりと武を構えて、
「どんな絶望を前にしても、決して諦めなかったヒーロー……あんたは、あたしの光……あんたがいないと、あたしはただの骸(むくろ)……だから、あたしは……あたし自身のために、死んでも、あんたを取り戻す!!」
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