センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
21話 いいだろう。お前のワナにまんまとかかってやる。
21話 いいだろう。お前のワナにまんまとかかってやる。
「30パーセント……微妙なラインだな……あんたの全力がどの程度か不明だから、なんとも言い難いけど……」
「どうだ、ゼン。今の俺なんか倒したって、なんの自慢にもならないんだし、ここは、少し待ってみないか?」
「……ふむ」
「1号のデータが追加された俺は、間違いなく、お前と悪くない勝負ができる。俺は、どうしても『1号のデータが追加された俺』になりたい。その願いさえ叶えれば、あとは、お前に負けてもいい……というわけで……この通り、伏して頼む……少し待ってくれないか?」
ほんの少しだけ悩んでから、ゼッキは、
「……いいだろう。お前のワナにまんまとかかってやる。好きなだけ時間を稼ぐがいいさ。なさけないままの貴様を倒しても自慢にはならんからな」
「そうか。そいつは、たすか――」
「――なんて言うと思ったか? ありえねぇよ」
「っ?!」
「俺は、『相手の提案に乗って自分からピンチを整えた上で、綺麗なフルボッコをくらったあげく、息子まで殺されるような、どっかのマヌケなM字ハゲ』とは違うんだ」
ゼッキは、とうとうと、
「……『今のあんたの全力』が『本気の俺』を超えているって状態なら、負けたとしても『敗因』は、単純な『俺の力不足』でしかないが……ナメプかました上で負けたら、言い訳のしようがない『大戦犯』になるだろうが。そんなクソみっともない『責任』という名の厄介な『荷物』を自ら背負うマゾな趣味はない」
当たり前の正論を述べていく。
「……どうしても今日この瞬間に『俺がどのくらい強いのか』をデジタルに試さなきゃいけないって訳じゃない。この世界には、ゼノリカって厄介な輩がいて、そいつらを倒すってのが俺の基本的な目的である以上、俺がどのくらい強いのかを試すチャンスは、この先、いくらでもある。わざわざ、あんたという、『妙に不気味な相手』でリスキーチャレンジをする必要はない」
「……」
「というわけで……死ね」
ゼッキは、全身を包むオーラと魔力を充満させて、
P型センエース2号との距離を一気につめると、
情け容赦なく、
ボッコボコにしていく。
よどみなく、ミラージュポーンでタコ殴り。
時折、ミラージュクイーンで高貴に追撃。
剣の翼が煌めいて、
ミラージュナイトが華麗に援護する。
「ぐげっ! うげっ! うぼっ!」
聖なる殺神アスドラ・ゼッキ・ミラージュの動きは、非常に軽やかで滑らか。
ゼッキはとまらない。
決してナメプに走らない。
その強大なオーラを、丁寧かつ残虐かつ凄艶(せいえん)に振りまわす。
ゾっとするほど美しい禍々しさ。
何度も言うが、『ゼッキの戦闘力』は決して高くない――が、
ゼッキの戦闘力には、奇妙な色気があった。
気付けばジっと眺めてしまう――そんな、華のある艶やかな武。
『神に開かれた高次インテリジェンス』と、『いつか神になれる可能性を秘めた光』の甘美なマリアージュ。
――ゼッキは、
「存在値が今の俺に匹敵するだけあって、HPがハンパなく高いな……けど、流石に、そろそろ死ぬだろ?」
そう言うと、
両手にオーラと魔力を込めはじめる。
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